BMW 3シリーズのライバル
執筆:John Evans(ジョン・エバンス)
<span>【画像】世界初のV6ツインターボ マセラティ・ビトゥルボ 最新のマセラティ・モデルも 全82枚</span>
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
マセラティの救世主として2013年に誕生した、現行のギブリ。年間5万台の販売を目標に据えた、BMW 5シリーズのライバルだ。しかし高いランニングコストと競合には及ばない動力性能で、マセラティの狙い通りにはなっていない。
トライデントの紋所としては、初めてのことではなかった。1981年、マセラティはBMW 3シリーズのライバルとして、ビトゥルボを発売した。ギブリと同じ熱意を持って。だが、製造品質や信頼性の低さから、台数を伸ばすことはできなかった。
ビトゥルボの主力となったクーペは、1990年まで生産された。ソフトトップのスパイダーは、1994年まで生産が続けられた。それでも、英国で売れたビトゥルボの台数は、700台ほどに留まっている。
生産終了から30年ほど経つビトゥルボだが、クラシックカーとして優しく受け入れてくれない人も、英国にはいるようだ。フェラーリを得意とするガレージを経営する、カール・ヴェルド氏は次のように述べている。
「ひどいクルマでしたね。デザインも設計も、フィーリングも。真新しいビトゥルボをサーキットで走らせた友人は、コーナーの度にスピンしていましたよ」
だが、すべての人が辛口な言葉を寄せるわけではない。英国の中古車市場に目を向けると、美点を感じるオーナーによって大切に乗られてきたビトゥルボが、手頃な価格で売りに出ている。
世界初のツインターボエンジン
クラシックカーは全般的に値上がり傾向で、マセラティも例外ではない。数年前なら8000ポンド前後でビトゥルボを手に入れることができた。最高の例でも、1万2000ポンドほどが相場だった。
現在では、そこそこの状態でも1万2000ポンド(約186万円)がスタートライン。高い値段が付いているビトゥルボでも、状態が疑わしい例もある。徹底的にチェックしてから購入したい。
マセラティ・ビトゥルボは、1981年に左ハンドル車のみで発売された。V6のキャブレター・エンジンに世界初のツインターボを搭載した、ハンサムな2ドアクーペだった。
トランスミッションは当初は5速MTと3速ATをラインナップ。MTでは、1速が横に飛び出たドッグレッグと呼ばれるゲートパターンを持つ。
1984年に4ドアサルーンと、ソフトトップのスパイダーが追加。興味深いのが、クーペよりスパイダーの方がホイールベースが短いこと。ボディ剛性は下がるものの、クーペより機敏に走ることが目指されていた。
1986年に、右ハンドルのクーペとスパイダーが英国へ上陸。2.5LのV6エンジンは195psを発揮し、悪くない速さを誇った。
モデル中期のフェイスリフトを経て、1987年に燃料インジェクションを採用。2.5L V6エンジンは24psのパワーアップを達成する。同時期に2.8LのV6エンジンも追加され、こちらは250psを発揮した。
進化を重ねたビトゥルボだが、より安く乗りやすいBMW 3シリーズからの買い替えを促すには充分ではなかった。しかし今なら、状態の良い例を探せば、貴兄の潤沢な財産をすべて失うまでには至らないだろう。
オーナーの意見を聞いてみる
デビッド・グリーン
「4台のマセラティ・ビトゥルボを所有しています。とても気に入っていますよ。製造品質が悪く、錆びやすいという話をよく聞きますが、それは手入れが良くなかったためでしょう」
「エンジンは先進的なものでしたし、ボディパネルは溶接でつなぎ合わされています。ディーラーの数も英国では少なく、手に負えず放置された例が多かったようです。そもそも、英国の道を想定したモデルではありませんでした」
「ヘッドライトの後ろにタイヤの跳ねた泥が付き、腐食が進むんです。きれいに掃除していれば、サビは防げます。防錆処理すれば安心ですね」
「普段の足にしているのは、2.5Lのクーペ。速く信頼性も高く、錆もありません。最近は取り引き価格が上昇しているので、状態の良いビトゥルボを手頃に入手できれば、今後のクラシックカーとしての価値にも満足できるはずです」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
エンジンオイルは9600km毎、タイミングベルトは3万8000km毎の交換が推奨。整備記録を調べたい。タイミングベルト交換は、技術があれば45分ほどで済ませられる。ウォーターポンプの状態も一緒に確認する。
油圧はエンジンが温まった状態で、4kg/cmが正常値。長時間のアイドリング時に、冷却ファンが作動するかも確かめたい。
エンジンオイルとクーラントが内部で混ざっていないか、エンジン後方やバルクヘッド付近にエンジンオイルの汚れが付着していないかも確認ポイント。
トランスミッション
MT自体は比較的堅牢だが、クラッチやスレーブシリンダーが弱点。クラッチペダルのストロークが短い場合、不具合の証拠。4速ATは、初期の3速ATより信頼性で勝る。
ブレーキとサスペンション
ブレーキディスクに歪みがないか、試乗で確かめたい。ベンチレーテッドディスクなら、その心配は少ないはず。ハンドブレーキは力が弱く、状態が良くてもクルマを止めておくには不十分。
サスペンションは、ボールジョイントとブッシュ類の摩耗を調べる。トラックロッド・エンドはヘタりやすい。
電装系とインテリア
ハーネスや基盤のコネクターが酸化すると、抵抗値が増えて加熱し、不具合を引き起こす原因。パワーウインドウやエアコンなど、すべての機器類が正常に動くか確認したい。コネクターは接点の掃除で状態を保てるが、プリント基板の修復は難しい。
スイッチ類や天井の内張りなど、内装の状態もよく確かめる。
ボディ
ピラーやサイドシル、ウインドウの周辺、ボンネットの端など、サビがないか観察する。バッテリートレイや前後の灯火類付近も錆びやすい。
英国ではいくら払うべき?
5000ポンド(約77万円)~7499ポンド(約115万円)
左ハンドルのクーペを、執筆時に英国で発見。11万2600km走った1984年式で、7300ポンド(約113万円)だった。
7500ポンド(約116万円)~9999ポンド(約154万円)
整備記録の内容が悪くないビトゥルボが、英国では出てくる。
1万ポンド(約155万円)~1万4999ポンド(約231万円)
状態の良いビトゥルボが増える。フェイスリフト後の1989年式で走行距離8万kmほどのスパイダーも見つけた。
1万5000ポンド(約232万円)以上
レストアを受けた走行距離5万3000kmの1989年式2.8Lスパイダーが、1万9995ポンド(約309万円)で売りに出ていた。2.8Lクーペのペースカー・レプリカも、執筆時に英国で発見した。
知っておくべきこと
ラサールと呼ばれるスイス製のアナログ時計が、ダッシュボードの中央でちゃんと動いているか、確認を忘れずに。美しいだけでなく、コレクターが重視するアイテムの1つになっている。
驚くことに、まだ新品で時計は入手できるようだ。オリジナル状態を446ポンド(約6万9000円)で販売している北米の業者を発見した。
英国で掘り出し物を発見
マセラティ・ビトゥルボ・クーペ2.5 登録:1987年 走行距離:6万1100km 価格:1万5995ポンド(約247万円)
比較的走行距離の短い、マセラティ・ファンが大切にしてきたクーペ。最近、タイミングベルトの交換が済まされ、エンジンオイルの圧力も安定しているという。
社外品のサスペンションが組まれ、ホイールが錆びている点は気になるポイント。価格も少々強気すぎるように思う。
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みんなのコメント
当時は日本で、イタ車で右ハンドルなんて想像すら出来なかった。
本当におしゃれな(キザな)車だった。信頼性はともかくこの車が現在のマセラティのイメージを作り上げたのは間違いない。91年ごろ親戚のクルマ好きがこの発展型の限定車のシャマルを買い、乗っていたが、新車の頃からめちゃくちゃ壊れた。名古屋高速で雨でスピンしたり、しまいにはエンジンブローで廃車。