■伝統を継承しながら進化した「次世代のショーファーカー」
トヨタは2023年9月6日、「センチュリー」に新シリーズを追加しました。
専属運転手がハンドルを握り、後席にオーナーやゲストを乗せる高級車、いわゆる「ショーファーカー」の最上級セダンとして、55年以上の歴史を持つセンチュリーですが、新シリーズはボディタイプを大きく変更しています。
【画像】斬新! これが日本の「最上級」ショーファーカーです! 新型「センチュリー」を画像で見る(50枚以上)
1967年に誕生したセンチュリーの初代モデルは、世界の高級車と肩を並べられる「今までにない新しい日本の高級車」を目指し開発されました。
内外装のデザインは日本の美を意識した品格あるものとし、人中心の思想で圧倒的な静粛性や快適性を実現させるなど、トヨタが持つ技術の粋を注ぎ込んだといいます。
この思想は、2018年に登場した現行型(3代目)まで50年以上にわたり受け継がれており、日本を代表するショーファーカーとして各界のエグゼクティブから長年支持され続けてきました。
そんななか、今回発表された新型センチュリーは、培われた伝統を継承しながら、多様化する時代に合わせ進化を遂げた「次世代のショーファーカー」だといいます。
引き続き併売される現行型のセダンタイプ(以下センチュリーセダン)と比較しながら、今回発表された新シリーズ(以下、新型センチュリー)について紹介します。
ボディ側面から見ると、2モデルは大きく異なるフォルムであることがわかります。
新型センチュリーのボディサイズは、全長5205mm×全幅1990mm×全高1805mm、ホイールベース2950mmで、SUVスタイルのデザインとなっています。
対するセンチュリーセダンは、全長5335mm×全幅1930mm×全高1505mm、ホイールベース3090mmで、初代から3世代にわたり続く、後部のトランクが独立した4ドアセダンスタイルを維持しています。
もっとも大きく違うのは、300mm上がった全高です。
トヨタは新型センチュリーのパッケージングの狙いについて次のように説明します。
「新型は、今の時代が求める『至極の後席空間』や『美しい乗降所作』を可能とする新たなパッケージングを追求しました」
前席の着座姿勢が変わったことと相まって、足元空間を拡大。さらに助手席を前方にスライドさせれば、1200mmのカップルディスタンス(前後席間の距離)を確保します。
センチュリーセダンも、後左右席のリクライニング&スライド機構を持つパワーシートや、助手席を前倒しした際に使用する後左席用電動オットマン(フットレスト機構付き)を備え、リラックスした後席乗員の姿勢を確保しています。
しかし新型センチュリーでは最大77度と、ほぼフラットになるリクライニング角度を持つ後席を備えるのが大きな特徴です。
トヨタによると、身長190cmの人が足先を伸ばしても、前席に触れないほどの広さが確保されるといいます。
また最大75度の後席ドア開度に加え、大型アシストグリップやオート電動格納式ステップ、そして自然と背筋が伸び、姿勢を崩さないドアの開口部形状などで「美しい乗降所作」を実現させたのも、新型センチュリーならではの特徴となっています。
■オーダーメイドで自分だけの1台をつくる新たな試みも
パワートレインも新型センチュリーとセンチュリーセダンでは大きく異なります。
新型センチュリーは、3.5リッターV型6気筒のPHEV(プラグインハイブリッド車)で、四輪駆動「E-Four Advanced」と組み合わせています。
日常はBEV(電気自動車)として、長距離はHEV(ハイブリッド車)としてそれぞれ使うことができます。
カタログ燃費は14.2km/L(WLTCモード燃費)。BEVでの走行可能距離は69kmとなっています。
また四輪操舵システム「ダイナミックリアステアリング」を設定するほか、後席の乗員の快適性を最優先したショーファーモードというべき「リアコンフォートモード」を設定した統合制御「ドライブモードセレクト」も採用しています。
一方で、オーナーがドライブを楽しめるドライバーズカーとしての走行性能も確保しているといいます。
センチュリーセダンは、5リッターV型8気筒HEV仕様で、駆動方式はFR(後輪駆動)。WLTCモード燃費は12.4km/Lです。
AVS(Adaptive Variable Suspension System)機能付き電子制御エアサスペンションを備え、フラットな乗り心地を保ちます。
販売価格(消費税込み)は、新型センチュリーが2500万円、センチュリーセダンが2008万円です。
※ ※ ※
今回の新型センチュリーは、センチュリーを熟知したセールスやエンジニア「センチュリーマイスター」が在籍する一部の販売店において取り扱われます。
また、高級ファッションブランドがオーダーメイドで洋服を仕立てるように、ボディカラーや内装など、ユーザーの嗜好に応じた世界で1台のセンチュリーを作り上げるプランも用意される予定だといいます。
9月6日に行われたワールドプレミア会場では、後席にスライドドア(リンクドア)を備えた「GRMN」仕様という、通常のカタログモデルとは大きく異なるカスタマイズモデルが展示されていました。
トヨタではここまでの大規模な変更にも対応するといい、予算さえあればかなりのことができそうです。
これも新型センチュリーならではの新たな試みといえます。
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