世の中ドンドン便利になっており、クルマに限らずあらゆるもので数そのものはもちろん機能なども増えるいっぽう。しかし、数が多すぎて把握に困ったり、充実した機能を1度も使わず宝の持ち腐れになることもしばしば。ここでは数の多さの是非をじっくり考えてみたい。(本稿は「ベストカー」2013年6月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
ミッションやシートアレンジ、MINIの種類…… クルマの「多けりゃいいってもんでもないでしょ……?」を考える【10年前の再録記事プレイバック】
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■10速も目前! ミッションの段数ってそんなに必要?
レンジローバーイヴォークの9速AT。9速での100km/hの回転数は1500回転前後を期待できそう。クロスレシオ化で加速力の向上も確実だ
いまやATは8速もそれほど珍しくなく、9速ATがレンジローバーイヴォークの本国仕様で市販化されている。
多段化にはトップギアのハイギアード化による燃費の向上などメリットも多い半面、サイズの大型化や重量増が心配なところだが、イヴォークの9速ATは従来の6速ATに対し全長がわずか6mm大きくなっただけなのに加え、重量も7.5kg軽量化されており文句なし。
さらに段飛ばしでのシフトダウンを可能とするスキップ機能を装備するなど細かな工夫も抜かりない。
9速以上のATはGMとフォードが共同開発する9速と10速、現代の10速、VWの10速DSGなどが今後登場する予定となっており、ATの多段化競争は過熱しそうだ。
CVTのMTモードも7速、8速と多段化が進んでいる。CVTの場合は多段化してもコストがそう掛かる訳ではないので、これは歓迎できる。MTでもポルシェが911で7速MTを投入。ただ段数がこれだけ増えると、何速で走っているのかがわからなくならないか、ちょっと心配だ。
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■ミニバンのシートアレンジって使いこなしてる?
写真はセレナのテーブルモード。2列目中央に座る機会は少ないと判断し、座り心地の悪化を承知でテーブルとして使う決断をしたのか?
かつての1BOXカーには対面対座や景色を楽しむためシートを真横にできる機能などがあったことを考えれば、現代のミニバンのシートアレンジの数は減る傾向となっているが、それでもBOX型ミニバンのシートアレンジは覚え切れないほど多い。
なかでも多いのはセレナの14パターン、ステップワゴンの7人乗りの16パターン、ステップワゴンの8人乗りの19パターンだ。
特にステップワゴンの7人乗りの2列目を前方に折り畳むと3列目の足元が広くなるリムジンモードは、3列目を床下に収納して2列目を後方までスライドできるリムジンモードもあるのだから、広い足元空間を2人で使うか3人で使うかという違いはあるにせよ、省いて問題ない気もする。
セレナの2列目中央をテーブルとして使える機能も2列目中央の座り心地の悪化を考えると、不要と考える人も多いのでは?
シートアレンジを増やすのもそれなりにコストの掛かることなのだから、シートアレンジの数は少ないけど、そのぶんをシートの快適性の高さに回したらいかが?
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■10個超えは当たり前! 配置も大変そうなスピーカー
主にオプションで用意されるオーディオのスピーカーの多さは強烈だ。例を挙げるとマジェスタ/20個、レクサスLSのマークレビンソン/19個、アルファード&ヴェルファイア/18個、シーマのBose/16個、車格を考えるとbB、2ドア車というのを考慮すればGT-RのBoseのそれぞれ11個も多い。
この件の是非はスピーカーの数以上にオーディオトータルでの仕上がりが重要だ。ノーブランドでもいいものもあるし、スピーカーが数え切れないほど多い有名ブランドなのによくないというものもあるのだ。
スピーカーの数よりもお金を出してくれるこだわりのある人を納得させるオーディオが増えることを望みたい。
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■増えるATの走行モード、その必要性ははたして?
走行モードの組み合わせ
電子制御スロットルや電動パワステを代表に電子化が進んでいる現代のクルマは機械的なパーツではなく、ソフトウェアの変更でセッティングやフィーリングをいかようにでも替えることが可能となっている。
その恩恵として挙げられるのが走行モードの変更だ。いまや当たり前となっているエコモードを筆頭に、スロットルの開き方やシフト関係を穏やかにすることで滑りやすい道での運転をサポートするスノーモード、サーキット走行などの際にフィーリングに加え各部の演出まで行なうスポーツモードなど多数。
さらに駆動系、サスペンション、スタビリティコントロールなどを個別にセッティングできるクルマもスポーツモデルを中心に増えている。
セッティング幅が増えると「どれを選んでいいかわからなくなる」という懸念もあるが、場所や気分に応じてセッティングができるのだからありがたい。
行き詰ったら標準的なセッティングに戻せばいいだけのこと。何よりもパーツや技術なしでいろんなセッティングが楽しめるなんて嬉しいじゃん!
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■ミニのボディタイプって全部いえますか?
クロスオーバーの2ドアとなるニューフェイスのペースマン。次はどんな仲間が増えるのか大いに楽しみだ
「ミニといえば3ドアハッチバック」というのはもう過去の話。
現在ミニのボディは3ドアハッチバック、コンバーチブル、クラブマン、クラブバン、クーペ、ロードスター、クロスオーバー、ペースマン。なんとひとつの車名のクルマで8つもボディがある。
8つもあると「売っている人でもすぐに全部いえるのか?」とも思ってしまうくらいだ。でもミニの魅力のひとつである“自分だけの1台を作れる”ということを頭に置けば、これは歓迎すべきことといえる。
ここまで増やしたなら、この際10車種まで増やしてギネスに申請してほしい!?
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■車高調の減衰調整幅って多すぎじゃない?
足回りを替える際の選択肢としてかなり一般的になっている車高調。いまやストローク量を変えずに車高を変えられることは当たり前なうえに、ダンパーの動き方を変える減衰調整機能も持つ商品も多い。
そのうえ定価20万円程度のものでも30段階、サーキットでの使用も視野に入れた40万円台の車高調では伸び側、縮み側の高速、低速のそれぞれで24段階もの調整が可能なものまで売っているのだ。
ここまで調整幅が広くなると、その広さの必要性に疑問を持つ人が出るのも当然だ。
でもご安心あれ。最近の車高調は減衰調整もしやすく手間は少ないし、室内から減衰調整ができるパーツがオプションで用意されていることもあるのだ。
減衰調整がこれだけ楽になっているのだからせっかくの機能を使わないほうがもったいない!
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■ドイツ車のディーゼルは同じ排気量で仕様が多すぎ?
ドイツ車の同じ排気量で仕様の違うディーゼルエンジン
ヨーロッパ車の本国仕様はディーゼルエンジンの需要が多いこともあり、同じ排気量のエンジンでパワーの異なるエンジンを設定することは当たり前となっている。
そのなかでも表に挙げたドイツメーカーのディーゼルエンジンのバリエーションは同じ排気量で最大5種類と超豊富だ。
これだけ多いと「混乱するのでは」とも思ってしまうが、ヨーロッパ車はそもそも装備などの選択肢が非常に広く日本人からすれば注文生産のような感じでオーダーするので、それほど問題はないのだろう。
このやり方は比較的コストのかからない変更でユーザーからのニーズに対応できるのだから、ユーザーもメーカーもハッピーだ。
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■調整部分が多ければシートはピタリとフィットするのか?
シームレスで調整ができるためベストなポジションが取りやすいパワーシート。一般的には10Wayもあれば多いほうだが、レクサスGSの“version L”にはなんと18Way(調整箇所は9つ)が装備される。
珍しい調整箇所としてはペルビック(骨盤)、クッション長、サイドサポート、ショルダーサポートがある。
けっこうなことにも感じるが、ここまで多いとクルマを手放すまでに1度も使わない調整箇所が出ないか心配だ。
パワーシートもいいけど、レクサスならオーダーメイドのシートでオーナーをもてなすというオプションがあったら、もっとおもしろいのに。
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■初めて来たら違う方向に迷い込みそうな11叉路
東京都江戸川区にある菅原交差点。この交差点に信号機がなかった頃は四方八方からくるクルマにさぞかし気を使いながら運転していたに違いない
東京都江戸川区にある菅原交差点は日本記録と思われる11叉路!
これだけ道が交差していると事故が心配だが、信号が整備されており目立った事故は少ないとのこと。ただ信号が多いぶん渋滞は起こりやすいという。
どう見ても道が交差しすぎているのだから、立体交差やランナバウトを使って円滑な流れと安全を確保するというような思い切った対策が必要では?
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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