世界で一番EVを販売しているBYD、そのミドルクラスSUV、「ATTO3」が2023年1月31日から発売になった。価格は440万円だが、仮に令和4年度並みの補助金が来年度も支給されるならば、国から85万円、東京都なら45万円上乗せされ、310万円で手に入る。一気に国産ハイブリッドSUVよりも安くなるから、注目せずにはいられない。さっそく試乗してみた。
文、写真/ベストカーWeb編集部
世界一EVを売るBYD日本上陸!!【ATTO3試乗】これが…310万円で…買える…だと!??
■フルフル装備で、圧倒的なコスパ感
初めて実物を見る「ATTO3(アットスリー)」は、国産車ならカローラクロスとほぼ同じ。つまり日本でもとても扱いやすいサイズであることがわかる。ちなみに「ATTO」は物理学で測定可能な最短の時間単位「アト秒」に由来するとのこと。単位で言えば100京分の1、測りきれないくらいの瞬間となる。
日本発売となったBYD ATTO3(アットスリー)。令和5年度予算が令和4年度と同じなら、国から85万円の補助金が受けられ、東京都在住なら都からさらに40万円の補助金を受け取れる
ATTO3は日本上陸にあたって、とてもよく日本人の趣向を研究している。グレードはひとつだが、装備が凄い。パノラマルーフに電動テールゲート、ACCや予測緊急ブレーキほかADAS全般、Apple CarPlayやAndroid Auto、アラウンドビューモニター、ブラインドスポットインフォメーションなど、快適装備周りの利点は枚挙にいとまがない。
ウインカーも右で扱いやすく、センターコンソール上に設置された12.8インチのモニターはスイッチひとつで縦にも横にもなる。シフトレバーがちょっとだけガンダムっぽい
その上、ウインカーは(輸入車なのに)しっかりとハンドル右側設置だし、12.8インチの大型モニターはスイッチひとつで縦にも横にもなり、ナビゲーションシステムにはゼンリンの地図が使われ、扱いやすい。ウインカーはシーケンシャルタイプでクルマの前で記念写真が撮れるドライブレコーダーまで標準で装着され、ないのはリアカメラくらい。これだけの装備を持ったEVが440万円マイナス85万円なら、かなりお買い得だ。
インテリアのモチーフはフィットネス×音楽というが、センターアームレストやドアハンドルは個性的で日本車でいうところの”スポーティ“さとは違う印象。乗り込むと、何か楽しいことができそうなモビリティ感がある。
ATTO3はカローラクロスとほぼ同じで、日本でも扱いやすいサイズ。ウインカーはシーケンシャルタイプ。純正ホイールがかなり特徴的で目立つ
電動テールゲートも標準装備で、「BYD」の社名の本来の意味である「BUILD YOUR DREAMS(=夢を叶えよう)」というロゴメッセージがある
■違和感ゼロで動力性能もまったく問題なし
ATTO3のEVとしての特徴は、リン酸鉄リチウムイオン電池「ブレードバッテリー」を採用していること。航続距離が長く、安全性が高いうえに長寿命なのだ。車重は1750kgで電池容量は58.56 kWh、WLTCモードで485km(自社調べ)も走る。日産のARIYAのB6が60kWhで470kmだからその差がわかる。
モーター出力は58.56kWh、WLTCモードによる航続距離は485kmと充分
さらにEV専用のe-Platform3.0は軽く、低床で効率的なスペースを生み出している。電費のよさはこの新型プラットフォームのおかげということもあるだろう。
モーター出力150kW(203ps)、モータートルク310Nm(31.6kgm)のスペックを持ち加速性能については0~100km/hで7.3秒と公開されているが、日本車ならARIYA B6(7.5秒)とほぼ同じ加速性能だが、実際に乗ってみるとこの数字以上に速い印象だ。おそらく車重が1750kgと比較的軽いからだろう。デジタル式のスピードメーターにはエネルギー回生状況も表示され、ECOドライブするにも親切だ。
後席まで広がるパノラマルーフもなんと標準装備となるのが驚き
充電口はCHAdeMOのほかV2Hにも対応し(たとえば災害が起こって停電した際などは)フル充電で一般家庭4日分の電力を供給可能と、こちらもしっかりと日本のニーズにマッチする。さらに安全面ではEuro NCAPで最高評価5つ星を獲得しており抜かりはない。
今回は一般道を50kmほど試乗しただけだが、動力性能は80点、装備は95点、ユーティリティは85点といった評価にしておきたい。
BYDジャパンではディーラー網の整備を進めており、お近くにお店があるなら一度試乗してみてはいかがだろう。
いよいよ世界で一番売れているEV、BYDブランドの本命ATTO3が日本に上陸、発売になった。BYD正規ディーラーは、東京では池袋、神奈川では横浜、愛知では名古屋、大阪では堺などで続々開業している
【BYD「ATTO3」主要緒元】
・全長×全幅×全高:4455×1875×1615mm
・ホイールベース:2720mm
・車重:1750kg
・最小回転半径:5.35m
・モーター出力:150kW(203ps)
・モータートルク:310Nm(31.6kgm)
・バッテリー容量:58.56kWh
・サスペンション:前ストラット・後マルチリンク
・航続距離:485km(WLTCモード自社調べ)
・価格:440万円
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