日本ではほとんど知られていない本格オフローダー「パラディン」とはどんな車?
日産は「東風日産(DFN)」と「鄭州日産(ZNA)」の2つを中国で展開している。前者は日産の乗用車を、後者はピックアップトラックやSUVなどのオフロード車種を生産・販売する合弁会社だ。
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鄭州日産は現在、日産車としてピックアップトラック「ナバラ(D23型)」と、先代エクストレイルをベースとする「エクストレイル・クラシック」の2車種を生産する。
また、東風車では日産D22をベースとした「リッチ(鋭騏)」や、D23ベースのリッチシリーズを製造。今回試乗した「パラディン」は「鄭州日産」独自のSUVとして2023年に発売された。
初代パラディンは「エクステラ(WD22型)」の中国向けモデルとして2003年に登場、警察車両などにも多く採用され「ダカールラリー」などのレースシーンでの活躍も知られている。2013年に生産終了以降、10年の時を経て復活した形となる。
日産「テラ(中国名:途達)」をベースとする新型パラディンは内外ともに大幅に刷新されている。内装では12インチ(下位グレードでは10インチ)の縦型センターディスプレイを新設、他にもシートヒーター/ベンチレーターや運転席・助手席パワーシート、自動格納サイドステップなどを搭載。
日本では考えられない数千キロ級の長距離オフロード走行も快適なクルマとなった。
エンジンは三菱自動車の現地合弁「瀋陽航天三菱」が手がける4K31TD型2L直列4気筒ターボエンジンへと変更、8速ATと組み合わせることで信頼性と快適性が向上している。
そして2024年4月、鄭州日産はパラディンの誕生20周年記念特別仕様車「パラディン記念版」を発表した。よりハードなオフロードをターゲットに、深い水辺の走行に役立つシュノーケルやフロントスキッドプレートなど数多くの特別装備を搭載する。
テインサスペンション装着の20周年記念特別仕様車のクオリティがすさまじく高い!
サスペンションには日本の「テイン」と共同で開発した別タンク・車高調整式ショックアブソーバー「4×4 DAMPER GRAVEL 2」を採用。
最低地上高は+33mmの248mm、アプローチ/ディパーチャーアングルも+1度と+3度の33度/30度として悪路走破性を向上。直径56mmの大径ピストンや新開発の円周弁シートなどによって、より精密な減衰力のコントロールとハードな環境下での安定した温度変化を実現し耐久性の向上も図られている。
他、2-way減衰力調整機構、ダンパー取付部でのスフェリカルベアリング採用、そしてリバウンド時にピストンロッドを減速させて衝撃吸収を和らげる「ハイドロ・リバウンド・ストッパー(HRBS)」などテイン40年の歴史の中で培ってきた確かな技術と経験が生かされている設計だ。
発表会場にはかつてのパラディンでダカールラリー等の国際競技で輝かしい戦績を残した中国を代表するレーサー周勇氏も登壇。パラディンへの想いを語った。
「パラディンは私のダカールにおける夢を叶えてくれたこともあり、もはや友達のような存在です。プライベートでもパラディンを持っており、よくオフロードへ駆り出します」
「中国には数多くSUVが溢れていますが、パラディンはその中でも見た目だけじゃない、純正の状態ですでに本当の性能を持ち合わせているクルマだと思います。今回の特別仕様車ではテインとのコラボレーションのおかげでもっと複雑な路面でも安心できる仕上がりになりました」
発表会の翌日、鄭州市郊外にある「愛克斯越野倶楽部」と名付けられたオフロードコースで新型パラディンの試乗が実現。試乗には日本のメディアが7名、中国メディアも多数参加した。
パラディンの20周年記念特別仕様車を試乗。
用意された試乗車は200台限定の「記念版」と特別グレード「頸酷版」の2種。
最初に通常の足回りを持つ「頸酷版」でコースを一周したが、十分に良い走りを体感できたのには驚いた。日産オフロード車ならではのサスペンションやシャシー設計がしっかりと生かされており、タイトな路面でもしっかりと掴んで前に進んでくれた。
その後、専用設計のテイン製車高調整式ショックアブソーバー「4×4 DAMPER GRAVEL 2」が組まれた「記念版」に乗ってみると、スタート直後からその違いに気づく。
オフロード走行の経験が少ない筆者にもそれをすぐに感じられるほどだ。一番の違いはモーグル区間で頸酷版ではややオーバーに揺さぶられる印象があり、揺れが収まらないうちに次のモーグルに突入を繰り返す感じだったが、記念版ではテインのショックアブソーバーが奇麗にその揺れを吸収。
不安感もなくドライバーや同乗者の疲労軽減にもつながると感じた。難易度の低い路面でももちろん安定感は絶大でテイン未装着車と比較してよりアクセルを踏めるようになった。
昨今の中国の消費者はクルマの本質的要素である「乗り心地」や「操縦安定性」よりも、電動化知能化によるわかりやすい加速性能や、インフォテインメントの充実さでクルマを評価する傾向にある。
その一方で本格的な悪路走破を可能とするオフロード車の需要が高まっていることもあり、鄭州日産は今回の特別仕様車で「本当に使えるオフロード車」とは何か? を中国の消費者に問いかけているとも感じた。
人気絶好調のトライトンベースの「新生パジェロ」の良いライバルに?
パラディンはランクルやジムニーなどSUVとしては希少な存在となった「ラダーフレーム構造」を採用している。
多くのSUVがプレミアム化、電動化と同時に軽量モノコック構造を採用する中、ラダーフレームは本格オフローダーの証ともいえるもの。本当に悪路走破を可能とする手頃な価格の実力派SUVとしてぜひパラディンのようなクルマを日本で販売してほしいと思うのは私だけではないだろう。
ラダーフレーム構造の本格クロカン4×4といえばランクルやジムニーの大人気はよく知られるところだが、日本で2017年に発売されたトヨタ・ハイラックス、2024年2月に発売されたばかりの三菱トライトンは2車種ともにタイで生産されるWキャブのピックアップトラックで全長5.3m超の堂々としたサイズだ。
そしてこの2車種ともに日本で予想を上回る人気となっている。トライトンに至っては三菱の販売台数最下位から浮上させた立役者だ。
そして、このトライトンをベースにした「新生パジェロ」の登場も2026年頃に噂されている。そこにパラディンが加われば…現在はランクル一強のヘビー級本格オフローダーの世界がまた盛り上がりそうである。
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