2022年1月1日から14日間にわたって中東、サウジアラビアの砂漠地帯で戦いが繰り広げられた第44回ダカールラリー2022が14日、西部の港湾都市ジェッダでフィニッシュを迎え、TOYOTA GAZOO Racingのナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組(GRダカールハイラックスT1+)が総合優勝を果たした。アル-アティヤは通算4度目のダカール制覇。TGRにとっては彼が前回優勝した2019年以来、3年ぶりの勝利となった。
アル-アティヤと同様に、新型のランドクルーザー300 GR SPORTに採用されている3.5リットルV6ツインターボエンジンを搭載するGRダカールハイラックスT1+をドライブしたチームメイトたちは、ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組が総合5位、シャミア・バリアワ/ダニー・スタッセン組は総合15位に。最終日のステージ12で今大会2度目のステージウインを飾ったヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組は総合31位でラリーを終え、TGRは参戦した全4台が完走を果たした。
トヨタ、3年ぶりダカールラリー制覇。アル-アティヤがローブを下し、通算4度目の優勝飾る
ラリーの初日から総合首位の座を守り続けてきた“砂漠の王”ことアル-アティヤ。彼は総合2番手のセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム/BRXハンターT1+)を33秒19秒引き離した状態でラリーの最終日を迎えた。この日のステージ12は今大会最短の競技区間165kmのステージで、ナビゲーションこそ難しかったものの、アル-アティヤとボーメルにとっては大きな問題にはならなかった。
彼らは、ステージウインを飾った僚友ラテガンから7分53秒遅れのステージ19番手でフィニッシュしたが、ライバルとのギャップは充分にあり最終的には27分46秒差で総合優勝を飾っている。
なお、この勝利はアル-アティヤにとって特別なものだった。カタール出身の彼にとって、2020年から中東・サウジアラビアが舞台となったダカールラリーを制することは悲願であり、2020年と翌年の2021年大会ともに優勝争いに加わりながら僅差の2位と涙を飲んできたなかで今年、ついにその雪辱を果たすことになったためだ。
また、TGRにとっても特別な1勝となった。チームは今大会に向け、大径化されたタイヤとホイール、拡大されたサスペンションストローク、そして前述の新開発エンジンなどを採用したニューマシンを開発した。今回、3年ぶりに手中に収めた勝利は、チームが“モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり”の信念の下に、技術の限界に挑んだ結果と言えるものだ。
■アル-アティヤ「素晴らしいクルマを生み出してくれたグリン・ホール代表に感謝」
「ナッサー(・アル-アティヤ)とマシュー(・ボーメル)、そして我々チーム全員にとっても本当に最高の勝利です」と語るのは、チームを率いたグリン・ホール TGRチーム代表。
「新しいGRダカールハイラックスT1+が、デビュー戦のダカールラリーで勝利でき、感激している」
「この勝利を、長年にわたってTGRのダカールプロジェクトをサポートし続けてくれたヨハン・ファン・ゼイル博士(元欧州トヨタCEO:2021年7月逝去)に捧げる。今年成し遂げたこの勝利を心から誇りに思っているし、きっと博士も喜んでくれていると思う」
優勝したアル-アティヤは「ダカールでの勝利は最高の気分だ! 僕たちは序盤からラリーをリードし、大会を通してペースをコントロールしてきたが、それを成し遂げての勝利は格別だね」と語った。
「TOYOTA GAZOO Racingとサポートしてくれたスポンサーの皆さまに感謝している。また、この素晴らしいGRダカールハイラックスT1+を生み出してくれた、チーム代表兼テクニカルマネージャーでもあるグリン・ホールにも感謝したい。最高のダカールだったし、本当にうれしいよ」
チームメイトのド・ヴィリエールは、ラリー前半戦は表彰台を争う位置につけていたがマシントラブルに泣き後退。それでも総合5番手まで順位を戻してきたベテランドライバーは最終日のステージ走破後、次のように語った。
「最終ステージはナビゲーションが難しいポイントが数多くあり、とても大変だった。我々が正しいルートを見つけた瞬間にステファン(・ペテランセル/ステージ12で総合2番手)が追いついてきたこともあった。彼は幸運だったが、我々はルートを探すために何度も引き返さなくてはならなかったんだ。最終ステージにもかかわらずそれほどナビゲーションの難しいステージだった」
「最終的に僕たちは総合5位でフィニッシュできたが、表彰台に届かなかったのは少し残念だ。ナッサーとマシューの勝利を本当に喜んでいる。クルマは最高だったし、チームも素晴らしい仕事をしてくれた。こうしてダカールラリーを無事に完走できたことに満足しているんだ」
今大会で初めてスタッセンとコンビを組むことになりながらも、ラリーを戦っていく中で力をつけていったバリアワは、「今日の最終ステージスタート前はちょっとナーバスになっていたが、フィニッシュできて最高だ」と述べた。
「これで僕にとって2度目、ダニーにとって初のダカール完走を果たせたので本当にうれしいよ。とても感激しているし、来年もぜひ戻ってきたいと思っている」
前日はアル-アティヤのサポートに回ったためステージ争いに加われなかったラテガンはこの日、後方からのスタートを余儀なくされた。それでも彼はタイヤのパンクにも見舞われながらも猛烈な走りをみせ、最後には今大会2度目となるステージウインを飾ってラリーを締めくくった。
「ようやくダカールを最後まで経験できた」とラテガン。「序盤にステージ勝利を飾ることができた一方で、暗くなるまで砂漠でサポートを待つこともあり、最高の瞬間も、最悪とも思える瞬間も経験することができたよ」
「13日(金)のステージ11でトラブルに見舞われたのもあって、昨夜はちょっと落ち込んでいたが、ひと晩寝て気持ちを切り替えた。今日の最終ステージでは多くの車両を追い抜く必要があったし、パンクにも見舞われた。その時には僕たちにとってのステージ2勝目の夢は潰えたかと思ったが、諦めずに最後までハードに攻めた結果、最終ステージで勝利することができたんだ」
■ダカールラリー2022 最終結果
Pos.Driver&Co-DriverGap総合1位#201 ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組38h33'03総合5位#207 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組+1h41'48総合15位#233 シャミア・バリアワ/ダニー・スタッセン組+3h55'33総合31位#225 ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組+11h51'21
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みんなのコメント
やはりモータースポーツで勝つことは素晴しい。
参加しなければ勝てないし感動を与えてくれない
トヨタ バンザイ。