現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 『スバル・インプレッサワゴン』プライベーターが生み出したFRワゴンの意欲作【忘れがたき銘車たち】

ここから本文です

『スバル・インプレッサワゴン』プライベーターが生み出したFRワゴンの意欲作【忘れがたき銘車たち】

掲載 2
『スバル・インプレッサワゴン』プライベーターが生み出したFRワゴンの意欲作【忘れがたき銘車たち】

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマはJTCCに参戦したスバル・インプレッサワゴンです。

* * * * * *

『マツダ787』総合優勝へ向けて大いなる糧になった大改良と敗北【忘れがたき銘車たち】

 1994年~1998年まで5シーズンにわたり熱戦を繰り広げたJTCC時代の全日本ツーリングカー選手権。JTCCはトヨタ、ニッサン、ホンダの3大ワークスと外国車勢による戦いがメインコンテンツとなっていたが、ワークス系のみならず数あるプライベーターの存在もこのシリーズを盛り立てていた。

 そんなプライベーター勢のなかでも異色と言える1台でJTCCの激戦区へ殴り込みをかけたのが、今回紹介するスバル・インプレッサワゴンだ。

 JTCCにインプレッサが登場したのは1996年のこと。スバルと協力関係にあった矢島工業の立ち上げたシムスレーシングからのエントリーだった。シムスレーシングの発足は1993年。同年からN1耐久にインプレッサで参戦した。

 未舗装路のイメージが強いスバル車をサーキットでも……というコンセプトのもとでN1耐久を戦っていたが、それを終了して、次なるサーキットカテゴリーとして目をつけたのがJTCCだった。

 シムスレーシングはスバルと協力関係にはあったものの、JTCC参戦にあたっては資金や技術的な支援をスバルからまったく受けず、独自で手持ちの部品を転用しながらマシン製作を開始した。

 車両は重量バランスがよく、エンジンとトランスミッションがもともと縦置きだったために製作しやすいという理由から、スーパーツーリングカーのレギュレーションで定められた最低重量的に有利なFFではなくFRを選択。また、エンジンはEJ20ではなく、EJ18をロングストローク化して搭載していたとされる。

 ボディ形状をセダンではなくワゴンを選んだこともそうだが、BMW以外のほぼ全車がFFで参戦するなかで、後輪駆動を選んだというのも変わり種なチョイスだったと言えるだろう。

 シムスレーシングのインプレッサワゴンは、1994年頃からJTCCへの参戦が噂されていたが、実際に参戦を開始したは1996年シーズンになってからのことだった。

 しかし、いざ参戦したものの、1996年は決勝に出走できないレースもあるなど大苦戦を強いられた。そして、この惨敗を受けてシムスレーシングは、2台目の製作にとりかかる。

 1996年仕様とは全面的に考え方を変えて製作がスタート。まず、車体は設計段階から大幅な見直しが行われた。エンジンもフリクション低減やノッキングの限界向上、ピストンの信頼性確保が図られるなど、1996年仕様とは別物といえるほどの改良が施され、2台目となる車両が生み出された。

 開発は1997年シーズンに向けて行われていたが、作業は大きく遅れてしまう。よって、2台目の新車がサーキットに姿を表したのは、1998年シーズンの開幕戦となった。

 大改良のおかげで、シムスレーシングのインプレッサワゴンの性能は大きく向上し、ラップタイムの上がり幅も大きかった。しかし、ワークス勢の壁は高く厚く、目立った成績を残すことはできなかった。

 そして、同年シーズンの第4/5戦のSUGOラウンドを最後に資金の問題などもあり、参戦を取り止めたことでインプレッサワゴンの挑戦は幕を下ろした。

 1988年においても戦績は残せなかったものの、この年はニッサン、ホンダの2メーカーが撤退。BMWなどのプライベーターチームも姿を消して、チェイサーとコロナエクシヴというトヨタ車勢だけが残り、“トヨタ・ワンメイク”の様相を呈していたJTCC。そんな存亡の危機にあるシリーズを撤退までの間であったが阻止してくれたインプレッサワゴンは、マシンの成り立ちも含め最後まで存在感を放ち続けたJTCC史に残る1台だった。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

基本メンテナンスで100年間! HEツーリッター・スポーツ(2) 1924年を感じさせない製造品質
基本メンテナンスで100年間! HEツーリッター・スポーツ(2) 1924年を感じさせない製造品質
AUTOCAR JAPAN
ブガッティとベントレーの愛のない結婚? HEツーリッター・スポーツ(1) 100年前に5年保証!
ブガッティとベントレーの愛のない結婚? HEツーリッター・スポーツ(1) 100年前に5年保証!
AUTOCAR JAPAN
美と走りの頂点へ! 一部改良で進化したレクサス「LC」がラグジュアリーの新たな幕を開ける
美と走りの頂点へ! 一部改良で進化したレクサス「LC」がラグジュアリーの新たな幕を開ける
VAGUE
ほぼ新車な「“クラシック”ディフェンダー」がスゴイ! V8搭載&超豪華内装化も可能!? TWISTED JAPANの「ハイパフォーマンスモデル」とは
ほぼ新車な「“クラシック”ディフェンダー」がスゴイ! V8搭載&超豪華内装化も可能!? TWISTED JAPANの「ハイパフォーマンスモデル」とは
くるまのニュース
冬のツーリングこそ楽しい! バイク界の“高級サルーン” 快適装備満載の人気「バガー」3選
冬のツーリングこそ楽しい! バイク界の“高級サルーン” 快適装備満載の人気「バガー」3選
VAGUE
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
レスポンス
2024年問題で高速の景色が変わった! トラックドライバーの労働時間を縛る愚策がもたらした結果
2024年問題で高速の景色が変わった! トラックドライバーの労働時間を縛る愚策がもたらした結果
WEB CARTOP
[15秒でニュース]ラムが初のBEVトラックの発売を延期…PHEVを優先展開
[15秒でニュース]ラムが初のBEVトラックの発売を延期…PHEVを優先展開
レスポンス
「ここ有料道路だったの!?」がやけに多い“千葉県”なぜ? 今やフツーに使ってる“実は神ルート”な道たち
「ここ有料道路だったの!?」がやけに多い“千葉県”なぜ? 今やフツーに使ってる“実は神ルート”な道たち
乗りものニュース
約213万円! 旧車デザインの「バモス“カスタム”」実車展示! 角目の“アメ車“顔が超カッコイイ「ホンダ製“軽バン”」登場
約213万円! 旧車デザインの「バモス“カスタム”」実車展示! 角目の“アメ車“顔が超カッコイイ「ホンダ製“軽バン”」登場
くるまのニュース
スバル「BRZ」の限定車「STIスポーツパープルエディション」実車初公開へ! 東京オートサロン2025では“さらなるサプライズ発表”も!?
スバル「BRZ」の限定車「STIスポーツパープルエディション」実車初公開へ! 東京オートサロン2025では“さらなるサプライズ発表”も!?
VAGUE
アプリリアよ、シーズン中の新旧バイク変更はもう勘弁な! フェルナンデス心の叫び
アプリリアよ、シーズン中の新旧バイク変更はもう勘弁な! フェルナンデス心の叫び
motorsport.com 日本版
[Pro Shop インストール・レビュー]トヨタ ハイエース(山野幸夫さん)by アークライド 後編
[Pro Shop インストール・レビュー]トヨタ ハイエース(山野幸夫さん)by アークライド 後編
レスポンス
4度のGT500王者はこれだけやってる! 長年の蜜月ミシュランが知るロニー・クインタレッリの超ストイックエピソード
4度のGT500王者はこれだけやってる! 長年の蜜月ミシュランが知るロニー・クインタレッリの超ストイックエピソード
motorsport.com 日本版
スズキ「ワゴンR“スマイル”」改良モデルが公開! 両側スライドドア&丸目ライトがイイ! 3年ぶり顔面刷新の「新モデル」何が変わったのか
スズキ「ワゴンR“スマイル”」改良モデルが公開! 両側スライドドア&丸目ライトがイイ! 3年ぶり顔面刷新の「新モデル」何が変わったのか
くるまのニュース
周冠宇、F1復帰を諦めず「中国GPの開催契約が延長されたのは素晴らしい。シート獲得のモチベーションになった」
周冠宇、F1復帰を諦めず「中国GPの開催契約が延長されたのは素晴らしい。シート獲得のモチベーションになった」
motorsport.com 日本版
カー・オブ・ザ・イヤーのリベンジ!? マツダ「CX-80」が「オートカラーアウォード2024」を受賞…メルティングカッパーメタリックが生まれた過程とは
カー・オブ・ザ・イヤーのリベンジ!? マツダ「CX-80」が「オートカラーアウォード2024」を受賞…メルティングカッパーメタリックが生まれた過程とは
Auto Messe Web
「かわいい」と「カッコいい」が刺激的に競演。スズキ 東京オートサロン2025への出品を発表
「かわいい」と「カッコいい」が刺激的に競演。スズキ 東京オートサロン2025への出品を発表
Webモーターマガジン

みんなのコメント

2件
  • スバルの四駆を無理やりFRにしても、エンジンがフロントオーバーハングに飛び出た重量配分の悪い出来損ないFRが出来上がるだけ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村