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タイヤの種類!ラジアル構造とバイアス構造の違いとは

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タイヤの種類!ラジアル構造とバイアス構造の違いとは

■基本的な構造上の差異、ラジアル構造とバイアス構造

 タイヤの製造上の違いで対照的なラジアル構造とバイアス構造は、まずタイヤ剛性を保つための「カーカス」という骨組みそのものの仕組みと必要数に違いがあります。カーカスに備わる繊維の方向に応じてそれぞれの名前に応じた特徴があり、「ラジアル」構造では、板状になっているカーカスに繊維が水平に配置されていて、巻いたときにタイヤ中心から「放射状(RADIAL)」になるように1枚の構造体で構成されています。

バイクのタイヤが太いとどんなメリットがあるのか?

 対する、「バイアス構造」のタイヤは、繊維が「斜め(BIAS)」に角度が付けられていて、片方向だけではねじれを発生してしまうために、複数枚のカーカスを使って繊維が対角線のV字になるように重なって補う合う構造となっています。

 この構造の違いからくる走行性能への影響は、ラジアル構造タイヤが「操縦性・安定性に優れる」「寿命が長い」、また「発熱しにくい」「乗り心地が良い」など多くのメリットがあります。加えて、転がり抵抗が少ないことから「燃費向上」にも効き、芯になるカーカスが1枚で済むためタイヤ側面のサイドウォールの柔軟性が高く、路面からの衝撃吸収や接地バランスを整えるなどの効果を発揮して、接地するトレッド面のグリップ性能を最大限に生かすことができます。

 しかし、そんなラジアルタイヤにも、カーカスにナイロン繊維を主に利用しているバイアスに比べ、基本のスチール繊維からハイスペックなタイヤほど「ポリエステルやケブラー、アラミド繊維」などの合成樹脂を使用し、さらにタイヤの膨張を防ぐために「ベルト」とよばれる締め付け用の部品が必要になってきています。そこで、素材の違いだけでなく製造過程の手間も増えタイヤの単価が「上昇する」し易いというデメリットがあります。

 バイアス構造タイヤのメリットは、空気を入れて使用するタイヤが誕生して以来、使われてきた「カーカスを重ねるだけ」という単純な工程で製造するので、技術的に簡単な構造で「コストが削減しやすい」ことと、カーカスは側面にも重なっているため、均一に張り巡らせられることで全体の剛性が平均して高く、部分ごとの強度に差が出ないことから「悪路での利用」に向いている、という特性があります。さらに「低速走行時の乗り心地が良い」という特徴があります。

 この特徴に適した活用法として、悪路を走破するため空気圧を減らしてサイドウォールをつぶして走ることのあるオフロード向けタイヤや、舗装されていないラフロードなどの環境で利用する建築・農業機器などがあり、カーカスの枚数でタイヤ剛性を調整できるバイアスタイヤは、重ねるカーカスの枚数を増やし、空気圧を高めることで、大型航空機などの重量物でも支えることができるなど、今も活躍する場面は少なくありません。

 バイアスタイヤの比較的大きなデメリットは、一般道や高速道路などでは、サイドウォールがスプリングの役割を果たし「たわみ」を調整するラジアルタイヤと違い、バイアス構造タイヤはカーカス全体で受け止めています。そのため、高速走行時に乗り心地が悪くなってしまうことや、倒し込んだときにもトレッドが接地面を均一に捉えられず操作性や安定性に劣るなどの弱点があります。また、剛性を高めるためにカーカスを増やすとそれだけ重量が増加し、ラジアルタイヤと比較すると寿命が短いという短所があります。

 バイアス構造は、タイヤが生まれたときから歴史のある初期構造で、ラジアルタイヤはタイヤの誕生から約60年後にその構造が開発されました。やはり、時代の違い、技術の進歩の差は大きく、運動性能の差異は体感で分かるレベルです。しかし、バイアスを基礎構造としたタイヤの改良はその後も行われています。たとえばラジアルタイヤの「ベルト」と同じ効果をもたらす、締め付け用の「ブレーカー」という部品を使用する製品が現れるなど、同じバイアスでも構造上の弱点を克服するための進化は今もなお、続いているのです。

 さらに、一般的な市販バイクの純正装着タイヤは、見た目には分からなくともバイアス構造タイヤが広くラインアップされ、オフロード専用タイヤ以外にも、小径ホイールまたは幅の狭いタイヤが主体の原付をはじめとした小排気量のバイクや、スポーツ走行対応タイヤにもバイアス構造の採用例があります。

■バイクの用途に合ったタイヤ種類の選び方とは

 タイヤには、この「ラジアルvsバイアス」の基本構造の違いのほかにも、用途に合わせた特性を持つ「種類」があり、たとえば悪路を走破することを目的としたオフロードタイヤでも、レース専用のバイクを除けば「トレールタイヤ」と呼ばれるアスファルトで舗装された一般的なターマック路を走行することも考慮したタイヤが使われています。

 オフロードタイヤのほかにも、バイクのタイヤは利用するシーンにあった選択が大切で、サーキット走行向け「レース用タイヤ」は、コースの路面状況に合わせて使い分けることを前提に、ドライ性能とウェット性能で大きく差を持たせています。しかし、一般道での利用も想定した一般車が装着する「プロダクションタイヤ」は、ある程度の天候の変化に平均的に柔軟に対応できる性能が求められます。

 一般道で使用するタイヤも、使われるコンパウンドなどによって特性や寿命も大きく変わり、特性が極端に違うタイプが揃っています。タイヤの減りがほかに比べて早いものの、グリップ力を強めた「ハイグリップタイヤ」、ロングライフを特徴にした「ツーリングタイヤ」など、幅広く種類が分かれ、それらの特徴の中間的な位置にあるのが「スポーツタイヤ」と呼ばれる種類のタイヤです。

 また、空気を溜めておく部分でも、自転車のように空気を入れるチューブを使う「チューブタイヤ」と、チューブがなく「ビード」と呼ばれる部分でホイールリムを塞いで、タイヤそのものに空気を溜める「チューブレスタイヤ」という構造上の大きな違いもあります。チューブタイヤではタイヤ自体が衝撃を受けてもチューブが損傷しない限りエア漏れがない代わりに、釘などが貫通してしまうと一気に空気が漏れてしまいます。しかし、チューブレスタイヤならば釘などを踏んでも、抜かない限り空気が一気に漏れることがありません。

 バイク用「タイヤ」と言っても、実はこのようにさまざまな違いがあり、バイアスとラジアル構造上の大きな違い、特性が変わる豊富な種類についても、用途に合わせた選択をすることが大切です。タイヤはバイク本来の性能を路面にしっかりと伝えるための最初の要素です。タイヤ選びはしっかりと行うようにしましょう。

※ ※ ※

 現在、一般的な乗用車は、ほとんどがラジアルタイヤを装着しています。しかし、剛性の高さやコストの面でトラックなど貨物車のように一定の重たい荷重に耐える必要があるクルマでは、まだまだバイアスタイヤが主流です。ただ、乗用車でも旧車によく用いられる「リーフスプリング式」の固定軸サスペンションの場合は、少ないカーカスの枚数だとタイヤ全体の柔軟性の高さで衝撃を緩和してくれるため、サイドウォールで調整するラジアルよりも乗り心地が良くなるため、バイアスタイヤを選択する人もいます。

 操作性や安定性など、路面とのあらゆるコンタクトをたった2本のタイヤが担うバイクは、その選択を間違えるとダイレクトに運転に影響が出るため、構造の違いによる特徴や愛車とのバランスを考え、用途にあった種類のタイヤを正しく理解し、装着すべきでしょう。

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