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ATなのにバカッ速! MT乗りを震撼させた「WRX STI Aライン」は隠れた名車だった

掲載 更新 90
ATなのにバカッ速! MT乗りを震撼させた「WRX STI  Aライン」は隠れた名車だった

GDB型最終モデルに登場した「A-Line」のネーミングを2ペダルモデルが継承

 スバル歴代WRX STIシリーズ(インプレッサWRX STI含む)の中で、唯一ATが設定されていた3代目モデル(GRF型/GVF型)。実はA-Lineというネーミングは、2代目インプレッサWRX STIの最終型で登場した特別仕様車に初めて与えられた名前で、2006年6月に登場したインプレッサWRX STI A-Lineは、ベースのインプレッサWRX STIから大型ウイングを省略し、ハイラスター塗装のホイールや金属調のインテリアパネル、アルカンターラ生地のシートなどで、プレミアム感を高めたモデルだ。

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 もちろんフェンダーインシュレーターなども特別装備することで静粛性なども考慮した大人のスポーツセダンといったコンセプトであった。しかしトランスミッションは6速MTのみという設定で、ベースモデルの硬派な印象も残っていた。

5速ATとの相性抜群の全域でトルクフルな2.5L水平対向4気筒ターボを搭載

 翌年にフルモデルチェンジを行った3代目WRX STIの最初の年次改良で再びA-Lineのネーミングが復活した。先代のプレミアムスポーツというコンセプトは変わらず、専用のパワートレインを採用。先に発売されていたWRX STIがEJ20型2.0L水平対向4気筒DOHCターボに6速MTという組み合わせだったが、A-Lineでは輸出仕様のWRX STIに搭載されるEJ25型2.5L水平対向4気筒DOHCターボに、マニュアルモード付5速ATを組み合わせた完全な2ペダル専用グレードとして登場した。

 この2.5Lターボエンジンは、ATモデルに搭載されるユニットとしてはかなりの高出力ユニットで最高出力300ps/6200rpm、最大トルク35.7kg-m/2800~6000rpmを発生。MTモデルの308ps/6400rpm、最大トルク43.0kg-m/4400rpmと比較しても、十分過ぎるほどのパワーとトルクを備える。

 また排気量拡大にともない、エンジン出力特性を変更するSIドライブを最もスポーティな「S#」モードにすれば、過激といえるほどの加速をしてくれる。通常走行で使用する「I」モードにセットした場合でも、トルクバンドが太く幅広い回転領域で湧き出すトルクは500ccのアドバンテージといえる。もちろんATとのマッチングは良く、街乗りからワインディングまで実に快適に走ることができるのが特徴だ。

マニュアルモード付き5速AT&電子制御センターデフの採用でGT性能を発揮

 搭載されるTG5D型5速ATは、マニュアルモード時にダウンシフトブリッピング機能を採用。ステアリングコラムに装着されたパドル、またはセレクターレバーのマニュアルゲートでも変速を可能としている。

 センターデフもMTモデル用のDCCD(ドライバーコントロールセンターデフ)こそ採用されなかったものの、レガシィでも定評のあるVTD(不等・可変トルク配分電子制御)式センターデフを採用。前後45:55のトルク配分が状況に応じて自在に変化。DCCDの通常時と同じく、後輪寄りのトルク配分であることからもコーナリングの気持ちよさは抜群であった。

 その他、MTモデルに標準装備されるブレンボ製フロント4POT対向、リヤ2POT対向キャリパーもメーカーオプションとして設定されており、2ペダルでスポーツドライブを存分に楽しむオーナーには嬉しいオプションも用意されていた。

8ウェイパワーシートやシートヒーターなどの快適装備も充実

 エクステリアデザインこそMTモデルとの差異を前述のブレンボブレーキの装備で補完するしかないが、それ以外は迫力のブリスターフェンダーや、2010年に追加される4ドアモデルでは大型リヤスポイラーの装備が可能で、見た目の違いはほとんどない。

 一方インテリアに目を移すと、こちらも基本的な装備は共通としながら、オプションの設定が異なる。MTモデルでは選択できない本革電動シートやサンルーフがチョイスできるほか、クルーズコントロールも装備される。このあたりはグランドツーリング性能を兼ねたプレミアムスポーツモデルらしい設定だ。

 また、シートはブラックレザーの他「プレミアムタンインテリア」も用意されており、シートのほかステアリングもタンレザーとのコンビレザーになる。さらに、2010年にはWRX STI A-Lineをベースにふたつのスペシャルモデルが登場。

 1台目は「WRX STI A-Line type S」で、アルカンターラと本革を組み合わせた専用シートを採用し、インテリアのステッチにはMTモデル同様「レッドステッチ」が採用された。オプションとしてRECARO製フロントシートが設定されていたこともトピックで、エクステリアではアルミホイールをスペックC用と同じガンメタリック塗装の軽量タイプが奢られた(後期モデルに設定されたタイプSでは別デザインとなる)。その姿はメーカーオプションのゴールドのブレンボキャリパーと合わせてかなりスペックCに近いエクステリアイメージであった。

2010年12月には珠玉のSTI製コンプリートカー「A-Line tS」も登場

 そして、もう一台のスペシャルモデルが、STIが手掛けたコンプリートカー「WRX STI A-Line tS」だ。STIの手掛ける珠玉の足まわりに加え、なんとドライカーボン製ルーフまでも備える本格的なコンプリートモデルとなっていた。

 A-Lineは2ペダルでイージーにスポーツドライビングを楽しめるモデルとして登場したが、その役割をWRX S4へ託すと同時に、モデル唯一のWRX STIとしてスポーツモデルの常識を覆し、ATだから……と言わせない一石を投じたモデルといえるだろう。

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みんなのコメント

90件
  • 自分でギアを入れて運転することが楽しいからMTに乗っている。
    別に速く走れなくてもいい。
  • 速い遅いより微妙なアクセルオン・オフで車の姿勢を制御できるMTのダイレクト感が良いのよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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