プロバイルからクルマ好きへの提案、メーカーがやらないならオレがやる!
その名も、ミラトコットTR-XXアヴァンツァートR!
「祝! 往年の“アヴァンツァートR”がトコットベースで復活!?」第一弾は5速MT化で、ターボ仕様もスタンバイ【ManiaxCars】
トコットといえば、ちびまる子ちゃんに扮した吉岡里帆のテレビCMで知られるダイハツの軽自動車だ。
「吉岡里帆、あれはたしかにカワイイ。しかし、オッサン世代でリホと言えば“牧瀬里穂”だろう! JR東海のクリスマスエクスプレスにはキュンキュンきたし、ちゃんとちゃんとの味の素! も悪くなかったよねぇ」と、新宿三丁目のしみったれた居酒屋で、同世代の40代後半と思しきほろ酔いサラリーマンが酒の肴にするほど吉岡里帆(と、それ以上に牧瀬里穂、笑)のCM効果は絶大だったわけで、彼女が世間一般におけるトコットの認知度を高めることに大きく貢献したのは間違いない。
そもそもトコットとは、女性スタッフが女性ユーザーをターゲットに開発したクルマ。エンジンはNAのKF型で、全車CVTのみの設定とされ、こう言っちゃなんだけどスポーティな雰囲気はまるでナシ。けれど、オーソドックスな2ボックスの5ドアハッチバックボディはシンプルなデザインで嫌味がなく、イジる素材として悪くない。チューニングショップ“プロバイル”の竹田さんは、そこに目を付けた。
「ダイハツの現行軽自動車でMTが設定されてるのって実はコペンだけ。あとは軽バンや軽トラになっちゃうんです。それと、スズキにはアルトワークスがあるのに、ダイハツにはそれに該当するスポーツモデルがない。だったら、カッコよく化けてくれそうなトコットで、そういうクルマを作るしかないでしょ!って思ったんですよ」。
トコットのスポーツモデルを製作する上で竹田さんがモチーフにしたのは、90年代前半の軽スポーツ全盛期に、アルトワークスやヴィヴィオ、ミニカダンガン相手にガチで最速の座を争ったL500系ミラTR-XXアヴァンツァートRだ。
L500系ミラはFFモデルとして3気筒ターボのEF-JL型を載せるアヴァンツァートと、4気筒ターボのJB-JL型を搭載する写真のアヴァンツァートRをラインアップ。さらに、フルタイム4WDのアヴァンツァートR4、遅れて競技ベースモデルのアヴァンツァートX4も登場した。
JB型ターボを初めて搭載したモデルで、「軽なのにこんなに速いの!?って思いました。とにかく衝撃的でしたね」と、当時受けた強烈なインパクトをいまだ鮮明に覚えてる竹田さんは、トコットのスポーツモデル制作にあたって、迷うことなく『現代版アヴァンツァート』を開発コンセプトとして掲げた。
その第一歩といえるのが5速MT換装仕様だ。ミッションはL275系ミラからの移植で、同じKF型エンジンを載せてることからボルトオン装着が可能。ドライブシャフトは後にKF型ターボ、もしくはJB型ターボの搭載を見越して、現行LA400系コペン用を組み合わせている。
クラッチペダルもL275系ミラから流用。ただし、トコットには本来MT設定がないため、バルクヘッドにブラケットを製作した上でペダルが装着される。写真で見る限り、アクセル&ブレーキペダルに対して手前かつ上に装着されてるように思えるけど、試乗してみると位置も操作時の違和感も全くなし。
サイドブレーキは、足踏み式からハンドレバー式に変更。これもL275系ミラから移植される。また、センターコンソールも前端の一部をカットすることでL275系ミラ用を装着しているが、「いろいろ調べたらエッセ用の方がしっくりきそう。色もブラックなので、よりマッチングはいいと思いますよ。基本はL275系ミラを1台買ってきてパーツを移植。それに伴って各部の加工が必要になります」と竹田さん。
ノーマルエンジンはNAのKF型(52ps/6.1kgm)。今後は、LA400系現行コペンやムーヴカスタムなどに搭載されるKF型ターボ(64ps/9.1kgm)、L500系ミラやL880系初代コペンに載った4気筒のJB型ターボ(64ps/11.2kgm)の他、1.3ℓ直4のK3-VE2(110ps/12.8kgm)に換装するメニューも用意。エンジンスワップを展開していく上でも、今回の5速MT換装は必須のチューニングだったというわけだ。
ちなみに、外装はL502SミラTR-XXアヴァンツァートRのイメージカラーである、ジュリアンレッド×ブラックのツートーンボディ色をラッピングで再現。ボディサイドにはグレード名が大きく入る。ホイールは純正のスチール+フルキャップだけど、意外にも似合っている。ちなみに、ルーフスポイラーは純正アクセサリーとして用意されるモノだ。
公認車検まで取得した5速MT仕様のトコットTR-XXアヴァンツァートRにさっそく試乗。クラッチペダルやシフトレバーの位置、操作性は、「始めからMTモデルがあったんじゃないか?」と思えるくらいに自然。ノーマル=CVT仕様に乗ったことがないから比較のしようがないのだけど、たった52psのエンジンでも車重が720kgしかないだけに、マメにシフトチェンジすれば思いの他よく走ってくれるし、それ以上に楽しいのだ。
ただ現状、MT化に伴って制御系にフェイルセーフがかかり、エンジンが5000rpm以上回らない。この辺は純正ECUの解析&書き替えによって早急に対応していくという。
「最新モデルのトコットはエンジンルームの整備性が非常によく、ミッション交換時にエンジンを降ろす必要がなくなりました。また、5速MTなら純正ギヤの組み替えでクロスレシオ化もできるので楽しみが広がります。さらに、トコットには4WDモデルもあるのでFR仕様の制作も予定してますよ!」。
これまで話題作りにはコト欠かなかったプロバイル。トコットTR-XXアヴァンツァートRはターボ仕様や4WD改FR仕様など、すでに第二弾、第三弾が控えているのだから、今後の動向チェックを強く勧める次第だ!
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:プロバイル(RWD laboratory) TEL:0790-83-2238
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