■「どれか1台でも知っていてくれれば…」が好調のカギ?
2021年に入り、登録車販売台数ランキングの上位を見ると、トヨタ車の売れ行きが極めて好調に推移しています。いったいなぜ好調なのでしょうか。
日本自動車販売協会連合会が発表した2021年2月の登録車販売台数ランキングにおいて、首位を獲得したのはトヨタ「ヤリス」です。販売台数は2万559台を記録し、2020年7月から続く8か月間連続首位を達成しました。
2位には、1万1954台を販売したトヨタ「ルーミー」がランクイン。3位には、トヨタのフラッグシップミニバン「アルファード」が販売台数1万107台でランクインしています。
そして4位にはトヨタ「カローラ」(8766台)、5位には「ハリアー」(8006台)、6位には「ライズ」(7901台)がランクイン。7位でトヨタ車以外となる日産「ノート」(7246台)がランクインします。
ヤリスやカローラは複数車種が同一シリーズとして合算された記録ではあるものの、トヨタ車が優勢であることは間違いないといえるでしょう。
その後のランキングを見ると、8位はトヨタ「ヴォクシー」(7094台)、9位はトヨタ「シエンタ」(6360台)、そして10位がトヨタ車以外の日産「セレナ」(6305台)となります。
2021年に発売されたヤリスシリーズやハリアーといった新型車だけでなく、さまざまな車種がトップ10にランクインしているということになりました。
こうした好調ぶりについて、販売現場であるトヨタの販売店スタッフに話を聞いたところ、トヨタ車同士の比較で来店するユーザーが多くいることが要因のひとつではないかと複数のスタッフが回答しています。
例えば、トップ10にランクインした車種のなかで、ミドルクラスミニバンのヴォクシーとコンパクトミニバンのシエンタの販売状況について、首都圏のトヨタ販売店スタッフに話を聞くと、次のように説明します。
「比較的手頃なミニバンを検討されるお客さまのニーズをみると、じつはシエンタとヴォクシー、そしてノア(ヴォクシー姉妹車、2021年2月販売台数4357台)の3台を比較検討されるお客さまがいらっしゃいます。
3台とも、基本的には5ナンバー枠で開発されたミニバンなので(2021年現在ヴォクシーはエアロボディなので3ナンバーのみ)、全幅方向の取り回しやすさは同等です。
そのため全長の差に起因する視界や取り回しやすさの違い、3列目の居住性について、実車を見ながら販売店で比較いただいています」
どれとも知名度のある車種ということで、ユーザーが3台のうちどれかひとつでも気になったら、店舗でほかの2台とサイズやデザインを比較できるのは、販売店スタッフにとっては有利といえるでしょう。
もちろん、ヴォクシー/ノアのほうが価格帯は高めではあるものの、値引きも「決算時期ということもあり、期待に応えられるよう頑張っております」(販売店スタッフ)ということです。
なお、ヴォクシー/ノアにはもう一台別の姉妹車として「エスクァイア」が存在。ヴォクシー/ノアより価格帯が高めで上級志向な内外装が特徴。トヨタのミニバンラインナップの幅を広げています。
■コンパクトSUVもトヨタ車同士で比較される?
こうした動きは、ミニバンだけでなくSUVでも見られるといいます。
前出のランキングで首位となったヤリスシリーズは、コンパクトカーのヤリス(2020年2月発売)とコンパクトSUVのヤリスクロス(2020年8月発売)、そしてホットハッチのGRヤリス(2020年9月発売)の3車種で構成されます。
一方、同じコンパクトSUVでは6位にライズがランクイン。そのうえで前出とは別の販売店スタッフは、トヨタでコンパクトSUVを検討するユーザーについて次のように話します。
「ヤリスクロスとライズは、搭載されるエンジンや価格などで大きな違いがあるものの、トヨタのSUVラインナップのなかではボディサイズが近いので、悩まれるお客さまは相当います。
最初にヤリスクロスを認知して来店されたお客さまが最終的にライズを選んだり、またその逆でライズを最初に検討していた方がヤリスクロスを購入するパターンも見受けられる状況です」
※ ※ ※
2020年5月から全国で始まったトヨタの全店全車種併売化も、トヨタ車のなかでの比較検討に大きく貢献していると考えられ、店舗の賑わいを前出の販売店スタッフに聞くと「新型コロナ禍だが、土日になれば前と比べても客足は落ちていない印象」と話します。
近年トヨタは車種整理を進めているものの、それでも他メーカーと比べて車種数が比較的豊富であることから、トヨタ車同士の比較の結果トヨタ車を契約するという傾向は今後も続くと見られます。
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みんなのコメント
車種の選択肢が多い。
価格帯もそれぞれ。
これが他社は及ばない事実。