世界的なダウンサイジングターボの流れを受けて、国産車でも2L未満のターボ車が増えてきている。
その2L未満のターボ車のみを集め、速さだけではない総合的な完成度で見た場合、ベストの1台となるのは、果たしてどれか? そんな企画を立ててみた。
エントリーリストは以下の通りだ。省燃費系からパワー系まで、バラエティ豊かな15モデルが揃った。この中での、栄えある1台は、果たして。
■エントリーリスト
・タンク/ルーミー/ジャスティ/トール(1.0L)
・トヨタ オーリス(1.2L)
・トヨタ C-HR(1.2L)
・トヨタ ヴィッツ GRMN(1.8Lスーパーチャージャー)
・日産 ノート(1.2Lスーパーチャージャー)
・日産 ジューク(1.6L)
・日産 ジュークNISMO(1.6L)
・ホンダ シビック(1.5L)
・ホンダ ステップワゴン(1.5L)
・ホンダ ジェイド(1.5L)
・スバル レヴォーグ(1.6L)
・スズキ スイフト(1.0L)
・スズキ バレーノ(1.0L)
・ズキ エスクード(1.4L)
・スズキ スイフトスポーツ(1.4L)
※本稿は2017年12月のものです
文:岡本幸一郎/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2018年1月10日号
■1位 スズキ スイフトスポーツ
■より排気量も出力も大きいモデルがあるなかで、スイフトスポーツが1位の理由は?
もっと速いクルマもあることは重々承知しているけど、速ければいいってもんじゃないと思うんだよね。
その点、スイフトスポーツはとにかく完成度が高い。トータルバランスがイイ。それでいて車両価格が200万円を切っているのだから偉い。コスパの高さにおいてもクラス随一だ。
そのあたりを評価して1位に選出したといえば、きっと納得してもらえるんじゃないかな?
いざドライブしても、その仕上がりには感心させられっぱなし。軽快で俊敏ながらスタビリティが高く操縦安定性にも優れるハンドリングは、すばらしいのひとこと。肝心のエンジンもターボらしい力強さとターボらしからぬ鋭いレスポンスを両立させている。
そのドライブフィールは、刺激的でありながら、いたって乗りやすく、しかもクラスを超えた上質な雰囲気まで身につけている。このクラスでは望外といえる完成度ではないかと。そんなクルマ、このなかにはほかにないでしょ?
■2位 トヨタ GRMNヴィッツ
■200ps超のヴィッツGRMNが、惜しくも1点差で2位に甘んじたのはなぜ?
そりゃあ、あそこまでやればイイものができるのは当然でしょ。性能的にはダントツなので、本当は1位でもよかったんだけど、こうした特殊なクルマを最上位にしてよいものかという思いもあり、とはいえイイものはイイことに違いないわけで、そこを評価しないわけにはいかないということで、考えた末に1点差で2位にした次第。
このなかだと速さでは圧倒的だし、ドライビングの刺激度も最も高いことには違いなく、サーキットを全開で走らせると最高に楽しいんだけど、公道だとどうだろう?
その点、スイフトスポーツのほうが柔軟性に優れるということも、こちらを2位にした理由のひとつだ。
■3位 ホンダ シビック ハッチバック&セダン
■シビックがなかなかの高評価。どこがそんなにいいの?
このなかでは車格が上で価格も高いので、上位にきて当然なんだろうけど、とにかくいいクルマを作ろうとホンダが本気で取り組んだことがヒシヒシと伝わってくるし、実際の仕上がりも上々なので、評価も高め。
エンジンもさることながら、シャシーの仕上がりも上々だ。剛性感があり、4輪すべての接地性も高く、まさしくオンザレールの走りを実現しているのが印象的。
半面、エンジンにはちょっと荒削りな感あり。充分パワフルだけど過給のかけ方が大味で、同じエンジンの出力を抑えたステップワゴンのほうがリニアで扱いやすい。そんなわけで、格上だけど3位にとどめた。
■4位 日産 ジュークNISMO RS
■評価する人も多いレヴォーグ。今回あまり評価しなかった理由は?
2Lとの価格差が大きいので、1.6Lを選ばざるをえないのもわかるけど、実は気になる点が多々ある。
エンジン自体も2Lはよくできているが、1.6Lは出足の飛び出し感が強く、そこからのトルクが薄くて、あまり乗りやすくないし、せっかく2Lと作り分けているのに燃費もたいしてよくない。
加えてスバル・グローバル・プラットフォームを採用したインプレッサが出たことで、旧世代のスバル車の弱点が、より目立ってしまった感もあり。
■5位 ホンダ ジェイド RS
■全般に小排気量のモデルが下位に沈んだけど、小排気量のモデルは完成度が低くなりがちなの?
小排気量エンジンとターボというのは、そもそも本来的にはあまり相性のいいもんじゃないと思っている。
それは排気量が小さいと、ただでさえ低回転域のトルクがないのに、充分に過給されるまでのタイムラグも生じやすく、扱いにくい特性になりがちだと思うから。
その点では4気筒よりも3気筒にすると有利な面もあるが、3気筒だとどうしても音や振動が大きくなるし、音質そのものも安っぽくなる。性能的には及第点でも上質なフィーリングから遠ざかるのだ。
というわけで評価としては低くなるのは否めないが、最近は各社がんばってるなと思わされることが多いのも事実だったりします。
【番外コラム】2L未満クラス オススメ輸入車 ベスト3
1位はVWのポロGTI。192psの1.8Lエンジンは、低回転から力強く加速し、上まで伸びやか。MTはなお美味。VWとしては異例にスパルタンな乗り味も、このクルマのキャラによく似合う。
2位はアバルト595。パンチの効いた刺激的な加速フィールと軽やかな身のこなしに、“痛快”という言葉がこれほど似合うクルマはない。
3位はMINIのクーパー。
速さも充分だし、低く響くサウンドも安っぽくなくてイイ。3気筒をあまり好まない筆者でもMINIだけは話が別。
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