エンツォ・フェラーリが指揮を執った最後のロードカー
2024年11月に英国ロンドンで開催されたRMサザビーズのオークションに、1989年型のフェラーリ「F40」が出品され、高値で落札されました。どんなクルマなのでしょうか。
【画像】3億7000万円で落札! ピッカピカの1989年製フェラーリ「F40」を写真で見る(30枚)
フェラーリの輝かしい歴史の中で、F40ほど「跳ね馬」の神秘性を端的に表現したモデルはないでしょう。
ピニンファリーナがデザインしたボディワークは、フェラーリ初の複合素材のみで構成され、快適性を極限まで排除したスパルタンなインテリアにより、車両重量はわずか1200kgに抑えられました。
そのパワーユニットは7000rpmで約478馬力を発生し、0−60mph(約96km/h)加速は約4秒、最高速度は201mph(約322km/h)で、当時の市販車としては世界最速でした。
1987年7月21日に一般公開されたF40は、翌年に死去した総帥エンツォ・フェラーリ自身が指揮を執ったフェラーリ最後のロードカーとして、伝説にその名を刻みました。
F40は、1987年から1992年までに1311台が生産されました。
今回の出品車は、ヨーロッパ仕様の非常に望ましい初期シリーズ、「ノン・キャット、ノン・アジャスト(触媒非装着、調整非可能なサスペンション」のシャシナンバー「83052」です。
この個体は1989年10月25日にフェラーリのマラネロ工場を出発し、モデネーゼ フェラーリ エージェント モーターS.p.A.に送られました。
1990年代初頭までにフランスに渡り、1997年にヨーロッパ大陸を離れ、同年末に英国に到着しました。このときに記録された走行距離はわずか2866kmでした。
2001年6月、この個体はロンドンのボンドストリートで開催された権威あるフェラーリ オーナーズクラブ コンクールデレガンスに招待された、わずか2台のF40のうちの1台でした。
シャシナンバー83052のF40はこれまで入念にメンテナンスされ続けた記録が残ります。2001年6月にはカムベルトなどを交換し、翌年にはクラッチを交換、2004年/2006年/2007年には、それぞれ1万3168km/1万4701km/1万6100kmで定期点検が実施され、2008年7月にはクラッチの交換を含む大規模な点検が実施されました。
さらに2012年3月に新しい燃料タンクを、2016年にはオリジナルの純正サイレンサーボックスを装着、2024年5月には、カムベルト、エアフィルター、スパークプラグ、バッテリーの交換に加え、エンジンの診断とセットアップを含む大がかりな点検を行い、燃料タンクを再び新しくしました。
注目すべきは、2024年のメンテナンス支出だけで約1万8481スイスフラン(およそ1万6000ポンド:当時のレートで約317万円)に達していることです。
フェラーリ初の200mph(約320km/h)を達成したスーパーカーであり、初のオールコンポジット製ボディワークであり、そそしてエンツォ・フェラーリ直筆のサインが入った最後のフェラーリ ロードカー、F40。
このクルマは間違いなく「アナログ」時代の究極のスーパーカーでした。
今世紀に入ってからわずか2人のオーナーに渡ったこのF40は、カタログ掲載時の走行距離はわずか2万921km。このようなF40が市場に出回ることはめったにないので、オークションでの注目度は高いものでした。
この1989年型 フェラーリ F40は、197万3750ポンド(1ポンド=191円として、約3億7700万円!)で落札されました。
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