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FRが常識のトラックに、FFがあったなんて!

国産初の本格FFトラック。なぜFF?

FF方式の小型トラックが、何と約50年前に存在していた。1972年4月に発売し、1979年5月までの総生産台数は832台。いすゞが保管している超レアモデルを取材した。

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トラックはキャブオーバー型の場合、キャブ(運転台)の下にエンジンを縦置きしてプロペラシャフトで動力を後輪に伝える。つまり、駆動方式で言えばFRが常識だ。しかし、エルフマイパックはキャビン前方中央に縦置き搭載したエンジン/トランスミッションによって前輪を駆動するFF車なのだ。リヤにはフレームを介してタイヤが一応ついているだけの状態と、何ともまあユーモラスな姿をしている。

じつは、この車は荷物の積み降ろしの負担を低減するために、いかにして低床にするかという発想から生まれた。荷台高45cmは当時のエルフの約80cmに比べると約半分の数値だった(現在の軽トラック、キャリイの荷台床面地上高は65cm)。

また、リヤデフやプロペラシャフトなどの邪魔者がいないから、荷台の架装が計り知れないほど自由な点が特徴。1972年4月の発表当初はアルミバン、荷台ごと上下に水平移動するリフトデッキの2種類だけだったが、1974年のカタログでは航空機用タイヤ運搬車をはじめ24種類の架装実例を紹介。超低床設計がもたらす特殊用途型トラックとして、カタログでは「1台、1台が、お客さまといすゞの共同作品です」とうたうほど、ユーザーの要望に応じて自由自在に架装できたのだ。

底床化は後にリヤに小径ダブルタイヤを履かせるアイデア(1974年エルフ250フラットロー)が一般化することで、その優位性が薄れてしまったが、底床化とカスタマイズの先駆けを果たしたという意味では歴史に名を刻むモデルといえるだろう。

ちなみに「マイパック(MIPACK)」との車名の由来は、英語で「全能の」、「力強い」を意味するalmightyと、英語で「包み」を意味するpackからの造語。「荷物を大切に包んで運ぶ力持ち」を意味する。また、FF車としてエンジンはトランスミッション、デフなどの駆動関係のメカニズムを前部に集めたことから、前=MI、集める=packとダジャレで命名したというエピソードも残されている。

〈文=driver@web編集部〉

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