■歴史あるクルマから新参者まで、現行の軽クロカン
2020年に入って軽SUV市場が盛り上がりを見せており、同年1月にはスズキ新型「ハスラー」が発売されたほか、同年6月にはダイハツ新型「タフト」が発売される予定です。
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一方、ハスラーやタフトのほかに、スズキの現行モデルとして本格軽クロスカントリー車「ジムニー」が存在するほか、過去には個性豊かな軽SUVが存在しました。そこで、最新モデルからかつての名車まで、個性豊かな軽SUVを5車種ピックアップして紹介します。
●ダイハツ「タフト」
2020年1月、幕張メッセで開催された東京オートサロンで、俄然注目を集めていたモデルが新型タフトです。同名のモデルは1974年から本格クロカン四駆として販売していましたが、新型は新ジャンルのクロスオーバー軽自動車となりました。
注目すべきはエクステリアのデザインです。タフで道具感に満ちた無骨ともいえるスクエアなボディに、15インチ大径タイヤ+樹脂製フェンダーを採用して、最低地上高190mmを確保したのが特徴です。
ボディサイズは軽自動車規格内の、全長3395mm×全幅1475mm×全高1630mmで、ホイールベースはライバル車のスズキ「ハスラー」と同じ、2460mmとたっぷりあります。
プラットフォームは、2019年にフルモデルチェンジしたタントが初採用した「DNGA」(Daihatsu New Global Architecture)で、エンジンは660cc直列3気筒自然吸気/ターボの2種類です。
また、大きな開放感をもたらすガラスルーフ「スカイフィールトップ」が全車に備わることも新型の特徴でしょう。
インテリアは丈夫でタフ、そしてアクティブに使えるフレキシブルなシートアレンジが自慢の「バックパック・スタイル」で、徹底的に使い倒すための後席&ラゲッジを目指しました。
新型タフトの発売は2020年6月が予定されています。
●スズキ「ハスラー」
ハスラーは、軽自動車とSUVのクロスオーバーとして登場した車種です。2014年に登場した初代モデルは、デビューから6年で48万台以上が販売されました。
その後、2020年1月に2代目が登場し、大きく生まれ変わりました。プラットフォームも、高剛性と軽量化を両立するために一新されています。
搭載されるエンジンは660cc直列3気筒の自然吸気/ターボで、全モデルにマイルドハイブリッドシステムが搭載されています。
また、新型プラットフォームのホイールベースは、従来と比べ35mm延長されて2460mmになり、その恩恵は後席の広さに繋がりました。
最低地上高180mmを活かして、多少荒れた道でも躊躇せずに乗り入れることが出来ます。
エクステリアは、角ばったスタイルと丸目のヘッドライトで、愛嬌のある表情を生み出しています。また、個性的なボディカラーを豊富に取り揃えているのも、ハスラーの特徴といえます。
インテリアはアウトドアスタイルを取り入れて、メーター、ディスプレイ、グローブボックスを枠で縁取った遊び心のあるデザインとしました。
アウトドアでの使い勝手も考慮して、機能性を追求した収納スペースなどが各所に設けられるとともに、後席を前に倒してフルフラットにすることで、車中泊にも対応可能です。
ラゲッジスペースや後席背面に防汚仕様の素材を用いることで、濡れたものや汚れたものを収納できるなど、レジャーシーンで便利な機能も備えています。
■かつての軽クロカンも良かった! さまざまな名モデルとは
●スズキ「ジムニー」
デビュー以来50年、ジムニストと呼ぶ熱烈なファンに支持される軽自動車規格の本格派クロスカントリー4WD車がジムニーです。
かつて存在した自動車メーカー「ホープ自動車」が発表し「ON型4WD」の製造権を、スズキが譲り受け商品化したという経緯があります。
軍事用車両として米JEEP社が採用した伝統的なラダーフレームに、前後ともにリジッドアクスルサスペンション、副変速機を備えたパートタイム式4WDシステム、大径16インチタイヤを組み合わせた軽量コンパクトなジムニーは、初代モデルから圧倒的な悪路走破性を備えていました。
初代モデルのボディは、当時の軽自動車枠に収まる全長2955mm×全幅1295mm×全高1670mm、車重600kgの幌によるオープンボディで、エンジンは360ccの2ストローク空冷2気筒が搭載されました。
発売されると、維持費の廉価な軽貨物車でありながら、メルセデス・ベンツ「Gクラス」やトヨタ「ランドクルーザー」などの大型四駆車に肩を並べる高い走破性が評価されて、ヒット商品に育ちます。
現行モデルは2018年登場の4代目モデル(JB64型)です。フロントミッドに搭載するエンジンは660cc直列3気筒ターボで、最高出力64馬力/最大トルク96Nmを発揮します。
また、現行モデルは登場からおよそ2年経った今でも納車待ち1年以上という、高い人気を誇っています。
※ ※ ※
前述のとおり、最新の軽SUVにはさまざまなモデルが存在あるものの、かつて販売されていた軽SUVにも個性的なモデルが存在しました。いったい、どんなモデルだったのでしょうか。
●三菱「パジェロミニ」
1980年代後半に本格クロカンとして名を馳せた三菱「パジェロ」の冠を譲り受けた軽自動車の四駆「パジェロミニ」は、1994年に“オールラウンド・パーソナルギア”をキャッチフレーズにデビューしました。
ティザーキャンペーンを大々的に実施してモデル名を一般公募したものの、決まった名はあまりに凡庸だという意見も多かったようです。
シャシ構造はラダーフレームのような構造材で、フロア剛性を強化した独自のモノコック構造です。エンジンは660cc直列4気筒ターボをメインに設定。そして自然吸気のラインナップもありました。
駆動方式はイージーセレクト4WDで、走行中(80km/h以下)でも2駆と4駆の切り替えが可能でした。また、フリーホイール機構付きのフロントデフが備わっているのもパジェロの名に恥じない装備といえます。途中で自然吸気モデルに2WD仕様が加わっています。
その後1998年、衝突安全性強化のため、軽自動車のボディサイズ規格が拡大し、それに伴ってパジェロミニもフルチェンジします。
ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1635mmに拡大され、ヘッドランプが丸形2灯式から異形角形2灯に変わりました。
2008年から日産にOEM供給され、「キックス」の名で販売されましたが、独自プラットフォームのため他車種との共用によるコスト削減が困難、加えて「歩行者頭部保護基準」に対応できないことを理由に、2012年に生産終了を発表しました。
●ダイハツ「テリオスキッド」
背面スペアタイヤを背負ったデザインが特徴となるダイハツの軽SUV「テリオスキッド」は、1998年10月に初代が登場しました。
兄貴分にあたる登録車だったライトSUV「テリオス」のボディを軽自動車枠に収めて、エンジンも660cc直列3気筒ターボに換装したモデルです。
駆動方式はメカニカルセンターデフ方式フルタイム4WDで、インパネのスイッチで切り替えるデフロック機構を備えていました。仮想敵は後述する三菱の「パジェロミニ」で、ライバルのパジェロミニが2ドアなのに対して、4ドアの利便性を訴求したモデルでした。ボディはモノコック構造が採用されています。
小型登録車のテリオスが2006年に終売となった後も、軽自動車のテリオスキッドは継続生産され、途中2WD(FR)仕様などを追加するなど曲折を経て、2012年まで販売された長寿モデルでした。
※ ※ ※
日本のガラパゴス的なカテゴリとなっている軽自動車ですが、軽SUVが持つタフで愉しい遊びグルマとしての魅力、そして実用車としての資質の高さは、今後も失われることは無いでしょう。
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