先日行なわれたMotoGPのイギリスGPは、(ロードレース世界選手権から数えて)シリーズ創設75周年を記念し、各チームのマシンのカラーリングが懐かしいモノだったり、歴史を振り返る特別なモノとされた。F1も来年、創設から75周年を迎えるが、同じようなことが実現されたら、どれほど素晴らしいだろうか。
モータースポーツにおいて”懐かしさ”を嫌う人はあまりいないのではないだろうか? その長い歴史には、印象的なドライバーやライダーが数多く存在するし、印象的なマシンも多数ある。
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MotoGPは創設75年を記念して、先日行なわれたイギリスGPの際に、全チームのマシンに特別なカラーリングを施すという、前代未聞の企画を実現させた。
各チームはシリーズを運営するドルナと協力し、クラシックなカラーリングのデザインに4月から着手。そしてそのマシンが、シルバーストン・サーキットを駆け回った。
MotoGPにおける長い歴史を持つチームは、特に素晴らしいアイデアを披露した。
例えばヤマハは、1961年に同社が初参戦した際に使っていた赤と白のカラーリングを採用。このカラーリングは、ジャコモ・アゴスチーニが活躍したことで有名なものだ。
またホンダは、サテライトチームであるLCRに2種類のカラーリングを選択。ヨハン・ザルコのマシンは、マイク・ヘイルウッドに敬意を表し、白と緑で塗り分けられた。また中上貴晶のマシンは、日本の国旗をモチーフとしたものとなった。
一方でVR46などの歴史の浅いチームは、チームオーナーであるバレンティーノ・ロッシと、彼が2018年シーズンに使用したヘルメットの塗り分けをマシンにデザイン。アメリカ籍チームのトラックハウスは、アメリカ人のグランプリ優勝者11人の肖像をマシンに描いた。
グランプリが開催されたシルバーストンには、レーシングスーツやヘルメットなどのアイテムを展示するコーナーもあった。ただ、もっと多くの可能性を秘めているのは明らかで、シーズン最終戦のバレンシアGPでは、もっと大きな規模で、再度同じような企画が展開される可能性もある。
この企画を実現するためには、チームの創造性が重要だ。しかしそれだけでなく、スポンサーやパートナー企業の全面的なサポートがなければ、実現するのは不可能だっただろう。
さてMotoGPから1年遅れた2025年、F1もシリーズ創設75周年を迎える。それを記念して、MotoGPと同じように各マシンに特別なカラーリングを施すとなれば、スポンサーやパートナーからの協力を得ることができるかという部分が、最も大きな問題となるはずだ。
しかし最近では、いくつかのチームが特別かつ大胆なカラーリングを施した事例が多く存在する。
例えばウイリアムズは、ガルフオイルのカラーリングを採用したこともあった。またマクラーレンも、アイルトン・セナにインスパイアされたカラーリングを実施した。メルセデスも、2019年のドイツGPで、モータースポーツ参戦125年とF1参戦200戦を記念した特別カラーリングを施した。
だから、不可能なことでは決してない。可能性は無限大だ。
例えば、アルピーヌが前身チームのベネトンのように塗装されたら、どれほど素晴らしいだろうか? マクラーレンはやはりパパイヤ・イエローなのか? あるいは赤白で塗り分けるマールボロ・カラーだろうか? ナイジェル・マンセルの”レッド5”時代のカラーリングをウイリアムズが採用したら……想像するだけで楽しい。
カラーリングはさておき、来年はシリーズの歴史を祝う機会である。チーム、FOM、サーキット、FIAによる話し合いを、できるだけ早くスタートするのが重要だろう。さもなければ、このまたとないチャンスを逃してしまう……そんなことになりかねない。
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