ランボルギーニ「ウルスS」に小川フミオが乗った!4人乗りのスーパーSUVの魅力を考える。
ウルスにはウルスの魅力がある
ドライブしていて胸躍るSUVは世のなかに数多くない。しかし今なら手に入れることができる。運転好きのドライバーに勧めたいのが、ランボルギーニのウルスSだ。
ウルスってすごいなぁ、と、思うのは、2018年の発表から、魅力がまったく衰えていないところだ。V型8気筒エンジン搭載の高性能ぶりと、何にも似ていないシャープなエッジで構成されたスタイルは、いまでも強烈な魅力を放っている。一度ハンドルを握ると、このクルマのとりこになってしまうのだ。
いまでは、フェラーリ「プロサングエ」やアストンマーティン「DBX」など、ライバルの多いマーケットだが、ウルスにはしっかりと個性がある。
「機能性で選んだのではなく、運転が好きだからウルスを選んだ」と、周囲に思わせる説得力を持っているのだ。
今回乗ったウルスSは、3996ccのV型8気筒エンジン搭載。それまでのウルスの進化形であり、最高出力は490kW(666CV=CVはイタリアなどで使われる単位)で、最大トルクは850Nm。駆動方式は全輪駆動だ。
ちょっと詳しい人なら、ウルスSとおなじく2022年9月に、ウルス・ペルフォルマンテなるモデルも発表されたのをご存知だろう。モデルのコンセプトがす少し異なって、ペルフォルマンテは英語でいえば“パフォーマンス”のサブネームのとおりサーキットなどでも楽しめるようなモデルだ。
ウルス・ペルフォルマンテのサスペンションシステムには、金属のコイルスプリングが使われていて、柔軟性においてはエアサスペンションのウルスSに分があるが、ペルフォルマンテはサーキット走行など目的が明確な場合に強みを発揮する。
ラグジュアリー性もウルスSの魅力である。今回、乗ったモデルは4人乗りで、後席のシートは独立していて、パーソナル性が強い。しかも、独立してリクライニングが可能で、かなりの角度で背もたれが倒れる。疲れているときは気持ちよく休んでいけそう。
クルマ好きのジレンマドライバビリティはもちろんたいへん高く。ペルフォルマンテと同等の出力とトルクを持つエンジンだけに、大型ロケットのような加速感が味わえる。
ドライブモードセレクターで「スポーツ」あるいは「コルサ」を選択すると、足まわりがビシッとした印象が強くなり、アクセルペダルの踏み込みに対してレスポンスのよいエンジンとの相性抜群と感じられるのだ。街乗りを意味する「ストラーダ」はややソフトすぎ、というのが私の印象だ。
ドライブモードにはオフロードや雪道用の設定もある。私はウルス(今回のウルスSではない)で、アイスランドを走ったとき、ブラックサンドビーチという粒子の細かい火山岩で敷き詰められた砂浜や、雪道も体験したが、あのときもよく走ったなあと思い出した。
ランボルギーニでは、2024年中にウルスのパワートレインの電動化が進められているようだ。まずプラグイン・ハイブリッド化され、ユーロ7という厳しい規制が欧州で施行されればフル電動化への移行もありうる未来だ。
プラグイン・ハイブリッドについては、2023年に発売した「レヴェルト」が、「新しいユーザーを惹きつけるのに成功しました」(ロウフェン・モアCTO談)ということで、市場性は期待できるはず。
ただ……爆発するようなパワー感の爽快さを知っている身にとって、いまのウルスSやウルス・ペルフォルマンテが変わってしまうのは、ちょっと惜しい。もちろん環境は大事にしなくてはならない。クルマ好きのジレンマである。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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