2024年10月12日から13日にかけて、富士スピードウェイでスーパーフォーミュラ第6戦&第7戦のダブルヘッダーが行われた。今シーズンも残すところあと4戦。富士と鈴鹿のダブルヘッダーを残すのみとなった。(文:河村大志/写真:井上雅行)
Rd.6-1:坪井翔が得意の富士で優勝し、野尻とのポイント差はわずか0.5に
土曜日に行われた第6戦では福住仁嶺(Kids com Team KCMG)がポールポジションを獲得。前戦悔しい結果に終わった太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がタイムを伸ばすもわずか0.004秒届かずポールポジション獲得とはならなかった。
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ランキングトップの野尻智紀(TEAM MUGEN)が3番グリッド、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が4番グリッドと無限がセカンドロー獲得。一方、ランキング上位勢では坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が7番グリッド、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は9番グリッドとやや出遅れる結果となった。
午後に行われた決勝は晴れ渡りレース日和となった。気温23度、路面温度32度のドライコンディションの中、フォーメーションラップがスタートした。その際、大津弘樹(TGM Grand Prix)がエンジンに不調を訴えピットインしている。
スタートはポールの福住が出遅れる中、TEAM MUGENの2台がスタートを決め、いきなりワンツー体制を構築。
岩佐がトップを走るも、2周目のターン1から2にかけて野尻が仕掛け、岩佐はたまらずコースオフ。首位の座を明け渡した岩佐は、さらに3位に上がっていた佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)を攻略した坪井にもオーバーテイクされ3位に後退してしまった。
スタートでトップに出るも、3位に後退してしまった岩佐はピットウインドウオープンとなる10周目を終えた時点でピットイン。上位勢で真っ先に動いた岩佐が逆転を狙いにいった。
一方、トップを走る野尻と坪井は岩佐のピットストップに反応することなくステイアウトした。しかし、両者激しいバトルを繰り広げたことでタイムロス。岩佐にとってはチャンスが広がっていく展開だ。
そしてトップの野尻が21周目にピットイン。坪井とのバトルが響いたか、野尻は岩佐に逆転を許し、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)とポジション争いを展開することになる。
これでトップに立った坪井はペースを上げインラップを稼ぐ。飛ばしに飛ばした坪井は23周目にピットインし、野尻の前でコースに復帰した。野尻は坪井を抜きにかかるが、逆に小林に隙をつかれポジションを落としてしまった。
Rd.6-2:3度目の2位は悔しいものの岩佐、健闘
タイヤがフレッシュな坪井は太田をオーバーテイクし実質的な2位に浮上し岩佐を追う。スタートと戦略でトップに立った岩佐だったが、ペースが上がらず坪井の接近を許してしまう。
そして32周目のコカ・コーラ・コーナーで坪井が首位に浮上。そこからは一気に抜け出しトップチェッカーを受けた。
岩佐は小林とポジションを大きく上げてきた牧野が急接近。しかし、岩佐が2位を守り切り、小林は5年ぶりとなる表彰台を獲得してみせた。
坪井は前回の優勝同様にここ富士で今季2勝目を挙げ、ランキングでも2番手に浮上。野尻が6位に終わったことで両者のポイント差はわずか0.5ポイント差となっている。
岩佐はペース不足もレースをまとめあげ2位を獲得。2位は今季3度目ということもあり悔しさもあると思うが、現状を考えると上出来の結果と言える。しかし、まだ可能性が残っているとはいえ、タイトル争いではより厳しい状況に追い込まれている。
2024年 スーパーフォーミュラ 第6戦 決勝結果(トップ10)
1 36 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)41周
2 15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)+4.440
3 7 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)+4.853
4 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+5.704
5 8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)+10.695
6 16 野尻智紀(TEAM MUGEN)+11.363
7 65 佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)+11.898
8 64 山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)+12.799
9 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+18.904
10 3 山下健太(KONDO RACING)+22.070
Rd.7-1:PPゲットで、決勝前にランキングが入れ替わり
日曜日の午前中に行われた第7戦の予選。前日と同じく速さを見せた福住がトップに立つも、野尻が更新しトップに浮上。しかし、連勝を狙う坪井が野尻を上回り、今季初となるポールポジションを獲得してみせた。
0.5ポイント差に詰めていた坪井だが、今回の予選でポールポジションを3点を追加したことで、決勝前にランキングが逆転。野尻が2ポイント獲得したことで、坪井が0.5ポイント差でポイントリーダーになった。
野尻が2番グリッド、福住が3番グリッドを獲得。ランキング3位の牧野が4番グリッドにつける中、予選Q2で4番手につけていた岩佐は、走路外走行があったと判断されまさかのタイム抹消。痛恨の12番グリッドからのスタートとなりタイトル争いにおいて後がなくなってしまった。
気温25度、路面温度35度のドライコンディションの中決勝レースがスタート。坪井が野尻を抑え込みトップでターン1に侵入、その隙をついた牧野が野尻、福住を抜き2位に浮上した。
2周目のダンロップコーナーで木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)と三宅淳詞(ThreeBond Racing)が接触。三宅のマシンがストップし、マシン撤去のためにセーフティカーが出動した。木村にはこの接触の責任を問われドライブスルーペナルティが科されている。
7周目にレースが再開すると、今週勢いに乗る福住が野尻、そして10周目に牧野を攻略して2位に浮上。また、ピットウインドウがオープンとなるこの周に上位勢では牧野、野尻がピットストップを行った。
12周目のターン1で国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と大嶋和也(docomo business ROOKIE)が接触。大島のマシン撤去のため、早くも2度目のセーフティカーが出動した。ピットが可能になっていたこともあり、このタイミングで全車がピットに入り、ピットストップ義務を消化。坪井がトップ、以下、福住、佐藤、牧野、野尻の順で17周目にレースが再開した。
SCのタイミングで全車ピットストップを済ませたため、各車コース上でのバトルを展開。上位勢は1秒前後のギャップで周回を重ねる中、ランキング2位の野尻が苦戦。5位につけていたが太田、岩佐、小林にも交わされ8位にまで後退してしまった。
トップ争いで福住が坪井とのギャップを詰めていた中、再びアクシデントが発生。残り9周のターン1で、阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)に山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)が乗り上げるという大きな接触があった。
これは阪口のマシンが突然シャットダウンし急減速したところに、背後にいた山本が避けきれずに追突してしまったのだ。
Rd.7-2:レース再開後は他を寄せ付けず。坪井が富士を完全制覇
山本は昨年事故で首を痛めており、今回の接触ではマシンが宙に浮いて着地した際に衝撃が首に響き痛みをあるとのこと。自分では動かずに、メディカルによって救出、その後、担架に乗せられ救急車で搬送されている。
残り3周のスプリントレースとなった決勝だが、坪井はタイヤとOTSを温存しており、一気にスパートしトップチェッカー。レース再開後は福住を寄せ付けず今季富士で行われた3レース全てで勝利を成し遂げた。
2位は福住が入り、KCMGは前日の小林に続き表彰台を獲得、3位は牧野が入っている。4位には佐藤が入ったが、レース後の車検で違反が見つかり失格。苦戦を強いられた野尻は最終的に7位でフィニッシュとなるも、坪井に大きなリードを奪われてしまった。
ペナルティに泣いたのは佐藤だけではない。今回が今季最後のスーパーフォーミュラ参戦となったニック・デ・フリース(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)もだ。
デ・フリースは2周目のアクシデントに巻き込まれ緊急ピットを余儀なくされたが、度重なるSCの導入により前とのギャップがなくなる幸運を得た。そこからポジションを上げていったデ・フリースは8位でフィニッシュ。スーパーフォーミュラでは初の入賞かと思われた。
しかし、31周目に山下健太(KONDO RACING)とターン1で接触した際にデ・フリースが山下をコース外に押し出す形となっており、これがペナルティの対象に。レース結果に5秒のタイム加算ペナルティが科されてしまい11位に降着、ポイント獲得は幻に終わる。
TEAM IMPULは最終戦鈴鹿ラウンドに今季唯一19号車でポイントをもたらせている平良響がステアリングを握ることが決まっている。
今季最多となる3勝目を挙げた坪井が86.5ポイントでランキング首位に浮上。牧野が72ポイントで2番手、野尻は70ポイントでランキング3位に転落している。
残すは鈴鹿のダブルヘッダーを残すのみとなった今シーズン。昨年の宮田莉朋に続き、TOM'Sが連続チャンピオンという偉業を達成するのか、今季覚醒した牧野が初の栄冠に輝くのか、はたまた野尻が再びチャンピオンに返り咲くのか。
チャンピオン決定の舞台は1ヶ月後の11月9日から10日にかけて行われる鈴鹿ラウンド。今年も三つ巴のタイトル決定戦となる今シーズンはどのようなフィナーレが待っているのだろうか。
2024年 スーパーフォーミュラ 第7戦 決勝結果(トップ10)
1 36 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)41周
2 8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)+1.372
3 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+2.857
4 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+5.020
5 7 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)+5.686
6 15岩佐歩夢(TEAM MUGEN)+6.578
7 16野尻智紀(TEAM MUGEN)+8.476
8 3 山下健太(KONDO RACING)+8.874
9 50木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)+10.612
10 39 大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)+11.343
[ アルバム : 【2024 スーパーフォーミュラ第6/7戦】 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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