「GT-R」がついにラストを迎える? 世間で騒がれているなか、2020年モデルが2019年7月に発表された。“妥協することなく「速さの質」を追求した”と、うたうモデルだ。
GT-Rの2020年モデルは、加速やハンドリングにこれまでに培ってきたレース・テクノロジーをいっそう投入しているのが特徴である。開発を総指揮してきた日産自動車(以下、日産)のチーフ・プロダクト・スペシャリスト、田村宏治氏はそれを“深化”と、呼ぶ。
田村氏の言葉でもうすこし内容を紹介すると、「ドライバーがより安心して意のままに操れるクルマとする」ことを目指したそうだ。「日本を代表するスポーツカーと呼ばれたい」というのが、根幹にある田村氏の思いという。
現行GT-Rは2007年に登場した。タイヤはランフラットタイプ。サイズはフロント255/40ZRF20、リア285/35ZRF20。アルミホイールはレイズ製だ。リアスポイラーは全車標準。オプションでドライカーボン製も選べる。プレミアムエディションのマフラーは、フジツボ製チタン合金製(電子制御バルブ付き)。大人向きの走り2020年モデルは、大人のためのすばらしいスポーツカーだ。乗っての印象をひとことで表現すると、“万能選手”。3799ccのV型6気筒ターボ・エンジンは、フライホイールの質量も軽く、レッドゾーンまでまわり、加速性能はとにかくすごい。
ブレーキシステムには、前輪Ø390mm、後輪Ø380mmの超大径ブレンボ製フルフローティングドリルドローターとスチール系の高剛性パッドを採用。インパネ下部にあるドライブ・モード・セレクター。ステアリング・フィールは繊細だ。タイヤと路面の状況をていねいにドライバーへ伝える。ふだん乗りでは、やや硬めのセッティングの足まわりであるが、ドライブ・モード・セレクターで「R」モードを選ぶと、ビシっと落ち着く印象だ。
操舵感覚は、かといって神経質ではない。スーパー・スポーツカーの例にもれず、GT-Rでも、つまむようにステアリング・ホイールを握っているだけで、センチというかミリ単位という正確さで、望んだ通りのラインを走れる。
搭載するエンジンは3799ccV型6気筒DOHC(570ps/6800rpm、637Nm/3300~5800rpm)。GT-Rは、ポルシェではいえば「911」、アストンマーティンなら「DBシリーズ」のようなモデルだ。2プラス2のパッケージであり、基本はグランツーリスモ的なキャラクターを有する。それでいて、ドライブの楽しさをきわめているのだ。
日本にはホンダ「NSX」があるものの、あちらはハイブリッド(モーター+エンジン)の2シーター・ピュアスポーツなので、少しキャラクターが異なる。GT-Rはセダン的なポジションをとりながら、サーキットでも抜群に速いという実用性がユニークであり、個性なのだ。
6段でも十分2020年モデルは、ハイパフォーマンス・グレード「GT-R NISMO」にも使われている技術(アブレダブルシール)がターボチャージャーに採用された。レスポンス向上に貢献する高効率化技術であるという。
WLTCモードの燃費は7.8km/L。くわえて、Rモード専用のアダプティブ・シフト・コントロールのプログラムが見直されたのも特筆点だ。変更の眼目は、コーナリング時のシフトスケジュールをよりアグレッシブ(高めの回転を維持するよう)にした点にある。街乗りからサーキットまで適用されるそうだ。
コーナーに進入するときのブレーキングは、早めにギアをシフトダウンし、フロントに荷重をしっかりかけることで、より鋭く(つまり勢いよく)コーナーへ入っていける。同時に、コーナーからの脱出に向けての再加速時も、駆動レスポンスを向上させている。
トランスミッションは、ツインクラッチタイプの6ATのみ。MTの設定はない。時代にやや遅れをとりはじめている、と思われるのは、6段しかない(ツインクラッチの)ギア・ボックスだ。現在、8段や9段が主流なだけに、いまだに6段ではもの足りないのでは? という声がある。
ただし多段化の理由は燃費の向上というケースも多々あるので、そこに少しだけ目をつむって、かつGT-Rは、ハイスピード・ドライビングを楽しむスポーツカーとして開発されていると原点にたち還れば、6段で十分であると思った。
加速していって、トルクカーブの頂点を過ぎる手前でシフトアップしていけば、6段ギアでも十分だ。シフトダウンも同様で、トルク・コントロールは十分に効いている。つまりこのクルマの命ともいえる加速性を楽しむには十分なのだ。
ボディは全長×全幅×全高:4710mm×1895mm×1370mm。ブレーキは、軽い踏力で効きが立ちあがるコントロール性の良さが追究されている。スポーツカーで大事な点のひとつはブレーキ性能だ。GT-Rはストッピング・パワーも強大であるが、同時に踏み込んで速度を落としていくときの繊細なコントロールもみごとである。
ボディカラーはワンガンブルー。メーターパネルはアナログタイプ。インフォメーションディスプレイはモノクロ表示だ。GT-Rのロゴ入りステアリング・ホイール(パドルシフト付き)。毎年改良をくわえてきたGT-Rは、スポーツカー的な側面と、快適な乗り心地などといったGT的側面を見事両立していると思う。個人的には、ライバルとして911ではなく、「AMG GT」(こちらは2座スポーツか4ドアしかないので真っ向からぶつかる競合車種はない)ではないか、と思っている。
価格差を考えれば、6気筒搭載の「AMG GT 4ドアクーペ 43 4MATIC」が1176万円だから、GT-R(1063万1520円)とちょうどぶつかる。AMGの内装の仕上げは、趣味性の面でGT-Rの上をいっている。AMGの発表は2018年なので、設計年次に差があるからしょうがないかもしれないけれど、GT-Rファンとしてはやや惜しく感じる。
オートエアコンやナビゲーション・システムなど快適装備は豊富。ナビゲーション・システムは全車標準。インパネ上部にある8インチディスプレイはタッチ式だ。インフォテインメント用ディスプレイで、油温などといった車両情報も確認出来る。プレミアムエディションのシート表皮は本革。フロントシートの調整は電動式。リアシートは独立タイプ。プレミアムエディションのオーディオシステムはBose製(11スピーカー)。ラゲッジルームにはゴルブバッグを2セット積める。GT-Rは、電動化へ大きく舵を切る日産の意向を反映してか、2020年モデルを最後に生産終了になるという噂もある。真偽について同社の広報部は「将来の商品計画については申しあげられません」としている。ファンの心情を考えたら、なくなってしまうのは悲しすぎる。実際に、筆者も同感だ。2020年モデルのGT-Rに乗って強く感じた。
スポーツカーは、乗る人の数こそ多くないのに、なくならない。熱心なファンがいるのが理由のひとつ。もうひとつは、“技術のショーケース”であると同時に、走る楽しさを第一義に置く自動車メーカーの気概のあらわれだからではないか? 日産にエールを送っておこう。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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