ハッチバックからSUVへ進化
トヨタが欧州で展開する小型車のアイゴは、斬新なデザインと手頃な価格を重視したコンパクトSUVとして生まれ変わった。
【画像】新型トヨタ・アイゴX【コンセプトや先代モデルと写真で比較】 全86枚
今年初めに発表されたコンセプトモデル「プロローグ」の理念を踏襲した新型アイゴには、ベビーSUVの意味を込めて「X(クロス)」という接尾語が付けられており、「Aセグメントでユニークな存在」とされている。欧州におけるトヨタのラインナップで最も小さなモデルであり、ヤリスの弟分に相当する。
開閉式のキャンバスルーフ、一枚ガラスのトランクリッド、縦型のテールランプなどは、先代モデルの特徴を引き継ぎつつ大幅に改良されている。
全高は50mm高くなったが、ショートオーバーハングや天井の高いキャビンなどおなじみのシルエットはほぼそのまま維持されており、都市環境での走りやすさを継承しながらスペースを最大限に活用することに重点が置かれている。
アイゴXは、ヤリスおよびヤリスクロスに採用されているGA-Bプラットフォームの短縮版を採用する。全長は先代モデルより325mm長い3700mmとなり、ホイールベースも90mm延長されたことで、室内空間が広がり、トランク容量も60L増加した。
また、全幅を125mm拡大して1740mmとしたことで、前席間のスペースを20mm広げてショルダースペースを確保。フロントオーバーハングをヤリスよりも72mm短くし、街中や駐車場での取り回しを向上させている。
さらにシート高を55mm上げ、Aピラーを10%立たせることで視界を確保するなど、「狭い道にも対応できる」としている。
非ハイブリッドの1.0L 3気筒搭載
コンセプトで見られた過激なスタイリングは抑えられているが、トヨタはアイゴの「若々しく楽しいキャラクター」を大切にしているため、特徴的なツートンカラーの塗装を残している。また、「くさび形」のルーフラインや、目立つフロントスキッドプレート、ブラックのフェンダー、高めの着座位置(先代より11mm高い)など、4×4にインスパイアされたデザインも採用している。
トヨタによると、この車高の高いアイゴXは、新しいGA-Bプラットフォームの「実績ある」サスペンションシステムのおかげで、先代よりも剛性が高く、ロールしにくくなっているという。
インテリアは実用性を重視しているが、新しい9.0インチのインフォテインメント・タッチスクリーンとデジタルのクライメートコントロール・パネルを採用し、ワイヤレス・スマートフォン充電器やアンビエントライトを標準装備することで、コンパクトSUVという新しい分野での競争に挑もうとしている。
上級モデルでは、車載OSがアップグレードされ、さまざまな「常時接続」サービスや無線ソフトウェア・アップデート機能、スマートフォンのワイヤレス・ミラーリング機能が実装されている。
エンジンは、最高出力72PS、最大トルク9.5kg-mを発揮する1.0L 3気筒ガソリンの1種類のみ。5速マニュアルまたはCVTと組み合わされ、最高25.5km/lの燃費と107g/kmのCO2排出量を実現している。
アイゴXは、手頃な価格を実現するためにパワートレインの電動化を避けている。価格は未定だが、2022年前半に発売される際には1万4000ポンド(約210万円)前後になると予想され、ヒュンダイi10やフィアット・パンダ・クロスがライバルになると思われる。
「GR」最小モデル登場なるか
GRブランドのラインナップを拡大しているトヨタは、スズキ・スイフト・スポーツやフォルクスワーゲン・Up! GTIに対抗するために、新型アイゴXの高性能モデルを開発する可能性がある。
AUTOCARはトヨタに対し、発表されたばかりの新型アイゴXがGRブランドのエントリーモデルとなる可能性があるかどうかを尋ねたところ、同社の欧州担当副社長であるアンドレア・カルーチ氏は否定しなかった。
トヨタの将来の製品について具体的なことは言えないとしながらも、カルーチ氏は「当社の計画がどうであれ、このクルマのシャシーやボディ剛性には、スポーツモデルを作るだけのポテンシャルがあります」
「はっきりさせておきますが、当社の計画にはありませんが、アイゴXがどれほどの可能性を秘めているかは、あなた方がコメントしてくれるでしょう」
カルーチ氏は、GRバージョンについてこうも語った。「ありえないことはありません」
トヨタ自動車の豊田章男社長は、熱心なモータースポーツ愛好家としても知られている。ブランド力を高めるための努力は、GRヤリス、GRスープラ、GR86などのスポーツカー・ファミリーにすぐに反映された。
GRアイゴXが実現すれば、このファミリーへのエントリーポイントとしてユーザーの選択肢を広げることができる。GRヤリスと基本的にプラットフォームを共有していることから、GRヤリスの1.6L 3気筒ターボがアイゴXに搭載される可能性もあるが、260psもの出力はAセグメントでは過剰だろう。
パワートレインにかかわらず、カルーチ氏が示唆したように、パフォーマンス系の派生モデルにおける優先事項はハンドリングを引き締めることであり、よりスポーティなサスペンション、より大きなブレーキ、本格的なエアロパーツ、軽量化などがアップグレードの焦点となるだろう。
派生モデルを示唆する一方で、トヨタはハイブリッド仕様の可能性については(少なくとも短期的には)否定的だ。電動化すれば重量とコストの増加は避けられず、アイゴXのポジショニングを変えることになるのが理由だという。また、1.0L 3気筒ガソリンエンジンは、燃費性能において同排気量のマイルド・ハイブリッド・システムに匹敵することも強調している。
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みんなのコメント
来ないだろうけど、日本にも来て欲しい。