■M135i xDriveの4気筒ターボは、自然吸気のようなフィーリング
BMWの「M135i xDrive」と、ルノーの「メガーヌ R.Sトロフィー」。日本マーケットに導入されている、いわゆるヨーロッパ産ホットハッチのなかで、もっとも気になる存在が、この両モデルといえるのではないだろうか。今回はこの2台が持つキャラクターを比較してみようと思う。
BMW「X3」に直列6気筒ガソリンエンジン搭載のMパフォーマンスモデル「X3 M40i」追加
まずはフルモデルチェンジによって、昨年夏にサード・ジェネレーションへと進化したBMW M135i xDriveからレポートを始めよう。BMWのベーシックラインを担う1シリーズは、さらに実用性の高いパッケージングを持つ2シリーズやMINIの存在により、日本ではややその存在感が薄まる傾向にある。
それは現在の日本仕様のラインナップを見ても一目瞭然で、このM135i xDriveのほかに選択が可能なのは3タイプの118iのみ。プライスはM135i sDriveが630万円とラインアップ中では飛び抜けて高い。つまり、最初から高性能なホットハッチを作ることに妥協を許さない、そしてBMWというブランドに心酔するカスタマーを満足させるべく特別に開発されたモデルにほかならないのだ。一般的なハッチバックとはベクトルが異なる。
さあ、それだけの価値を感じさせてもらおう。そう意気込んでドライバーズシートへと座ってみると、キャビンの景色から、これまでのBMWの基本デザインが変えられていないことに気づく。その質感も非常に高く、Mの称号を掲げるモデルらしくスポーティな仕上がりで、いわゆるマン・マシンの一体感はここからすでに表現されている。
エンジンをスタートさせると、フロントからは先代モデルの3リッターの直列6気筒ではなく、2リッター直列4気筒にターボを装着したダウンサイジングターボのサウンドが耳に届いた。最高出力は306馬力と先代から20馬力ダウンしているが0-100km/h加速は4.8秒と0.1秒ほど向上している。
ドライブをスタートする前に気になっていたのは、この最新のM135i xDriveが、FWDの駆動方式を採用したサード・ジェネレーションの1シリーズから派生したモデルであるということ。はたしてBMWは、FWDをベースに必要時には最適なトルクを後輪に送るというxDriveのシステムで、どれだけドライビング・ファン=走る楽しさを体感させてくれるのか。
歴代のM3、とりわけ同じ直列4気筒エンジンを搭載し、ディメンジョンも大きく変わらない初代M3を知る者には、それもまた気になるところだろう。
ドライブしてまず感心したのは、直列6気筒とも間違うかの如きエンジンのスムーズさだ。ターボもその存在感を強調するわけではなく、全体的には自然吸気エンジンのようなドライバーの感性にマッチしたパワーフィーリングが得られる。トップエンド付近でのレスポンスも実に見事だ。
組み合わせられる8速ATはマニュアル操作も可能で、そのシフトの速さもワインディングでは大きな魅力になる。サスペンションやステアリングの動きも、他車ではなかなか見られないほどにナチュラルなもの。
このモデルではスポーツとノーマルのドライブ・モードが選択できるが、スポーツモードでも乗り心地には十分な快適さが感じられるし、逆にノーマルモードでもハンドリングは素直で安定した印象を崩さない。さすがはBMWの作といった印象だ。
■走りを極めた時の感動はほかのどのクルマよりも大きいメガーヌR.S.トロフィー
続けてルノーのホットハッチ、メガーヌR.S.トロフィーのステアリングを握る。ちなみにこのR.S.トロフィーは、ニュルブルクリンクのノルド・シュライフェ(北コース)でFF車の最速ラップタイムを記録したRのベースとなったモデルだ。
R.S.トロフィーのベースはR.S.で、そのベースはメガーヌで……と、何やら話は難しくなるが、ようするにルノーはメガーヌというハッチバックモデルで、速さを追求するため、これまで弛まぬ進化を続けてきたというわけだ。
エクステリアでは、それほどスポーツモデルらしい大胆なディテールを持たないかのように見えるR.S.トロフィーだが、実際にはそのエクステリアを見ると、専用のF1タイプエアインテークブレードや、その名も「TROPHY」と呼ばれる19インチアロイホイール、スポーツエグゾーストなどは、このR.S.トロフィーに独自の装備が装着されていることが分かる。
一方、ベースのR.S.に対して変化が激しいのはメカニズムの方で、搭載される1.8リッターの直列4気筒ターボエンジンは、ターボや制御系の見直しにより、さらに21馬力のエクストラを得た300馬力仕様になっている。また、最大トルクも420Nmに強化されている。
組み合わせられるミッションは6速MTとデュアルクラッチの6速ATが選択できるが、AT仕様ではウエイトが20kg重くなるほかは、シフトスピードなどを考えればハンデはないと考えてよいだろう。
サスペンションは、前後のスプリングレートやダンパーをさらに強化したスポーツ仕様の「シャシー・カップ」が標準装備となる。
ロールバーやトルセンタイプのデファレンシャルにブレンボ製のブレーキやエグゾーストと、走りに対しての備えを万全とするパッケージ装備に加え、さらに4コントロールと呼ばれる4輪操舵システムや、4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロールの4HCCまでもが採用されていることを考えれば、試乗した6速AT仕様で499万円というプライスは、相当なバーゲンといえるのではないか。
もちろん5ドアハッチバックとしての機能性や安全性の魅力は、さすがに最新のフランス車だ。
メガーヌR.S.トロフィーのキーを手に入れたら、まず向かうべきはワインディングロードだ。すでに十分に走り慣れたワインディングへと向かう道でまず驚かされたのは、普通にクルージングしているうちは、非常におとなしい快適なハッチバックであることだった。軽量化のために防音材などがダイエットされたのだろう。路面からのロードノイズは常にキャビンへと大きめに伝わるが、それさえもこれから訪れる至福の時間を予告するカウントのようで好ましい。
ここからアクセルペダルを踏み込めば、ミッションはスムーズにシフトダウンし、ドライバーはほとんど重量感を感じることなく強力な加速に身を委ねることになる。この二面性こそが、メガーヌR.S.トロフィーの第一の魅力といえるのだ。
ワインディングでは、そのコーナリングの軽快さに翻弄され続けられた。その軽快さを演出する大きな秘密は、4輪操舵システムの存在が大きい。100km/hまでは前輪と逆方向に、それ以上の速度域では同方向に後輪をステアすることで、低速時のオーバーステアと、高速時のスタビリティを高める機能を果たしているのだ。
このメガーヌR.S.トロフィーを自在に操るには、ドライバーにはかなりの経験が必要になるだろう。
それだけにその走りを極めた時の感動はほかのどのクルマよりも大きい。日常域はもちろんのこと、ワインディング・ドライブから、さらにはサーキット・ドライブまでカバーするメガーヌR.S.トロフィーは、これまでのハッチバックとしての実用性はそのままに、新しいライフスタイルが生まれそうなホットモデルだ。
●VAGUE編集部のジャッジ
どちらが欧州ホットハッチの王者に相応しいかという評価基準でジャッジすると、メガーヌR.S.トロフィーに軍配が上がる。
M135i xDriveとメガーヌR.S.トロフィーの最高出力と最大トルクはそれぞれ、306馬力・450Nmと300馬力・420Nmと数値の上では拮抗している。燃費もWLTCで、M135i xDriveが12.0km/L、メガーヌR.S.トロフィーが12.4km/Lとほぼ変わらず。
大きく変わるのは、M135i xDriveが1580kgであるのに対し、メガーヌR.S.トロフィーが1470kgと軽量であることだ。これは前者が4WD、後者がFFという駆動方式の違いのよるところも大きいだろうが、100kgものウェイトハンデは大きい。
万人が普通にドライブできるであろうM135i xDriveに比べ、ドライビングスキルを要求されるメガーヌR.S.トロフィーだが、走りの楽しさを求めるドライバーには、むしろその方が運転する歓び、所有する歓びを深く感じることができるだろう。
M135i xDriveに比べると簡素ともいえるメガーヌR.S.トロフィーのコクピットだが、むしろそれも走りに特化していると思えば潔く感じられる。車両価格が130万円もお得であることも、メガーヌR.S.トロフィーに軍配を上げる大きな理由のひとつだ。
●BMW M135i xDrive
・車両価格(消費税込):630万円
・全長:4355mm
・全幅:1800mm
・全高:1465mm
・ホイールベース:2670mm
・車両重量:1580kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1998cc
・エンジン配置:フロント横置き
・駆動方式:四輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力:306馬力/5000-6250rpm
・最大トルク:450Nm/1750-4500rpm
・0-100km/h:4.8秒
・最高速度:250km/h
・公称燃費(WLTC):12.0km/L
・ラゲッジ容量:380-1200リッター
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)マルチ・リンク式
・ブレーキ:ベンチレーテッド・ディスク、(後)ディスク
・タイヤ:(前)225/40R18、(後)225/40R18
・ホイール:(前)8.0Jx18、(後)8.0Jx18
●ルノー・メガーヌR.S.トロフィー
・車両価格(消費税込):499万円
・全長:4410mm
・全幅:1875mm
・全高:1435mm
・ホイールベース:2670mm
・車両重量:1470kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1798cc
・エンジン配置:フロント横置き
・駆動方式:前輪駆動
・変速機:6速AT
・最高出力:300馬力/6000rpm
・最大トルク:400Nm/3200rpm
・0-100km/h:5.7秒
・最高速度:260km/h
・公称燃費(WLTC):12.4km/L
・ラゲッジ容量:380-1200リッター
・サスペンション:(前)マクファーソン式、(後)トーション・ビーム式
・ブレーキ:ベンチレーテッド・ディスク、(後)ディスク
・タイヤ:(前)245/35R19、(後)245/35R19
・ホイール:(前)8.5Jx19、(後)8.5Jx19
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