人々の記憶から消えているモデルの筆頭と個人的に思っているのがルノー・トゥインゴ2だ。初代ほどのエポックメイキングさはなく、やや凡庸だったためひっそりと姿を消し、現行の3代目へとバトンを渡したモデルである。だが、中古車市場ではトゥインゴ2は超目玉的存在なのだ!
筆者がルノー・トゥインゴと聞くとまず最初に思い出すのが初代、そして次にイメージするのが現行3代目である。初代トゥインゴは15年ほど前に1年ほど所有していたことがある。5速MTの「パック」と2ペダルMTの「イージー」が設定されていたが、イージーは故障しやすいこともあり、中古のパックを約30万円で購入した。最初はパトリック・ルケモンの愛らしいデザインに惹かれての購入だったが、いざ愛車にしてみるとこれが実によく出来た名車だとわかった。
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まず感心したのがその秀逸なパッケージングだ。タイヤを目一杯ボディ四隅に配置したことで、Aセグメントに属するモデルとしては異様に車内が広い。特に後席は、身長175cmの筆者が乗っても足元のクリアランスが十分にあり、長距離移動だって苦痛ではなかった。また助手席をフラットに倒して長尺物を積めるなど、積載能力も非常に高かった。
ネックだったのは左ハンドルのみの設定と、猛烈に遅い(最高出力58ps、最大トルク9.3kgm)エンジンくらいだろうか。その鈍足ぶりには呆れることもあったが、強風時の高速安定性やたっぷりとストロークする優しい乗り味は、そんなネガティブな要素を払拭するに余りあるほどだった。改めて言おう、初代トゥインゴは紛れもない名車だったと。
その名車からバトンタッチする形で登場したのが2008年に登場したトゥインゴ2だ。デザインは初代の面影はほとんどなく、内装にいたってもセンターコンソール上部にちょこんと盛り上がって設置されるハザードランプだけが初代を彷彿とさせるくらい一新された。
右ハンドルが新たに設定され、ボディサイズを拡大し、インテリアの質感を上げるなど、より上質なモデルとして生まれ変わったのだ。またスポーティなGTやR.S.モデル、限定車のルノースポール・ゴルディーニなど初代にはなかったスポーツ路線も展開した。
だが、クリオに似た特徴の薄いデザインと、今どきのAセグメントのライバルたちとほぼ変わらない機能性や居住性により、トゥインゴ2は初代ほど話題にもならず、ひっそりと2014年に生産終了となってしまった。
その反省を活かし、2014年にRRとして新たに生まれ変わったのが3代目となる現行トゥインゴだ。日本には2016年に導入され、現在ルーテシアとともにルノー・ジャポンのA~Bセグメントを支えるモデルとなっている。
そのような経緯もあり、実は今、手頃で安いAセグメントモデルを探している人にとってトゥインゴ2は中古車市場で狙い目の1台だ。初代トゥインゴはさすがに現代の足として使うには故障などの問題がつきまとうので、エンスーや玄人向けだが、安価なAセグ輸入車を求めている人にとって、人々の記憶から忘れ去られているトゥインゴ2は意外な選択肢となりえる。
実際に調べたところ中古車相場は20万~50万円ほど。新車当時198万~240万円ほどしたことを考えると、超バーゲンセールといっていい。3代目トゥインゴに注目が集まる今だからこそ、2代目を狙ってみてはいかが?
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