スポーティな雰囲気をフェイスにまとうリトラ車
2002年以来、国産車では姿を消してしまった「リトラクタブル・ヘッドライト」。いわば開閉式のヘッドライトで姿を現したり隠れたり、略称”リトラ”と呼ばれている。日本初のリトラ車=トヨタ2000GTを筆頭に、スポーツカーの象徴ともいえるカタチだったが、1980年代には一種のブームになり、スポーツカー以外の車種でも、リトラを採用するクルマがあった。そのいくつかピックアップしてみよう。
懐かしのクルマ装備、速度警告音「キンコン」を聞かなくなったワケ
●マツダ・ファミリア アスティナ(ユーノス100)
当時、リトラクタブルライトが好きだったメーカーといえば、マツダとトヨタだろう。
マツダは、7代目ファミリアの4ドアクーペ版(マツダの呼称)「ファミリア アスティナ」もその一台。デビューは、1989年で、ウインタースポーツであるボブスレーをモチーフにデザインされたと言われている。
ベースとなった7代目ファミリアはボディがしっかりしていて、ドイツをはじめとするヨーロッパにおいてもアスティナの評価は高かった(輸出名:マツダ・323F)。
そして兄弟車の「ユーノス100」も同じく、バンパーモールや外装の一部に手を入れた同じクルマなので、こちらもリトラクタブル式ライト。ユーノスのエントリーモデルという位置づけだった。
●マツダ・コスモ
マツダといえば、1981年にデビューした3代目「コスモ」もリトラクタブル式。ルーチェの姉妹車として登場し、12Aロータリーを積んでかなりパワフルだった。
1982年には世界初のロータリーターボ(12Aターボ)へ進化。「全域・全速ターボ」というキャッチフレーズだったが、販売面ではいまひとつ。1983年のマイナーチェンジで、4ドアハードトップは固定式ライトに変更したものの、やはりパッとしなかった。
●トヨタ・ターセル/コルサ/カローラII
マツダと並んでリトラクタブルライトが好きだったのは、トヨタだろう。2000GTからはじまって、MR2(AW11、SW20)、トレノ(AE86、AE92)、セリカ(A60、T160、T180)、スープラ(70系)と、スポーツカーにはリトラ車が多かった。
そんななかで、1986年にフルモデルチェンジで登場した、2代目カローラIIにも「3ドア・リトラSR」が加わった。
カローラといいつつ、プラットフォームが共通のターセル/コルサが母体。いずれもスターレットとカローラとの間を埋める存在であり、当時のスポーツグレードにはリトラクタブルヘッドライト仕様を設定するケースが多かった。
特筆すべきは、このリトラのモデルにキャンパストップがあったことだろう。
●ホンダ・アコード/ビガー
ホンダのリトラクタブルライトといえば、NSXやCR-X、プレリュードあたりが有名だが、3代目「アコード」と兄弟車の2代目「ビガー」もリトラクタブルライトだった。
1985年に登場した3代目アコードは、いよいよホンダがメジャーになっていくきっかけとなった一台。ホンダ得意のDOHCエンジン+四輪ダブルウィッシュボーンサスという組み合わせで、欧州車に匹敵する走りの良さを実現した。このクラスのFF車としての完成度はピカイチで、当時のアメリカでも大ヒットした。
ちなみに革新的なデザインで知られる「アコード・エアロデッキ」も3代目アコードのひとつ。同年85年に出た「クイント・インテグラ」も然り、ホンダ=リトラクタブルという印象をつけた時代でもあった。
●ニッサン・エクサ
日産からは、パルサーの兄弟車を紹介。初代のエクサは1982年に「パルサー・エクサ」として登場。初代から角型2灯式のリトラクタブルライトを採用し、100台限定でコンバーチブルも発売された。このエクサは、国産初のドアミラーを採用したクルマ(1983年)でもあった。
2代目は1986年にデビューし、パルサーから独立。世界で初めてといわれる着せ替え可能な、モジュールカーとして誕生し、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
デザインは、アメリカ・カリフォルニア州のNDI(ニッサン・デザイン・インターナショナル)が担当。クーペ、キャノピー、オープンという3つのボディバリエーションが楽しめたのが話題を呼んだ。クーペとキャノピーは互換性があったが、残念ながら日本国内では認められなかった。
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