GLから3世代目 新型GLSとは
text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
3月23日。メルセデス・ベンツ日本はフルモデルチェンジされた「GLSクラス」を発表した。
グレードの詳細などに関しては後述するが、GLS 400 d 4マティックは本日から、GLS 580 4マティック・スポーツは本年6月以降デリバリーを開始する。
GLSは、メルセデス・ベンツのフラッグシップSUVだ。そのルーツは2006年に発表されたGLクラスとなる。
GLは2012年にフルモデルチェンジされるが、2015年にビッグ・マイナーチェンジされたとき、GLSに車名を変更する。これは、メルセデス・ベンツの車種体系と車名の一連の変更に伴うもので、「GL」はSUVを表し、「S」は車格、つまりセダンで言えばSクラスに相当するモデルというわけだ。
したがって、現在メルセデス・ベンツのSUVラインナップは、別格的存在のGクラスを除けば、小さいクラスからGLA、GLC(これもかつてはGLKと呼ばれていた)、GLE、そしてGLSという序列になっている。
では、GLから数えれば3世代目、GLSとしては2世代目となる新型GLSについて紹介していこう。
新型GLSクラス 外観
新型GLSのエクステリアは、最新のメルセデス車に共通のデザイン思想「Sensual Purity(官能的純粋)」を具現化し、細かなエッジやラインを減らして面を強調するなど、本質的に重要なものだけを残す質実剛健なデザインだ。
フロントセクションは、地面と垂直になる8角形の大型ラジエターグリルと、その中に配される特徴的なデザインの2本のルーバー、クローム仕上げのアンダーガードと、2本のパワードームを備えたボンネットがSUVとしての存在感とパワーを表現している。
GLS 400 d 4マティックのAMGライン仕様とGLS 580 4マティック・スポーツでは、バンパー下部左右に配置された2本のフィンなどが、スポーティさを強調するデザインとなっている。
ウルトラハイビーム付きのマルチビームLEDヘッドライトは、すっきりとしたアウターのデザインと、片側112個のLEDとデイタイムランニングライトを備えて、非常に精密で機械的なインナーの意匠を両立させている。GLSのおおらかなフルサイズSUVとしての性格と、最新のメルセデス車としての先進性を同時に表現しているのだ。
リアセクションでは、テールゲートからリア・コンビネーションランプにかけての力強い筋肉のようなショルダー部が目をひく。リアコンビネーションランプは、リフレクターを下部に移動させてスリムなデザインとなり、ボディのワイドな印象を引き立たせている。また、クロームメッキ仕上げのアンダーガードも、SUVらしい印象を際立たせている。
日本法人が発表した欧州参考値のボディサイズは、全長×全幅×全高が5207×1956×1823mm。AMGライン(オプション)装着車は全長×全幅が5213×2030mmとなっている。
新型GLSクラス 内装
インテリアは、ダッシュボードには12.3インチのワイドディスプレイと、12.3インチのコクピットディスプレイを装備して1枚のガラスカバーで融合することで、ドアパネルまで流れるような先進的なデザインを描いている。
インテリアのトリムも、一方のフロントドアから反対側のフロントドアまで続く水平ラインがアクセントに。
センターコンソールには、SUV特有の装備として大きなグラブハンドルを左右に設けた。水平に4つ並んだ四角いエアベントは、標準モデルのフロントグリルに採用されているルーバーのデザインがモチーフになっている。
滑らかなレザーやトリムには上質感があふれ、デザインを一新したスイッチ類は金属の質感を備えている。また、前席シートベンチレーターやステアリングヒーター、温冷機能付きカップホルダーを採用し、長距離移動などでの快適性をさらに高めている。
新型GLSは従来型よりホイールベースを60mm延長し、居住性・積載性を向上させた。2列目は新型GLEクラス同様に電動シートバックによる前後スライド機能を採用して乗降性も高めている。
ラゲッジスペースは、3列目シート使用時でも470L。2、3列目シートを倒せば最大2400Lまで拡大する。スイッチ操作でリアの車高が約50mm下がるので、よりスムーズな荷物の積みおろしが可能になっている。
新型GLSクラス パワートレイン
日本仕様のGLSクラスのパワートレインは2種を設定。
GLS 400 d 4マティックには、最高出力330ps/最大トルク71.4kg-mとメルセデス・ベンツ乗用車のクリーン・ディーゼルで最高水準の出力を誇る3Lの直6ディーゼルエンジン「OM656型」を搭載。
2ステージターボを使用し、小さいタービンにはさらに可変タービンジオメトリーを採用して、低回転域から高回転域まで全域でトルクフルな加速を可能にしているほか、低振動で高い静粛性を有している。
また、最新の排出ガス浄化システムを採用することで、窒素酸化物の処理能力を高めたこともポイントだ。
GLS 580 4マティック・スポーツは、低負荷走行時には4気筒を休止する新型の4.0L V8直噴ツインターボ「M176型」に、初めてISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と48ボルト電気システムなどを組み合わせている。
エンジン単体で489ps/71.4kg-mを発生し、エンジンとトランスミッションの間には22ps/25.5kg-mを発揮する電気モーターISGと48ボルト電気システムを搭載。
従来のハイブリッド車のような回生ブレーキによる発電を行い、容量約1kWhのリチウムイオンバッテリーに充電する。エンジンが低回転の時には、その電力を利用して動力を補助する。
いずれも、組み合わされるミッションは9速AT。また駆動方式は前後100:0~0:100まで連続可変トルク配分を行う、新開発の4マティックを採用している。
新型GLSクラス シャシー
新型GLSは「ADS(アダプティブ・ダンピング・システム)プラス」を搭載した高性能型のエアマティック・サスペンションを標準装備している。これは高度に複雑なセンサーシステムとアルゴリズムを用いて、減衰特性を路面の状態や走行条件にリアルタイムで適応させるものだ。
コンポーネントはすべて従来型より改良されており、このうちサスペンションマウントには乗り心地を高める最適化が施された。
さらに、乗員や積み込んだ荷物の重量にかかわらず、常に一定の車高レベルを維持する。
GLS 580 4マティック・スポーツには日本初搭載のアクティブサス「Eアクティブ ボディコントロール」を標準装備。凹凸の激しい路面を走行する際にはエネルギーの回収も行うことができる。
ハイドロニューマティック(油圧空圧)装置によりダイナミックに変化する力を発生させて、エアサスペンションが発生する力に重ね合わせ、加減速中、横方向加速発生中(カーブ)、不整路走行時などに車体をアクティブに支持・減衰する。
また、オフロード機能には脱出モードも設定されている。このほか、ダイナミックカーブ機能では、コーナリング時に2輪車のようにボディを内側へ3段階に傾けて、乗員が感じる遠心力を低減する。
新型GLSクラス 装備
フラッグシップSUVにふさわしく、安全&快適装備とも、メルセデス・ベンツの最新・最高のものが用意されている。
まず快適装備では、各種ヒーターやパフュームアトマイザー、シート設定、照明、音楽などのシステムを統合的にコントロールし、快適性を高める「エナジャイジング・コンフォート」を全車標準装備。
マルチメディアシステムには、新型の自然対話式音声認識機能を備えた、対話型インフォテインメント・システム「MBUX」を搭載。自動車が通信することによりユーザーの利便性を向上する先進的なテレマティクスサービスの「メルセデスミー・コネクト」も標準設定している。
安全装備では、Sクラスと同等の最新世代の運転支援システムが全モデルで標準装備されている。
機能強化として「アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛び出し/右折時対向車検知機能付き)」がトピック。対向車線を横切って右折しようとするときに、対向車線を直進してくるクルマと衝突する危険がある場合、車速が10km/h以内ならば自動ブレーキが作動する。対向車の検知は、フロントの長距離レーダーセンサーとステレオマルチパーパスカメラを使って行う。
新型GLSクラス 価格
日本仕様のグレードと消費税込みの希望小売価格は、GLS 400 d 4マティックが1263万円。GLS 580 4マティック・スポーツ(ISG搭載モデル)が1669万円。
納車開始は、前述のとおりGLS 400 d 4マティックが本日から、GLS 580 4マティック・スポーツが本年6月以降となる。
ステアリング位置は、GLS 400 d 4マティックが右のみ、GLS 580 4マティック・スポーツ(ISG搭載モデル)が左のみとなっている。
新型GLSクラス スペック
GLS 580 4マティック・スポーツ(ISG搭載) 欧州参考値スペック
価格:1669万円(税10%込み)
全長×全幅×全高:5213×2030×1823mm
ホイールベース:3135mm
車両重量:-
ドライブトレイン:V8ツインターボ+モーター
排気量:3982c
最高出力(エンジン):489ps/5500rpm
最大トルク(エンジン):71.4kg-m/2000-4000rpm
最高出力(モーター):22ps
最大トルク(モーター):25.5kg-m
トランスミッション:9速オートマティック
駆動方式:四輪駆動
タイヤサイズ:275/45R21/315/40R21
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