半導体不足の影響などによる新車の納期遅延は、依然として続いている。納期の遅れを取り戻すことは、自動車メーカー、販売店にとって解決すべき課題であることは周知の事実だが、最短でも2カ月、人気車では半年とか1年以上となる場合もあるようで、「今すぐにクルマがほしい!」というユーザーの要望に応えられていない。
こうした状況のなか注目されているのが中古車だ。特に先代型は、価格的にも性能的にも”いい感じ”のモデルが揃っている。スムーズに乗り換えたいと考えているなら、ひとつ前の型、つまり先代型に注目してみてはどうだろうか。
ハリアーにランクルなど……新車の納期が長過ぎる!! いっこ前はどうだ!? 先代型のすゝめ
文/フォッケウルフ
写真/トヨタ、スズキ、スバル
■「先代型」ならではのメリットを考える
最新型はもちろん、旧型が手に入るというのは中古車の大きなメリットのひとつに挙げられる。”最新こそ最良”と考えるユーザーであれば、どんなに納期が長引こうが新車を手にすることを推奨するが、「納期遅延の改善を待てない」という人は少なくない。そんな人は、ぜひ中古車市場に目を向け、愛車候補を探してみるといいだろう。
基本的に中古車は「在庫販売」なので、 ”納期が不透明”なんてことはありえない。登録(または届け出)がスムーズに進められる物件なら、最短で1週間や10日でもマイカーが手にできる。これも中古車のメリットであり、新車の納期遅延を尻目に市場が活性化している理由となっている。
ただし、中古車は一度登録されてナンバーを取得したクルマがすべて該当するため、その個体数は膨大。選択肢が多すぎることが購入時に迷いが生じる要因となる。そこでターゲットを、新車よりも価格がお手頃、新車と同等レベルの性能を持つなど、メリットの多い「先代型」に定めてみたい。
まず、先代型の魅力としてコストパフォーマンスの高さが挙げられる。現行型は、最新鋭の技術を採用することによって性能や機能の向上が図られており、それが商品力の高さに直結するとともに、日々の使用におけるオーナーの満足感を刺激する。
キープコンセプトで現行型へバトンタッチしたモデルなら、デザインや周囲の人に与えるイメージもそれほど変わらないかも?
しかし、先代型のなかでも新車販売時から2~3年程度しか経過していないモデルをターゲットにすれば、商品力は現行型とそれほど遜色はない。特に今は、新古車とも言えるようなモデルでも値落ちが大きいため、新車発売からちょっと購入を待つだけで、お得に手に入る場合が多い。
機能や性能が最新である現行型に限りなく近く、それが現行型よりも格段に安く手に入るというわけだ。また、クルマの品質そのものも年々向上していて、それほどヤレやヘタりなどを気にせず選べるようになってきているのも先代型を推奨する理由でもある。
■先代型の中古車を選ぶ際の理想的な条件とは?
先代型を選ぶ条件を列記してみよう。
(1)新型に移行して2~3年が経過した車種
クルマとしての鮮度が落ちていないわりに、新型が登場したことによって相場が下落傾向を強めているので買い得感がある。
(2)現行型に劣らない先進的な機能を持つ
最新のハイブリッドシステムを搭載しているとか、安全運転サポート機能が備わっているかなど、先進性に注目して選びたい。
(3)キープコンセプトでモデルチェンジした車種
見た目や、機能、装備などが好評を博したことから、それらが新型にも踏襲されている。見た目の劇的な変化が少ないにもかかわらず、価格が安くてお得。
これら条件を満たしているのが理想的な選択となる。それでは、これらを前提にしておすすめの車種をクローズアップしてみよう。
数年前にモデルチェンジした車種であれば、必要十分な安全運転支援機能などを装備していることが多い
●トヨタ ハリアー
先代型ハリアーは、2013年12月から2020年6月まで販売された。現行型同様、高級感のあるスタイルで高い人気を誇った
プレミアムSUVと呼ぶに相応しい、国産車屈指の洗練されたスタイルもさることながら、インテリアにおいても質感の表現に注力した跡が垣間見られ、旧型ではあるが見た目に古さを感じさせない。
運転感覚や静粛性についても現行型に劣らず、上質でハイレベルな操縦安定性を持ち味としている。パワーユニットは2.5L+モーターのハイブリッドのほか、2L NA、さらに現行型では設定がないパワフルな特性を発揮する2Lターボをラインナップしている。
2020年に現行型が登場したことで相場は下落傾向を強め、中古車価格はこなれてきた。特に狙い目はターボエンジンを追加し、衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を全車に標準装備した2017年以降の車両となる。
●スズキ ハスラー
先代型ハスラーは、2014年1月から2020年1月まで販売された。ハイトワゴンとSUVを融合させたようなスタイリングで人気に
「遊べる軽」を謳った個性派軽自動車で、SUV風のルックスや前輪駆動モデルもラインアップされているなど、クロスオーバーモデルらしくカジュアルに乗れるのが魅力だ。
SUV風と思われがちだが、4WD仕様には滑りやすい急な下り坂でブレーキ操作なしに一定速度(約7km/h)で降坂できるヒルディセントコントロールを軽自動車としては初採用。同じく軽初の機能として、発進時のスリップを効果的に抑制するグリップコントロールを備え、タフな走りを実現する。パワーユニットは旧世代となるが、高効率なCVTの恩恵によってアクセル操作に対する反応がよくスムーズにドライブできる。
軽自動車なので中古車相場の値落ち率は小さいが、「スズキ セーフティ サポート」を採用した2017年以降のモデルでも買い得な価格で推移している。
■中古車購入の懸念は相場の高騰!?
●レクサス NX
先代型レクサスNXは、2014年7月から2021年7月まで販売。(発売当時)同ブランド最小のSUVモデルとして人気を博した
先代型で提唱した「Premium Urban Sports Gear」というコンセプトは、現行型にも継承されている。
エモーショナルなスタイルと卓越した走りを特徴とし、シティSUVとして独自の世界観を表現したモデルだ。パワーユニットは2Lターボエンジンと2.5L+モーターのハイブリッドをラインナップする。いずれも滑らかで爽快な運転感覚を持ち味としている。生産期間は2014年から2021年までなので、最終型はもちろん初期型でも古さは感じさせない。
レクサスブランドの高額車両だが、現行型の登場によって値ごろ感を強めている。特に狙い目はマイナーチェンジを実施した2017年以降のモデル。デザインがより洗練されたうえに、低速域から高速域まで衝突回避または被害軽減を支援する予防安全パッケージ「Lexus Safety System+」を標準で設定するなど、機能面の充実ぶりも見逃せない。
●スバル レヴォーグ
先代型レヴォーグは、2014年6月から2020年10月まで販売。かつてのレガシィツーリングワゴンのようにスポーティな走りと実用性を両立していた
ワゴン作りに長けたスバルが手掛けた渾身の1台。パワフルな動力性能を誇るターボエンジン、シャープなハンドリングを実現した足まわりの特性などにより、ワゴンとは思えぬスポーティな走りは現行型と比較しても遜色がない。
アイサイト(ver.3)が搭載され、そのパフォーマンスを安心かつ安全に楽しめるというのも付加価値と言えるだろう。もちろん、ワゴンとしてハイレベルな実用性も購入の後押しをする要素だ。
荷室には荷物を固定する際に便利なカーゴフックを備えるなど、広い空間を有効に活用するための機能が備わる。シートアレンジがしやすく、UBS電源や収納スペースも充実している。
新車市場において、ワゴンが不人気の日本市場において一定の支持を得ている。そのため中古車の流通台数が他のワゴンモデルに比べて多く、値ごろ感が強い価格も先代型を選ぶメリットとなる。
●トヨタ ランドクルーザー
先代型ランドクルーザーは、2007年9月から2021年8月まで、国内クロカンSUVのトップモデルとして長く販売されてきた
言わずとしれた国産クロスカントリー4WDの最高峰に君臨するモデルだ。世界中のあらゆる環境で使われることを想定し過酷なテストを実施することで実現した、信頼性や耐久性はワールドクラス。そのうえクロールコントロールをはじめとしたオフロードでの走破性を高める電子制御技術は先代型にも多数採用されているので、機能面についても十分に満足できる。
ターゲットは2015年8月以降のモデルで、こちらはクルマだけでなく歩行者も認識する歩行者検知機能付衝突回避支援型プリクラッシュセーフティなどの先進安全装備を標準で備えている。
超人気車種なので相場は高値安定だが、リセールバリューの高さは群を抜いているという点も魅力だ。新車の納期が4年以上という現状を鑑みると、ランドクルーザーに乗りたいなら先代型に狙いを絞って探すのが近道といえる。
◆ ◆ ◆
先代型を選ぶうえでのデメリットがあるとすれば、新車の納期遅延が影響して中古車市場の注目度が上がっていることが相場の上昇をもたらしていること。先代型の場合は高年式・低走行車が多い傾向にあるため相場がこなれるまでに時間を要する場合もある。
そのうえ需要が供給を上まわっている状況が続いていることから、相場は高値安定傾向にあり、クルマ購入費用を抑えたいという目論見が通じないこともあるという点は注意が必要となる。しかし、それでも車両価格は新車よりも安く、なにより納期が滞ることはない。
車種選択におけるポイントを抑え、先代型のよさが自分にとってどれほどの価値があるかを見極めることも肝要だ。その判断に間違いがなければ、自ずと所有満足度は高まり、愛車との付き合いはより充実したものになるはずだ。
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みんなのコメント
新型車が欲しい人に型落ち中古車勧めるってベストカー編集部は馬鹿なのかな?
この記事読んで中古車買おうなんてなると本気で思ってるなら雑誌媒体として発想がズレ過ぎで終わってる
しかも相場が高騰してる今あえて中古車ってw
負け組思考回路だな。