ついに日本に導入されたプレミアムコンパクトSUVの本命、ジャガーEペイス。その走りはスポーツカー顔負けのジャガーらしさ溢れるものだった。SUVの概念を覆すスポーツカーの走りといっても過言ではない。PHOTO◎市 健治
「SUVが世界中で大ブーム!」 自動車誌や新聞、TVなどのメディアがこぞってステレオタイプ的な見出しを飾っている今日。確かにSUVはミニバンのようなファミリー臭がまったくなく、洗練されたイメージがすっかり定着している。アップライトで視認性の良い着座位置、荷物の積載性はもちろん、なんといってもその洗練されたスタイリングが今の時代性とフィットしているのだろう。と、ライフスタイルよりも実生活での使い勝手を優先した苦渋の決断でミニバンを選んで乗っている筆者としては、華やかなSUVに“フンッ”と嫉妬しつつ、密かに憧れているのである。
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そんなSUVの中でも、個人的に最も注目しているのがプレミアムコンパクトSUVのカテゴリーだ。GENROQ誌で紹介する大型プレミアムSUVは乗るとトロけるほど快適、デザインもいかにも高級かつ威厳があって、惹かれるのだけど、狭い路地などの多い我が国において、実際の使い勝手とステータス性を冷静に考えてみるとプレミアムコンパクトSUVほど今の日本でオシャレ感を出しながら素敵なライフスタイルを演出できるクルマはないと思えるからだ。
たとえばレクサスNX、BMW X1、メルセデス・ベンツGLAがプレミアムコンパクトSUVの範疇に当てはまるのだろうが、天邪鬼の筆者にはなんとなくピンとこない。あえてプレミアムコンパクトSUVで自分のライフスタイルを演出するのであればもっとマイノリティで個性的なデザインのほうがいい。そんな偏見にみちた筆者にガツンと来たのがジャガーEペイスとボルボXC40だ。
詳細な両車のインプレッションは4月26日発売のGENROQ6月号(宣伝です!)に譲るとして、今回はニューカマーのジャガーEペイスに焦点をあててみよう(ボルボXC40は撮影時にあまり乗れなかったのでご勘弁を)。
ジャガーEペイスはミドルサイズSUVのFペイスの弟分となるコンパクトSUVだ。ボディサイズは全長4410×全幅1900×全高1650mmと都市部でも使いやすいサイズ。ジャガー曰くスポーツカーのFタイプからインスピレーションを得たデザインと謳っているが、シャープなFタイプと比較すると草食動物系の柔和で温厚な優しいデザインに映るのは私だけだろうか。
今回借りだしたのはガソリンモデルの2L直4ターボ(249ps)を搭載した「EペイスRダイナミックSE」。ちなみに180ps/430Nmを発生するディーゼルモデルも今後、日本導入予定だ。
丸2日間Eペイスとともに過ごした感想は、紛れもなくジャガーのアイデンティティが強烈に注入されているモデルだということ。個人的にはなぜか草食動物系に見えたEペイスだが、走り出した瞬間、それは肉食動物そのものだと裏切られた。例えるならば、感触はゴルフGTIやメガーヌR.S.に近い。
リニアに反応して加速するエンジンレスポンスの良さ、ステアリングの微小舵領域からノーズが反応する応答性、グレードがRダイナミックということもあるが硬めのサスペンションセッティング(Rダイナミック以外にも乗りたい!)、まるでジャガーの見たこともない新感覚ホットハッチに乗っているような気分なのだ。
山道でもついついガンガン攻めたくなるほどのキャラクターだ。一見優雅でデザインコンシャスなSUVと見せかけて、そこは紛れもないジャガー。いや、ジャガーのラインナップの中でもFペイスよりスポーティ寄りかも。
ちなみにほんの少しだけ乗ったボルボXC40はEペイスと対照的なしっとりとした草食系な乗り味だった(僅かな試乗だったのでチョイ乗りの印象です、あしからず)。
Eペイスは、都会的なライフスタイルを演出しつつ、実はスポーティなクルマが大好き、ホットハッチも大好きだけどスタイリングがねぇ~といったオタクになれない今時の隠れオシャレ走り屋に乗って欲しいフシギなスポーツSUVなのだ。朝の箱根でスポーツカーをカモれますよホント、コレ。
SPECIFICATIONS
ジャガーEペイスRダイナミックSE(P250)
■ボディサイズ:全長4410×全幅1900×全高1650mm ホイールベース:2680mm ■車両重量:1890kg ■エンジン:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1995cc 最高出力:183kW(249ps)/5500rpm 最大トルク:365Nm(37.2kgm)/1300~4500rpm ■トランスミッション:9速AT ■駆動方式:AWD ■サスペンション形式:Fマクファーソンストラット Rリンクストラット ■ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク ■車両本体価格:650万円
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