この記事をまとめると
■スズキより新型スペーシアギアが登場した
【試乗】装備も走りも燃費も満足で「これが売れなきゃ何が売れる?」 スズキ新型スペーシアは魅力が渋滞してた
■スペーシアで評判となっている装備はそのまま引き継がれている
■エンジンやホイールサイズなどスペーシアギア専用のパッケージとなっている
ついに待望のモデルがやってきたぞ!
2023年11月のフルモデルチェンジ以来、軽自動車最多セールスの座をホンダN-BOXと競い合っているのがスズキ・スペーシア。2024年5月には、軽自動車のみならず乗用車全体で”日本一売れたクルマ“になるほど。
そんなスペーシアの人気がさらに高まること確実! といえる新バリエーションの登場だ。いうまでもなく、その新しいバリエーションは「スペーシアギア」。先代モデルの途中、2018年12月に追加された軽スーパーハイトワゴンのSUVバージョンが、現行スペーシアにも追加設定された。
あらためて、現行スペーシアについて整理してみよう。
後席スライドドアをもつボディは、軽スーパーハイトワゴンとしてはオーソドックスなものといえるが、ベーシックな標準系は角丸の長方形ヘッドライトが可愛さを表現。シーケンシャルターンランプと細目のヘッドライトをもつカスタムは、フロントグリルだけでなくバンパー部分にもメッキ加飾を大胆に使ったアグレッシブな顔つきが特徴だ。
パワートレインは、ロングストロークのNAエンジン「R06D」型と、パワフルなインタークーラーターボ「R06A」型という2種類のエンジンを用意。それぞれマイルドハイブリッドとなるが、ターボエンジンにはよりパワフルなモーターが組み合わされるなど、パフォーマンス重視の姿勢が明確だ。トランスミッションはいずれもCVTだけの設定となっている。駆動方式はFFを基本としつつ、全グレードで4WDを選べるが、ターボエンジンはカスタムだけの設定となっている。
インテリアではデジタル表示のスピードメーターとカラーインフォメーションディスプレイによる未来的なコクピットが印象的だが、ライバルに対する最大の差別化ポイントはリヤシートにある。標準系・カスタム系とも上級グレードのリヤシートには、座面先端が可動する「マルチユースフラップ」が標準装備されている。
座席に置いた荷物を抑えるストッパーモード、大柄な乗員も十分なボリューム感を得られるレッグサポートモード、そして駐車時のリラックスタイムに活躍するオットマンモードと、3つのモードで活用できるというのは、スペーシアのストロングポイントだ。
さらにスリムタイプのルーフサーキュレーターを備えるなど、後席快適性の高さはスペーシアを選ぶインセンティブになっている。
マイルドハイブリッドのパワートレインやマルチユースフラップといったメカニズムについて、新しいスペーシアギアは完全に踏襲している。むしろスペーシアギアだからといって変わっている部分はない。
”ギア”なら痒いところに手が届く!
しかし、エクステリアと内装のカラーマテリアルではスペーシアギアらしいオリジナリティが加えられている。
先代モデルから受け継ぐ「無骨かわいい」エクステリアは、丸目ヘッドライトや縦にメッキ加飾を置いたフロントグリル、スキッドプレートの備わるフロントバンパーが特徴。これにより、ひと目でスペーシアギアとわかる新しいフロントマスクを表現している。
そのほか、ルーフレール、ドアガーニッシュ、サイドアンダーガーニッシュ、リヤバンパーなどでもSUVテイストを表現。足もとは専用デザインの14インチアルミホイールが標準装備となっている。サイドドアエンブレムや「GEAR」のロゴなどにオレンジのさし色を入れているのは道具感を引き立てる表現だ。
インテリアは、アウトドアテイストのカーキグリーンをベースに、エクステリアでも印象的だったオレンジをアクセントに利用したスペーシアギアだけの空間を演出。遊びゴコロと機能性を両立した撥水シート地にもオレンジステッチが入るほか、運転席の背面にはオレンジ地のシートバックタグを装備。内外装のデザインキーワードである『タテヨコナナメ』とスペーシアギアのアイコンを組み合わせたタグは、冒険心をかき立ててくれる。
また、デジタルメーターについても基本構成はほかのスペーシア・シリーズと共通ながら、オレンジのドット模様を加えることでギアらしさを表現しているのは注目したい。
さて、スペーシアギアのエクステリアをよく見ればわかるように、ボンネットやフェンダーといったプレス部分は、標準系スペーシアと共通となっている(ちなみにカスタム系は専用ボンネットやフェンダーを採用)。撮影車両が履いていた155/65R14タイヤの銘柄はダンロップ・エナセーブEC350+で、これも標準系スペーシアが履いていると同じ銘柄だ。
ただし、スペーシアギアにはターボエンジンのマイルドハイブリッドが用意されている。ヒーター付き本革巻ステアリングホイールや6スピーカー、アダプティブクルーズコントロール、電動パーキングブレーキの標準装備といった内容は、スペーシアカスタムの上級グレードと共通といえる。
スペーシアカスタムではターボエンジンは15インチタイヤとのコンビネーションとなっているので、ターボエンジン+14インチタイヤはスペーシアギアだけの設定だ。
気になるメーカー希望小売価格は、NAエンジンの「HYBRID XZ」が195万2500円(FF)/207万2400円(4WD)となり、ターボエンジンの「HYBRID XZターボ」は203万7200円(FF)/215万7100円(4WD)となっている。
なお、スペーシアカスタムの上級グレード「HYBRID XS」系のメーカー希望小売価格は、NAエンジンが199万5400円(FF)/211万5300円(4WD)、ターボエンジンが207万3500円(FF)/219万3400円(4WD)であるから、おおよそ4万円前後はスペーシアギアのほうが安価という計算になる。
フルモデルチェンジ以来、想定以上の人気ぶりが話題となっているスペーシアカスタムと、もはや軽スーパーハイトワゴンには欠かせない存在となったSUVテイストのスペーシアギアは、まったく異なる個性なので、どちらを選ぶか迷うというユーザーは少ないかもしれないが、新型スペーシアのラインアップ全体を見ると、スペーシアギアは最安値のターボ車を用意するバリエーションとなっているのも事実だ。
タッチの柔らかい14インチタイヤと、エンジン&モーターともパワフルなマイルドハイブリッド・ターボの組み合わせは、新しいスペーシアギアにSUVらしい余裕の走りを表現していることが期待できる。はたしてどんな乗り味を実現しているのか、試乗する日が楽しみだ。
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