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【クラスに生じる激しい競争】BMW iX 試作車の助手席に同乗 航続600km 総合523ps 前編

掲載 更新 7
【クラスに生じる激しい競争】BMW iX 試作車の助手席に同乗 航続600km 総合523ps 前編

リチウムイオン・バッテリーは105.2kWh

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】BMW iXとiX3 競合するSUVの純EVモデルと比較 全146枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


BMW初の量産純EV、i3が姿を表したのは2013年。これまでに20万台以上を販売し、小さな後輪駆動のハッチバックは純EVのベストセラー、トップ10にランクインしている。BMWによる電気自動車の投入は、競合ブランドの間では比較的早かった。

それに続く純EVとして、2020年に発表されたのがSUVのiX3。X3をベースとしながらも、i3に続く新モデルの構築には7年を要している。

しかしBMWは一気にペースを早め、4ドアサルーンのi4と、iX3より大きいSUVのiXの開発を終えようとしている。今回、英国編集部ではiXのプロトタイプへの同乗が許された。i4のレポートもすぐにお届けできる予定だ。

2018年のパリ・モーターショーで発表されたSUVが、コンセプトカーのビジョンiネクスト。その量産版となるiXは、自社の純EVで最も先進的な内容を備えていると、BMWは自信を見せる。

iX3より大幅に手が加えられたCLARプラットフォームをベースとし、部分的にカーボンファイバー製の構造が与えられている。駆動系のシステムはBMWが第5世代と呼ぶもので、i4と基本的には同じ。

105.2kWhという大容量のリチウムイオン・バッテリーを搭載するが、i3のものと比べるとエネルギー密度は30%も高められているという。航続距離はWLTP値で600kmを誇る。定員は5名だ。

生産工場はドイツ・ミュンヘンの東、ディンゴルフィング。5シリーズから8シリーズまでのモデルと並んで組み立てられる。

歴代のBMWで最大のキドニーグリル

今回助手席に座れたiXは量産化前のテスト車両で、BMWの技術者が耐久性を確認するために試走させている1台。2020年末にiXは発表されており、偽装は一切施されていなかった。ショールームに並べそうな仕上がりに見える。

デザインは、かなり特有の個性がある。これまでのBMW製のモデルとは、まったく異なるプロポーションやディテールを備えている。

フロント中央に大きく構えるキドニーグリルは、歴代のBMWで最大。縦に長いフロントバンパーの下辺まで届く。グリルの上辺には細目のLEDヘッドライトが寄り添う。

大きなキドニーグリルだが、穴は空いていない。空力特性を向上させるためで、Cd値は0.25へ抑えられている。

ボンネットは短め。ボディサイズとしてはX5に匹敵するが、比べるとかなり短く見える。フロントガラスは大きく寝かされ、ルーフは後端に向けてなだらかにスロープし、リアガラスもだいぶ倒れている。

リアエンドの造形処理は、少しアウディにも似ているようだ。テールライトは細長く、テールゲートまで続いている。

このiXはBMWとして初めて、通常はボンネットを開くことができない。カバーはクラムシェル構造だがヒンジはない。フロントには荷物を載せられる空間もなく、メンテナンス時のみ特別な工具を用いて開くことになる。

面白いのが、ウオッシャー液の補充方法。BMWのエンブレムを押すと開いて補充口が現れ、洗浄液をタンクに注ぐことができる。

ボディサイズはX5に近い

BMW iX全体のプロポーションはやや背が低く、SUVというよりもクロスオーバー的。スクエアなフェンダーラインも特長といえる。ホイールは20インチが標準。オプションで22インチまで拡大可能だ。

BMWによると、iXという名前は最新の純EVラインナップとして、フラッグシップに相当するという理由で与えられたという。実際の大きさの印象としては、iX5といった感じ。全長は4953mm、全幅は1967mm、全高は1695mmとなる。

ちなみに現行の4代目BMW X5より、31mm長く、37mm狭く、50mm低い。ホイールベースは3000mmで、8mmだけ長い。

ドアハンドルのような黒い部品がドアに付くが、物理的なメカニズムはない。触れるだけで、電気的に開く。この辺りからも、単なるX5の派生モデルではないことがわかる。

ドアを開くと、サイドシルは幅が狭く、フロアの位置は高い。よく観察すると、ボディ内側の構造がカーボンで作られていることがわかる。プロトタイプでは塗装されていなかったが、量産版でも同じ処理となるようだ。

英国では2021年11月からデリバリーが始まる予定。iX 40 xドライブと、iX 50 xドライブの2グレードが用意され、どちらもツインモーターで四輪駆動が標準となる。今回同乗したのはiX 50 xドライブの方だった。

BMW M社が開発するiX M60も進行中だが、こちらは2022年の登場となる見込み。駆動用モーターは、日本電産やボッシュ、ZFといったサプライヤー製ではなく、自社開発だという。

好奇心を掻き立てられるインテリア

iX 50 xドライブ・プロトタイプの運転をしてくれたのは、開発ディレクターのヨハン・キスラー。車重2500kgもあるSUVとしては信じられないほどの力強い加速と、安定性を確認することができた。質感の良さも驚くほどだ。

同時に、既存のBMW製モデルから飛躍的な一歩を踏み出してもいる。車内に乗り込んだ瞬間に、そのことを実感する。

インテリアからは、好奇心を掻き立てるような新しい印象を受ける。ダッシュボードの位置は低く、シートの位置は高め。従来のBMWのモデルよりクッション性が良く、シートに腰を下ろすというより、上に座っているような感覚もある。

サイドサポートの膨らみは控えめ。ラウンジチェアのようなデザインだ。

シートの角度や位置調整のスイッチは、シートの土台部分ではなく、ドアパネル側の高い位置に付いている。これも従来のBMWとは違うところ。

着座姿勢はアップライト気味で、高めのグラスエリアのプロポーションと相まって、助手席からの視界はかなりイイ。運転席からも同様だろう。フロアは位置が高くフラットだ。

パノラミック・グラスルーフが備わり、車内に現代的な雰囲気を与えている。電気的にガラスの透過率を変えられ、光でいっぱいの車内にすることも簡単。

インテリアデザインはクリーンで整然としている。ダッシュボードの上部には、メーター用モニターとインフォテインメント用モニターが一体になった、大きくカーブを描くパネルが付く。実際に押せるスイッチ類は確認できない。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

7件
  • キドニーグリルのバカデカさが
    全てを台無しにしとる。
  • この 保毛尾田保毛男 みたいなデザインセンスが理解できない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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