2019年7月に登場した日産の新型「スカイライン」は、2014年に販売開始されたV37型の、いわゆるビッグマイナーチェンジだったわけだけれど、インフィニティのメガネみたいなマークが消えて、日産のアイデンティティである“Vモーショングリル”に変わった。
リア・エンドにはスカイライン伝統の丸型4灯ライトを復活させてもいる。インフィニティ「Q50」を名乗る海外仕様との統一路線をあらため、国内は「スカイライン」でいくことを日産ははっきり打ち出したのだ。スカイラインのファンは溜飲の下がる思いだったのではあるまいか。
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【主要諸元(GT Type P)】全長×全幅×全高:4810mm×1820mm×1440mm、ホイールベース:2850mm、車両重量:1710kg、乗車定員:5名、エンジン:2997ccV型6気筒DOHCツインターボ(304ps/6400rpm、400Nm/1600~5200rpm)、トランスミッション:7AT、駆動方式:RR、タイヤサイズ:225/50RF18、価格:463万8700円(OP含まず)。スカイラインこそ“技術の日産”の象徴である。とばかりに、高速道路でのナビ連動ルート走行と同一車線内でのハンズオフ(手放し運転)機能という“世界初の先進運転支援技術”を投入。以前よりもステアリングがクイクイ動くこの「プロパイロット2.0」には筆者も驚嘆! 案外、自動運転は近いのかも……と、思いを新たにした。
しかしながら、運転支援技術なんていうのはスカイライン・ファンにとって、座興のひとつにすぎない。古いヤツだとお思いでしょうが、新型スカイラインで真に注目すべきは、ここにご紹介する3.0リッターV型6気筒ツインターボ・エンジンである。
ボディは全長×全幅×全高:4810mm×1820mm×1440mm。パワートレーンは3.0リッターV型6気筒ツインターボのほか、3.5リッターV型6気筒+モーターのハイブリッド仕様の2種類。ランフラットタイヤは全グレード標準。フェラーリを思い出す!?インフィニティQ50の2016年モデルから搭載されたこの「VR30DDTTユニット」は、オール・アルミの軽量・小型設計の日産新世代V型6気筒DOHCである。シリンダーごとにインジェクターを配した直噴で、電動ウェイストゲート付きのターボチャージャーとインタークーラーを各バンクに備えている。ツインターボ過給による最高出力は304ps/ 6400rpm、最大トルクは400Nm/1600~5200rpmを誇る。
搭載するエンジンは、2997cV型6気筒DOHCツインターボ(304ps/6400rpm、400Nm/1600~5200rpm)。WLTCモード燃費は10.0km/L。試乗車のGTタイプPは、3種類あるグレードのうちの中間だけれど、装備は一番上のタイプSPと遜色ない。明瞭な違いはタイプSPが19インチとなるのに対して、こちらは18インチを履くことだ。
というようなデータはあとから確認したわけだけれど、走り始めてすぐ、「これはいいクルマだ!」と、筆者は直感した。じつは私自身、ちょっと意外だった。ビッグマイナーを受けたとはいえ、デビューからすでに5年も経っている。古いヤツなんである。という先入観もあって、タカをくくっていた、のかもしれない。で、なにがいいのか、あれこれ考えた。
最小回転半径は5.6m。トランスミッションは電子制御式7AT。結局、3.0リッターV型6気筒ツインターボで、後輪駆動の中型セダン、という古典的な成り立ちがいいのだ。いまどき3.0リッターV型6気筒ツインターボなんて贅沢なエンジンを、どこがつくっているのかといえば、すぐに思い浮かぶのがマセラティ、あるいはアルファ・ロメオ、ということはともにフェラーリ製である。
マセラティ「ギブリ」の2979ccV型6気筒は350ps、500Nm、アルファ・ロメオの「ジュリア クアドリフォリオ」は2891ccV型6気筒でちょっと排気量が小さいけれど、510ps、600Nmという超高性能ぶりを発揮している。スカイラインには「400R」用の405psと475Nmを生み出すVR30DDTTの強化版がある。
較べる相手がフェラーリである。少々数値的に落ちるのは恥ずかしいことでもなんでもない。官能面でも、イタリア製にはもちろん負けている。あれほど泣き叫んだりはしない。ニッポンの美意識は、わびさび、辛抱にある。かの国のエンジンより信頼性と耐久性の面で較べものにならないほどすぐれている(、と信じたい)。
搭載する3.0リッターV型6気筒ツインターボ・エンジンは、小径のタービンとコンプレッサーのターボチャージャーを採用。本革巻きステアリング・ホイールはパドルシフト付き。ガソリンモデルのパーキングブレーキは足踏み式(ハイブリッドは電動式)。ちょっと華やかにすぎる名前を思いついてしまったのは失敗だったかも……。いや、ニッポンにはニッポンのよきところがある。あちらがスパゲッティなら、こちらには、そばとうどん。きしめん。夏が来たら、そうめんもいい。ニッポン人なら、ツルっといきたい。ああいう喉ごしのよさ、に通じる滑らかさが新型スカイラインGTにはある。
それを、屋台でちょいと食べているみたいな風情がある。それは乗り心地がランフラット・タイヤを履いているのもあって、ほんの心持ち揺れるのと、ボディの剛性感が最新ドイツ勢に較べたらちょいとユルイというか、フツーなせいによるのかもしれない。
けれど、そういうのは覚悟のうえだ。こちとら江戸っ子じゃないけど、なんといってもスカイラインは後輪駆動なんでげす。と、太鼓持ちになっちゃったよ。後輪駆動はなにがいいか。ステアリング・フィールがいい。世にあまたある前輪駆動に較べて、操舵系が駆動力の干渉を受けない。そういう、生まれついての筋がいいのである、スカイラインは。
インパネは、ふたつのモニターを上下に設置。上段がナビ用、下段がエアコンやインフォテインメント用。メーターはオーソドックスなアナログタイプ。“インテリジェント・モビリティ”は似合わないいまどき珍しい3.0リッターという大排気量で、6気筒というマルチ・シリンダー。これは、いくらおなじような、あるいはスカイラインGTターボ以上の最高出力と最大トルクを発揮しているといっても、近頃世にはびこる2.0リッターの4気筒ターボとは味わいが違う。しかも、電気モーターの力をいっさい借りていない。そこには3.0リッターV型6気筒ツインターボのピュア・ガソリン・エンジンならではのレスポンスがある。
最高出力304psと最大トルク400Nmって、リアル・ワールドでは十分すぎるパワーとトルクで、アクセルを軽く踏み込んだだけで、ここには書けない速度に瞬時に達する。速くて、ちょっと荒っぽくて、ある意味では古いくさい。スカイラインGTかくあるべし、である。
フロントシートは電動調整式。シート表皮はエントリーグレードを除き本革。リアシートのバックレストは可倒式。ラゲッジルーム容量は510リッター。9インチのゴルフバッグを4個積める。VR30DDTTを搭載するスカイラインGTターボには、プロパイロット2.0が搭載されていないところもいい。古いヤツとお思いでしょうが、自動車ってのは人間が運転して楽しむ乗り物なのである。古いヤツほど新しいモノを欲しがるものなのかもしれないけれど、少なくともインテリジェント・モビリティはスカイラインGTには似合わない。
スカイラインでもGTというのは、極東のエンジニアがたまさかポルシェと戦う宿命を背負うことになっちゃって、つくりあげたブランドである。その意味で、GT-Rとの分離は不幸な出来事だった、と、個人的には思うけれど、過去は変えられない。VR30DDTT搭載を嚆矢としてスカイラインGTの反撃を期待したい。ポルシェ「タイカン」に対抗するエレクトリック・スカイラインが出てもいいじゃないか。話は違いますけど。
新型スカイラインの発売1カ月半後に日産が発表した受注実績によれば、プロパイロット2.0搭載のハイブリッドが48 %で、GTターボが52%。そのターボのなかでも400Rが半分を占めているという。スカイラインGTかくあるべし。と考えているのは、筆者のみならずである。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
へぇ~。
基本的に細かい誤字なんかはスルーするんだけどさ、スペックの転記くらいまともにやれや。
エンジンどこに積んでんだろう。写真では後席もトランクもあるし、後部座席下?
V6エンジンをそんなところに格納する超技術。さすが技術の日産w
この記事、プロとして報酬を貰って書いているなら、いいかげんな情報を載せるなんて論外ですね。ちゃんとしてください。