アルファタウリの角田裕毅は、F1最終戦アブダビGPを8位でフィニッシュした。ほとんどのドライバーが2ストップを選択する中、チームは1ストップで走り切ることを選択。スタート位置からふたつポジションを落とすことにはなったものの、その戦略を成功させるべく奮闘した角田には賞賛が集まり、このレースのドライバー・オブ・ザ・デイに選出された。
角田はアブダビGPの決勝レースを6番グリッドからスタート。1周目にはアストンマーチンのフェルナンド・アロンソに一時先行される場面もあったもののすぐにそれを奪い返すと、力強いペースで走り、前を行く集団に食らいついていった。
【インタビュー】ベッテル、フェルスタッペン、角田裕毅らを育てたアルファタウリのトスト代表が振り返る“仕事一筋”の18年間
12周目を終えた段階でアロンソがピットに入ると、他のマシンも続々とピットイン。一方でアルファタウリは、角田を1ストップで走り切らせる戦略を採り、ステイアウトさせた。
そしてフェラーリのシャルル・ルクレールがピットに入ったことで、角田が先頭に。角田は18周目から22周目まで、5周にわたってリードラップを記録した。これが角田にとってF1キャリアで初めてのリードラップである。
ピットストップを行ないハードタイヤを履いた角田は、11番手でコースに復帰。その後各車が2度目のピットストップを消化すると、3番手までポジションを上げることになった。
角田はタイヤを労ったが、新しいタイヤに履き替えたマシンが速いのは当然。角田はそこで耐えなければならなかった。しかしマクラーレンのオスカー・ピアストリに抜かれてスタートポジションより下の7番手に下がり、さらにはアロンソにも抜かれてしまう。
そしてレース最終盤、ルイス・ハミルトンが背後に迫った。あとひとつポジションを落とすのは避けられないかと思われたが、角田は耐えに耐えた。最終ラップのターン9では、一時ハミルトンに先行を許すも、クロスラインを取って抜き返し、8番手をキープ。そのままチェッカーを受けた。
目標としていたコンストラクターズランキング7位奪取は叶わなかったが、それでもその印象的な走りは人々を魅了したと言ってもいいだろう。その結果、このレースのドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれた。
「ドライバー・オブ・ザ・デイに投票してくださった皆さんに感謝します」
角田はチームのプレスリリースにそうコメントを寄せた。
「厳しいレースでした。一時はトップ6でフィニッシュできるかもしれないと思いました。うまくはいきませんでしたが、僕たちは1ストップ戦略を採ったことについては後悔していません。全力を尽くしたし、自分自身にも満足しています」
角田はシーズンを振り返り、終盤に大きく前進できたことを喜んだ。
「全体的に楽しいシーズンでした。序盤はマシンのパフォーマンスに苦労しましたが、シーズンを通じてステップアップすることができました。コンストラクターズランキング7位には辿り着くことはできませんでしたが、ビスターとファエンツァのチームのおかげで、シーズン終盤にはランキング10番手から8番手に浮上することができました」
「メキシコで僕はいくつかミスを犯し、それでチームに損害を与えることになってしまいました。ウイリアムズには、素晴らしい仕事をしたと言いたいです。彼らはそれに値するし、僕もこの戦いを楽しむことができました」
今回のレースをもって、長年チーム代表を務めてきたフランツ・トストが退任する。角田はそのトスト代表に対しても、感謝の言葉を述べた。
「フランツにも感謝します。この3年間はとても楽しかったです。彼がいなくなってしまうと、絶対に寂しいと思います。彼のアドバイスがなければ、僕のキャリアがここまで進歩することはなかったと思います。彼に感謝していますし、今後も連絡を取り合えればと思っています」
そのトスト代表は、1ストップ戦略は間違いだったかもしれないと語った。
「今回のレース、ユウキは1ストップで走ることを選択した。しかし結局、これは間違った決断だった」
最後の言葉で、トスト代表はそう厳しくレースを振り返った。
「2ストップ戦略であれば、ユウキは6位か、少なくとも7位でフィニッシュできたと思う。彼は追い抜かれた他のドライバーよりも速かったからね」
「コンストラクターズランキング7位で終えることが目標だったから残念だ。新しいフロアが機能したため、空力面ではポジティブな部分がいくつかある。来年のマシンに向けて、良い兆候だ」
「私にとっては、これが最後のレースだった。応援してくれた全てのF1ファン、そしてFIA、FOM、全てのF1チーム、ホンダ、ピレリ、その他協力してくれた全ての人たちに感謝したい」
「これまでの18年間、このチームと全てのドライバーたちと共に仕事ができて幸せだった。誰もが、今後成功することを願っている」
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