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「ホンダヴェゼルvsマツダMX-30比較試乗!」他とはちょっと違う“癒し系”SUVが欲しいなら(島崎七生人レポート)

掲載 更新 153
「ホンダヴェゼルvsマツダMX-30比較試乗!」他とはちょっと違う“癒し系”SUVが欲しいなら(島崎七生人レポート)

昨今のSUVブームはとどまることを知らず、街では多くのSUVを見かけるようになりました。そんな中で「他とはちょっと違うSUV」に乗りたいという人も増えてきたのではないでしょうか。2021年4月にフルモデルチェンジした2代目ホンダヴェゼルと、2020年10月に発表、2021年1月にはEVモデルが追加されたマツダMX-30の2台は、そんな人たちの期待に応えるモデル。島崎七生人さんの比較試乗レポートをお届けしましょう。

新型ヴェゼルとMX-30はそうとう似ている

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大前提として、新型ホンダヴェゼルとマツダMX-30はそうとう似通っている。こう言うと果たして両車の開発エンジニアの方々にはどういう顔をされるかわからないし、そもそも厳密に言えば、両車はカテゴリー(クラス)が異なるのも事実。ヴェゼルのプラットフォームは初代(先代)同様フィットのそれをベースにしており、とすればフィットのライバル車であるヤリス・ファミリーのヤリスクロスが本来的なライバルだ。

他方のMX-30はそれらより1つ上のCカテゴリーのマツダ3一族だ。とはいえ分かりやすく全長で並べてみると、ヤリスクロス4,180mm、ヴェゼル4,330mm、MX-30が4,395mmの順となり、ヴェゼルがちょうど3車の中間…BカテゴリーとCカテゴリーの中間…ということになる。あながちCカテのクルマと見做せなくもないし、車格感でもCカテゴリーのクルマ(この場合はMX-30)に見劣りはしない。欧州車などでもフルモデルチェンジでボディサイズが豊かになり1つ上の車格に近づいた……といった事例は昔からあり、初のモデルチェンジを機に新型ヴェゼルも、そんな成長の仕方をしたというわけだ。

「スタイリング」スリークなヴェゼル、個性的なMX-30、どちらも新しさが伝わってくる

もちろんスタイリングの新しさも両車に共通する部分だ。ヴェゼルでいえば、まるでボディに細いスリットを開けただけのように見える(実際にはボディ同色のスリムな9本の横バーが組み付けられた構造だ)フロントマスクが象徴するように、余分なキャラクターラインを極力廃したスリークなスタイルが目を奪う。

MX-30も同門にCX-30がいる上、車両コンセプトもユニークなところから、観音開きのフリースタイルドアを中心に、こちらもまた個性的なデザイン。もっといえばCX系とは一線を画し、シグネチャーグリルさえ持たない独自のスタイルを主張しており、このことはマツダのSUVのヒエラルキーから離れた立ち位置に身を置くクルマであることも意味する。クルマにとって、いかに新しい生活スタイルをイメージさせてくれるか?は商品性として大事な要素のひとつ。ヴェゼルもMX-30も、今、これだけSUVモデルが世の中に増えた中で、他のモデルとはひと味違う魅力、世界観が、見ただけで伝わってくる。

「運転視界」昔のクルマのような運転のしやすさへのこだわり

ヴェゼルの運転視界。エンジンフード両端の微妙な膨らみで車幅感覚もつかみやすい

スタイルに関連してもうひとつ、ヴェゼルもMX-30も“運転視界”にこだわりを持って開発されたところも共通点だ。Aピラーを立ててドライバー側へ付け根を引き、インパネ前端とドアガラス下端から延長線上にフードが自然に繋がって見えるようにした視界としている。奇遇かどうか両車のデザイナーとも、昔のクルマを引きあいに出し、運転のしやすさ、安心感のためにそうしたという。

MX-30の運転視界。こちらもエンジンフードへの繋がりが自然だ

もともとSUVは高めで見晴らしのよい運転ポジションだ。が、だからといってエンジンフードがストン!と落ちた形で運転席からクルマの先端がまったく見えないと、車両感覚や狭い場所での扱いやすさに支障が出る。世の中には車両感覚をまるで度外視したかのようなデザイン重視のクルマもなくはないが、少なくともヴェゼルとMX-30は、その点、どちらも非常に誠実に作られている。ちなみにヴェゼル、MX-30ともインパネ形状は横一文字に水平の“基準線”を通したデザインで、すっきりとしている点が好ましい。

「実用性」光るヴェゼルの広さと使い勝手、MX-30の後席ドアも独自の魅力が

“実用性”の切り口では、ヴェゼルの頑張りが注目だ。特に驚かされるのは、コンパクトな外観に比して後席とラゲッジスペースが広く使い勝手が非常にいい点。後席のポジション自体は先代に対し僅かに下げて後方に引いたそうだが、座ってみると、上級セダンの後席にも劣らない広さ、快適性が実感できる。窓が後方までしっかりと広く、頭上の余裕があるのも、いたずらにクーペルックに走らなかった恩恵だ。ダイブダウン、チップアップ機構も同車の特徴だが、それらの機能にシートのサイズ、クッションの厚みが犠牲になっていないのもいい。さらにラゲッジスペースも床面が低く使いやすいし、フルフラットにすると助手席を最後端にスライドさせた位置でも背もたれまで160cm以上の奥行きを確保している。

一方でMX-30は、やはりユニークなフリースタイルドアが独特の使い方を可能にしている。Bピラーがなく、前席から降りたままの立ち位置で後部ドアが開けられるから荷物の載せ降ろしに便利だし、後部ドアはある程度、前席の乗員が管理して開閉を行うことになるから、小さなお子様が自分で勝手にドアを開けて外に飛び出す……そんな心配も少ない。

「ペット」使い勝手のよいMX-30のドア開口部の広さ

我が家の場合、ペット(=ハル、柴犬・オス・6歳)がいるので、“カレ”と行動を共にするにあたっての使いやすさも要チェック項目。その点でいうとどちらも使い勝手は上々で、MX-30は例の後部ドアを開ければピラーに邪魔されず、間口が大きいドアから体重11kgのハルを抱えて楽に乗せ降ろしさせられる点が重宝だ。

ヴェゼルは後席ドアがあとひと息大きく開けばなおよいが、ドア開口自体は大きく乗り降りを妨げない、後部ドアの開口部の見本のような形状なのがよい。ハルの着座状態でいうと、ヴェゼルのほうがシートクッション前後長のゆとりがあり、安心して座らせられる。

その点でMX-30はやや2ドアクーペ的だが、スペースに包まれ感があり、犬にとっては、それはそれで安心感があるようだ。

「スペック」今ならヴェゼルのハイブリッドが万能か、MX-30は近い将来の追加モデルに期待

パワートレインで言うと、EVも用意されるMX-30に対し、ヴェゼルがハイブリッドとガソリン車の設定というところに違いがある。MX-30のEVモデルの一充電走行距離は256km(WLTCモード)で、近く予定されている、「ロータリーエンジンを発電機とする電動化技術を搭載したクルマ」の登場までは、ひとまず日常使い(近距離)重視のクルマの位置付けだ。

対してヴェゼルはe:HEV搭載車のWLTCモードはもっとも好数値のグレードで25.0km/L(JC08で30.4km/L)だから、今どきのクルマらしく好燃費を実感しながら日常にも遠出にも気安く使えそうだ。

「走り」どちらもキーワードは“心地いい系”

ヴェゼル、MX-30ともに、走り、乗り味は言葉で表現すると“心地いい系”ということになる。特にMX-30は、街中から高速走行まで、終始ゆったりとした乗り味が味わえる。またクルマの挙動を安定させる機能のG-ベクタリングコントロールプラスの効果は、他のマツダ車同様に絶大で、コーナリング、車線変更時などのクルマの動きに唐突感がなく安心感が高く、家族やペットが同乗中でも、必要以上に神経を使わずに運転ができる。パワートレインではEVのなめらかさが、やはりこのクルマの走りの上質感を一層高めている。

一方でヴェゼルも、従来型に較べ遥かに乗り味が穏やかになり、低速から高速走行まで、上級のCセグメントに迫る快適な乗り味をモノにした。ステアリングを切り込んでいくとクイックさが顔を出すのは、これまでの爽快なホンダ流スポーティー路線の名残か。e:HEVは運転のしやすさ、燃費がともに向上が著しいし、モード切り替えの“ECON”でも十分実用になり、“SPORT”なら切れ味のいいパワー感が味わえる。

「まとめ」他のクルマとはちょっと違う“癒し系”。実用性ならヴェゼル、ラグジュアリー性ならMX-30

ヴェゼルの大きなグラスルーフの片隅にはこんな遊びも

毎月の販売台数の集計を見ても、SUVカテゴリーは数多くの人気車がひしめいている。その中で新型ヴェゼルとMX-30は、どちらも“他のクルマとはちょっと違う感”を醸し出しているところがポイントだろう。それは輸入車の存在感にも通じるが、ヴェゼル、MX-30ならではの持ち味(人によっていろいろな感じ方、受け止め方があるだろう)に魅力を感じ、だからこのクルマを選んだと言えるクルマであることは確かだ。

デザインだけでなく素材にもこだわりを感じるMX-30

筆者も個人的に、今もしも自分でSUVを選ぶならこのどちらかになりそうだし、乗って気持ちよさが味わえる“癒し系”である点で甲乙つけがたいが、とにかく経済性、実用性を重視するならヴェゼル、クーペ感覚のラグジュアリー性を味わいたいならMX-30、そんな選び方になるだろう。

※記事の内容は2021年7月時点の情報で制作しています。

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みんなのコメント

153件
  • どちらもチープなヤリスクロスよりマシと思う。
  • 「そうとう似てる」は無理がありすぎる。ヴェゼル、MX30は似て非なるモデルの最たるものと思うのだが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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