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初期型のSKYACTIV Xも進化する!? マツダの制御プログラム変更でマツダ3/CX-30の何が変わる!?

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初期型のSKYACTIV Xも進化する!? マツダの制御プログラム変更でマツダ3/CX-30の何が変わる!?

 マツダは、既存モデルオーナーを対象とした制御プログラムなどの最新化サービス「マツダ スピリット アップグレード」を発表した。第1弾は『マツダ3』『CX-30』の初期型モデルを対象に、2021年2月19日よりサービスを開始するそうだ。

 とはいえ、アップデートと言われても、この変更で何が変わるのか? 正直イマイチわかっていない……という『マツダ3』『CX-30』オーナーもいるのではないだろうか。

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 そこで、このアップデートを受けることで何が変わるのか? また電子制御の部品に関しては、他メーカーでもこのようなアップデートで色々対応できるのか? また、これからクルマもこうしてパソコンのようにアップデートしていくことが主流になるのか? などについて解説していきたい。

文/工藤貴宏
写真/編集部

【画像ギャラリー】エンジン無償アップデートで話題のMAZDA3/CX-30改良モデル写真集

■アップデートの内容は、スカイアクティブXエンジンの性能向上まで踏み込む

 2021年2月、マツダが新しいサービスをスタートさせた。「MAZDA SPIRIT UPGRADE(マツダ スピリット アップグレード)」と呼ぶそれは、すでにユーザーの手元にある愛車を対象に、制御プログラムなどをバージョンアップして性能を高めるというもの。

『MAZDA3』と『CX-30』のe-スカイアクティブX搭載車のオーナーに朗報! 年次改良を受け、性能向上を果たした内容を、無償「アップデート」として実施される

 まずは『MAZDA3』と『CX-30』の初期モデル(2019年11月8日~2020年11月27日生産)のe-SKYACTIV X搭載車を対象とし制御プログラムを無償アップデートが予定されている。

 プログラムによるアップデートの内容は、

●e-SKYACTIV XエンジンとATの制御変更

●クルージング&トラフィック・サポート(CTS)の作動上限速度を従来の55km/hから高速域まで引き上げる

●マツダ・レーダー・クルーズコントロール(MRCC)の制御プログラムをより最適化

の3点。

 プログラムの更新は、準備が整い次第、対象となるユーザーへ案内が届き、ディーラーへ入庫して作業することになる。

 今回のプログラムアップデートにかかる料金はなんと無料。マツダは「(今回の)e-SKYACTIV Xエンジンの性能の改良は、搭載車をご購入いただいたお客さまの走行データなどをもとに実現することができた。e-SKYACTIV Xエンジン搭載車をご愛用いただいているお客さまへの感謝の意を込めて、今回特別に無償で制御プログラムを最新化する」と説明する。

■不具合の解消を目的とした更新と異なり、機能向上を目的とした画期的な更新

 制御プログラムの更新は昨今では珍しいことではないが、今回のマツダの試みが一般的なアップデートと異なるのは「不具合を解消する」やいわゆる「最適化」ではなく「機能向上」まで踏み込んだことである。扱いこそ「サービスキャンペーン」となっているが、目的は性能向上にあるのだ。

 実は、これまでも既存の車両を対象にアップデートにより機能が向上するプログラム更新はボルボやトヨタが先進安全性能の追加をおこなった例がある(いずれも有償でのアップデートだったがトヨタは4180円+作業料、ボルボは工賃込み9288円とわずかな金額)。

 今回のマツダのアップデートにも先進安全性能機能向上が含まれているが、注目すべきはエンジン自体がパワーアップすることである(工場出荷後に装着するオプションなどではなく更新プログラムで)。パワートレーンの性能向上まで手を出すのはマツダがはじめてだ。

今回のアップデートは、エンジンの性能向上という日本初の試み。今後電動化の進行によりモーターなどの性能向上をにらんで実施された法改正を、内燃機関で実施したことが画期的である

 アップデートの対象となるモデルのe-SKYACTIV Xエンジンは当初、最高出力180ps/最大トルク224Nmだった。

 しかし、制御プログラムをアップデートすることにより、最新モデルと同じ190ps/240Nmへとスペックが向上。別売オプションの制御プログラムを組み込むわけでもなく、あくまでアップデートによる標準状態として型式認定に関わる部分が変更されるというのは大きな出来事である。

 このマツダの試み(型式認定に関わる部分の変更)は、2020年11月に道路運送車両法の一部が改正されたことで可能になったもの。すでに所有している車両へのソフトウェアアップデートによって性能変更や機能追加(改造)が可能になる許可制度が設けられたことで、アップデートの基準が明確化されるとともに、届出を行うことによりエンジンの出力など本来であれば型式認定で定められた部分まで変更すること認められたのだ。

 繰り返しとなるが、カタログの記載値から数値が変わるような変更も行えるようになったのが大きなトピックである。

 話をマツダ3やCX-30に戻すと、e-SKYACTIV Xエンジンは初期モデルの仕様が確定してからの次のステップで、機械的な変更なしに制御を煮詰めることでフィーリングアップする余地があることがわかったのだという。それを2020年末の商品改良に反映したが、このバージョンアップはひとことで言えばその内容を従来モデルにも反映する内容である。だから従来型オーナーも最新仕様と同じになるのだ。

今回のアップデートの話題はエンジンの性能向上に目が行きがちだが、安全装備系の制御プログラム更新も同時に実施される

 言うなればこれは、SKYACTIV Xを選んでくれたオーナーに対するマツダの恩返し。本来なら有償でもおかしくないことだが、オーナーに感謝を込めて無料でおこなうというのだ。

 「(今回の)e-SKYACTIV Xエンジンの性能の改良は、搭載車をご購入いただいたお客さまの走行データなどをもとに実現することができました」とマツダは説明する。

■今回の異例ともいえるアップデート その試みの真意は?

 なかには「最初から完璧なものを出せ」という人もいるかもしれない。しかし、その考え方は正しくない。

 機械である以上、やはり開発が進むほど進化していくのは当然である。本来ならばそれは従来型のオーナーには「諦めてもらう」しかないのだが、その進化を従来モデルにも反映するというのが今回のマツダの試みなのだ。もし「最初から完璧なものを出せ」というなら、それは制御の進化や熟成を否定することになる。

 実は、これと同じ考えがパソコンやスマホのプログラムアップデートだ。OSもそうだが、ソフトウェアやアプリも同じこと。バージョンアップによって不具合を手当てするだけでなく、時には新しい機能が追加されることもある。

そういうと、パソコンなどで起きる「バージョンアップせず従来型のほうがよか った」というバージョンアップはクルマにも起こりえるのだろうかと心配する人もいることだろう。

 しかし、基本的にはその心配はない。パソコンと違って「従来使っていた機能が使えなくなった」とか「周辺機器との相性が悪くなった」という状況はクルマでは普通は起きないないからだ。

 ただし、例外はチューニングで制御プログラムなどを標準状態から変更している場合。その際はトラブルにつながる可能性もあるので、最新の注意が必要である。また、バージョンアップによりクルマは間違いなく進化するはずだが、なかには「従来モデルのフィーリングのほうが好みだった」というケースも、稀にあるかもしれない。

■制御プログラムのアップデートによる性能向上の改良に他社は追従するのか?

 ところで、マツダが先陣を切った制御プログラムによる性能向上に他メーカーも追従するのだろうか?

 時間がたつにつれ、多くのメーカーに波及するのは間違いないだろう。そして、将来的には、テスラがおこなっている制御プログラムの更新のように、ディーラーへ行くことなく無線通信でおこなえる可能性もある。

クルマの改良方法も日々変化を続けている。かつてはモデルの中盤である、発売後2~3年に実施していたマイナーチェンジが今や年次改良となり、今後は都度アップデートに変わるのか?

 内容に関しては、先進安全装備の機能向上やパワートレーンの進化のほか、走行モード切り替えや電子制御4WDシステムの設定変更、ナビを含めたインフォテイメントシステムの機能追加などが考えられる。

 ただし、今回のマツダのような性能向上に関しては、無料となるのはレアケースだろう。 プログラム開発もクルマへのインストールも作業が発生するので、その対価は求められるのが一般的になると思われる。

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