美しい流麗なスタイルをもつ、クーペルックのクルマ。しかし、従来の2ドアのクーペは、使い勝手が悪いことから、現在は徐々にその数を減らしている。そんななか、近年増えてきているのが4ドアのクーペだ。
2ドアのクーペは実用面からあきらめざるを得ない方でも、4ドアのクーペであれば、家族も納得してくれるはず。今回はクーペファンにはうれしい、現在販売されている美しすぎる4ドアクーペをご紹介しつつ、かつて一大ブームを巻き起こした国産4ドアクーペ、そしてクーペルックがSUVに伝播したワケについても触れていく。
“限定”はレジェンドも切実な理由が……!? 「台数限定車」の裏事情
文:吉川賢一
写真:ベストカー編集部、TOYOTA、Mercedes-Benz、BMW、Audi
【画像ギャラリー】「カッコいい!!!」というよりも、もはや「美しい…」 欧州4ドアクーペをギャラリーでチェック!!
欧州車に多い4ドアクーペ しかしかつては国産でも
「4ドアクーペ」とはその名の通り、なだらかなルーフを描いたクーペのルックスを持ちながら、ドアを4枚備えたクルマのことだ。
メルセデスベンツCLS 2005年に初代が発売、2011年に2代目へチェンジ、2018年に3代目が登場した。前傾するフロントエンドは「メジロオジロザメ」の尖った鼻先を想わせるデザインをもつ
現在、4ドアクーペは欧州車勢に多く、残念ながら現在の国産車ラインアップには、4ドアクーペとよべるモデルは存在しない。しかしながら、かつて、国産の4ドアクーペが一大ブームを巻き起こしたことがある。1985年8月に登場した、トヨタカリーナEDだ。
一大ブームを巻き起こした、カリーナED
バブル期であった1985年8月に登場したトヨタカリーナEDは、サッシュレスの4枚ドアをもつ、ピラーレスハードトップの4ドアクーペであった。傾斜したAピラーとCピラーによって、全高は低く、クーペのようなスタイリングを実現していた。その分、後席は狭かったが、何よりこの流麗なデザインと、4ドアによる使いが手の良さで、一躍人気車となった。
初代カリーナED ボディサイズは全長4475×全幅1690×全高1310mm。センターピラーがなく、ウィンドウを下げると、サイドを大きく開くことができた
ちなみに「ED」とは、「エキサイティング・ドレッシー」の略。「興奮するボディライン」とでも解釈すればよいのだろうか。なんともセクシーではないか。
カリーナEDのヒットによってコロナクーペが消滅、コロナEXiV(エクシブ)に生まれ変わった。カリーナED同様、流麗なスタイリングで若年層に大いに受け入れられた
4ドアクーペは「新しい選択肢」
近年の欧州車勢における、4ドアのクーペの流れは、2005年に登場したメルセデス・ベンツCLSが、4ドアクーペの始まりだったように思う。
流麗なクーペルックのボディを持ちながらも、後部座席用のドアがあり、乗り降りや荷物の積み替えを楽に行える「4ドアクーペ」は、オーソドックスな「2ドアクーペ」でもなく、古臭い「4ドアセダン」でもない、新しい選択肢として受け入れられるようになってきた。
メルセデス・ベンツCLSクラス(2005~2011年) 4ドアクーペの走りとして登場したモデル
それでは、現在国内で販売されている、最新の4ドアクーペをいくつかご紹介しよう
●メルセデス・ベンツAMG 35 4MATIC Sedan
2020年2月に追加された、4ドアクーペのメルセデスAMG 35 4MATIC。低くなだらかなルーフラインと、狭いサイドウィンドウが特徴的だ。ベースとなった車体はAクラスセダンであるため、ボディサイズも大きすぎず小さすぎず、ここ日本の道にもちょうどよい。
価格は4ドアクーペが 685万円、シューティングブレークが695万円
ツインスクロールターボチャージャーを採用した2.0リッター直列4気筒直噴ターボ(最高出力306ps)と7速DCT、4輪駆動を装備したAMGの快速4ドアクーペだが、車両価格もそれほど高くはない。日本でも人気があるモデルだ。
●BMW2シリーズグランクーペ
メルセデスのAクラスセダンを意識した、BMWのコンパクト4ドアクーペが、このBMW2シリーズグランクーペだ。4535×1800×1430(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース2670mmのボディサイズは、コンパクトで使い勝手がよい。
BMW 2シリーズ グラン クーペの価格は税込369万円(218i)~486万円(218d Mスポーツ)、トップグレードのM235i xDrive グランクーペは673万円
低いルーフとなだらかに下がったリアガラスは、美しいリアデザインをしているが、やはり後席のヘッドクリアランスは狭く、圧迫感があるのは仕方がないところかもしれない。
●アウディA5スポーツバック
最近のアウディは、この手のデザインが非常にうまい。なかでも、A5スポーツバックは、アウディ製4ドアクーペの代表例ともいえる仕上がりだ。4755×1845×1390(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース2825mmのボディサイズは、全長がやや長いおかげもあり、流麗で見事なスタイリングに仕上がっている。
A5スポーツバック35 TDI advancedは616万円、A5スポーツバック45 TFSI quattro S lineが707万円
2.0リッターTFSIエンジンと、2種類の2.0リッターTDIエンジンをラインアップ。ドライバビリティの高さも、A5スポーツバックの魅力だ。
クーペSUVは「デザインと使い勝手の両立解!?」
4ドアクーペだけではなく、「2ドアクーペ」も、そのルックスの良さに惹かれる根強いファンや、走りを追求するユーザーからは支持され続けており、メルセデス・ベンツは、Cクラスクーペ、Eクラスクーペ、そしてSクラスクーペなど、「ラグジュアリー2ドアクーペ」をいまでもラインアップしている。
メルセデス・ベンツは、Cクラスクーペ、Eクラスクーペ、そしてSクラスクーペなど、「ラグジュアリー2ドアクーペ」を今でも出している
しかし最近の主流はやはり、車高の高い「クーペSUV」ジャンルだ。メルセデス・ベンツGLCクーペ、GLEクーペ、BMW X4、X6、アウディQ3スポーツバック、Q5スポーツバック、Q8、EVコンセプトカーのQ4スポーツバックなど、怒涛の勢いで増殖している。
なかでもアウディは、SUVにも「スポーツバック」シリーズとして、クーペ軍団を構築しようと狙っているようだ。国産だと、トヨタハリアーがクーペSUVの最先端だろう。
2020年6月11日にフルモデルチェンジを行ったメルセデス・ベンツGLEクーペ 価格は1186万~1421万円 GLEをベースとするクーペスタイルのSUVだ
2020年7月に登場したアウディQ3スポーツバック Q3をベースとしたクーペSUVのボディを持つ
4ドアクーペは、スタイリッシュでカッコよいのだが、ボディサイズが大きなクルマであることが多い。そのため、日本では使い勝手がいいとはいえず、これが現在国産車に4ドアクーペがない理由であろう。
2ドアクーペではどうか、というと、乗ったことのある方ならわかると思うが、ドアが大きいことから、狭い駐車場だと、ドアを開いて降りるのに一苦労する。座席を倒さないと荷物も取れないため、後席は荷物おきにもならない。
その点SUVであれば、短い全長でも、キャビンは大きいので、ルーフをなだらかに下げたとしても、室内スペースが犠牲にならず、クーペルックのデザインを採用しやすい。
そう考えると、クーペSUVは「SUVなのにクーペルックにした」というよりも、「SUVであれば使い勝手を犠牲にせずにクーペルックなクルマをつくることができた」ということなのであろう。
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みんなのコメント
って言う輩が現れる予感
EDのヒットで4ドアハードトップ(ピラー有無)が流行った。
まぁ5ナンバーサイズで背の低さから後席は使えたもんじゃ無いが、スラッとしたラインが良い所の奥様風で色気があった。
実際に大型セダンのスペシャルモデル的な位置でないと使い物にならんだろう。