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時代の終焉を飾る“セダン最終戦”はシボレーのカサグランデが連覇。自身3度目の王座に/SCB最終戦

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時代の終焉を飾る“セダン最終戦”はシボレーのカサグランデが連覇。自身3度目の王座に/SCB最終戦

 ディフェンディングチャンピオンのガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)が新たなチャンピオンシップリーダーに立ち、総勢9名でのタイトル争いが繰り広げられた2024年のSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”最終戦『スーパー・ファイナルBRB』は、予選フロントロウ獲得から土曜スプリントでも11番手から4位に這い上がった王者が、日曜の3位表彰台で連覇を決め、2021年と2023年に続く自身3度目のチャンピオンを獲得することに。

 週末は21歳のフェリペ・バプティスタ(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラ)がスプリントを制し、予選ポールポジションを獲得していたギリェルメ・サラス(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)がメインレースで勝利を挙げるなど、シリーズが育んできた若手有望株が躍動。またSCB参戦以来過去最高のシーズンを過ごしたフェリペ・マッサ(TMGレーシング/シボレー・クルーズ)も、最終戦で表彰台に登壇しランキング2位で終えるなど、1979年の誕生以来ストックカーの歴史を刻んできたセダン車両がシーンを去る重要な節目を飾っている。

新時代SUVシリーズを飾る最後の1台。新型ストック『ミツビシ・エクリプスクロス』を初公開/SCB

 サンパウロのインテルラゴスことアウトドローモ・インテルナシオナル・ホセ・カルロス・パーチェにて、12月13~15日に迎えたシーズン第12戦は、来季よりSUVを採用した新シリーズへの移行を表明するSCBにとっても、大きな変革とひとつの時代の終焉を意味する特別なラウンドとなった。

 そんな新型SUVストックカーの『シボレー・トラッカー』に『トヨタ・カローラクロス』、そして『ミツビシ・エクリプスクロス』の3車種のうち、大トリを飾ったミツビシ製モデルのお披露目も実施されたレースウイークは、2015年チャンピオンのマルコス・ゴメス(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)が体調不良で出場停止となったことを受け、急遽の代役ドライバーが抜擢されることに。

 サンタカタリーナ州出身の27歳で、2022年まで女性ドライバーの育成を支援するWシリーズなどシングルシーターで経歴を積んだブルーナ・トマセリが、チームの97号車を託されプロシリーズにデビューする瞬間を迎えた。

 昨季2023年にはKTFアカデミーの支援を受け、ストックカーのアクセス部門でツーリングカーへの本格移行を果たしていた彼女は「ストックカーでレースするのはいつも夢だった」と昇格の最終戦に向けた意気込みを語った。

「もちろん、ストックカーはブラジル最大のカテゴリーよ。今週末に自身のパフォーマンスを加速させる機会が得られたことをとてもうれしく思っているし、マルコスが回復するまでの間、彼の代役を務めて全力を尽くすつもりよ。機会を与えてくれたチームに感謝し、彼の幸運と快方を祈っている。それまではクルマを大切に扱うわ(笑)」

 迎えた金曜フリープラクティスではサラスを最小差で上回った、こちらも21歳のエンツォ・エリアス(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラ)がトップに立ち、マッサが総合3番手の好成績で午前午後のセッションを終えることに。同じく29歳の王者カサグランデも総合6番手と、自身の83号車シボレーの感触に手応えを得る。

「パフォーマンスにはとても満足しているし、週末に向け自信が湧くよ。僕らのクルマは使用したすべてのタイヤセットで、あらゆる状況下でうまく動作したと思う」と続けたカサグランデ。

「明日はポールを争えると思うし、このクルマが中古タイヤと相性が良いことはすでに理解してもらえたはずだ。これが優位点となり、多くのポイントを獲得して3回のチャンピオンとしてここを去ることができるはずさ」

■ライバルと異なる戦略でカサグランデが偉業を達成
 そう語ったチャンピオンは、明けた土曜の予選で宣言どおりポール争いに絡んだものの、この最終Q3で輝きを放ったのはサラスの方で、コンマ1秒差の最速タイムを計時し「限界のところで素晴らしいラップを見せたし、ポールポジションを獲得できてうれしい」と今季4度目の最高峰グリッドを射止める。

 一方で上位12名が逆転するスプリントに向けては、緊迫した接近戦を表現するかのように、Q2で1分39秒322の同タイムを記録したガエターノ・ディ・マウロ(カバレイロ・スポーツ/シボレー・クルーズ)とチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)が、フロントロウ発進で雌雄を決する条件に。

 しかしスタートを直前にしてインテルラゴスには雨粒が落ち始め、レース運営側は戦略変更を想定し、ドライバーがタイヤ交換のためにピットに入ることを妨げないセーフティカー(SC)体制でスタートを切る。

 スリックとウエット装着組が混在するなか、雨脚が強まった際にはこれが長らく所属した強豪チームでの最後のレースとなる“3冠”王者リカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)と、その僚友ダニエル・セラが絡むインシデントが発生、SCがふたたび導入される一幕も。

 そんな混沌のファーストスティントこそ首位発進のディ・マウロがリードを維持したが、義務ピットを挟んでバプティスタがレースの先頭に立ち、タイトル候補の一角であるリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)とフリオ・カンポス(ポール・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)らを従えトップチェッカー。戦略を駆使したカサグランデも11番手発進から上位へ進出し、マッサに先行する4位フィニッシュを果たした。

「雨のなかを走るのが本当に好きだ。でも、ここインテルラゴスはいつもと違っていた。波乱に満ちた緊張感あるレースで、スリックタイヤを履いているドライバーもいればウエットタイヤを履いているドライバーもいた。僕もいくつかのクラッシュを避けなければならなかった」と、タイトル連覇に向け高難易度の条件下でジャンプアップを果たしたカサグランデ。

「明日は2番手スタートで勝利を目指すが、ドライでもウエットでもいいクルマを手にしている。表彰台で良いし、勝利? なおさら最高だ。だたもっとも重要なことは、ストックカーのタイトルをもう一度獲得することさ」

 そんなチャンピオンは他のファイナリストの結果に関係なく、自分の功績を確固たるものにするためには7位さえあれば充分な条件で日曜のメインレースに挑むと、ライバルより義務ピットを引き延ばす“オーバーカット”の戦略を採用する。

 最初から最後までポールポジション獲得の素晴らしい週末を支配したサラスと、第2集団で多くのファイナリストとの戦いで先行したマッサに次ぐ3位でチェッカーを受けたカサグランデが、29歳9か月25日でストックカーチャンピオンを3回獲得するという偉業を達成した、史上最年少の競技者となった。

「とても幸せだし、30歳を目前にしてすでに3度目のタイトルを獲得することができたなんて……。まだとても若いと感じているし、僕は今ここにいることにとても満足している。すべてのファン、スポンサー、友人、家族、これに参加するすべての人。そして僕のチーム、さらにこのショーを実現させたストックカーに感謝するしかない」と、偉業達成の喜びを語ったカサグランデ。

「僕らには見せたいことがたくさんある。今季は非常に競争が激しく、誰もが問題を抱えていたが、結果を出すために一生懸命働いたんだ。現在、僕は3度のチャンピオンを獲得した最年少ドライバーであり、もっとも多くのタイトルを獲得したパラナ出身の選手として、アンジェロ・ジャンベッリに並んでいる。僕は彼を超えて、将来的にはさらなる王座獲得を目指したいと思っている。この先、何年もここに留まり、つねに前線で戦うだろう!」

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