ポルシェのファクトリーLMDhディレクター、ウルス・クラトルは、WEC世界耐久選手権のルーキーテストでシリーズから選出されたルーキードライバーは、シーズンタイトルを獲得したエントリーではなく、ル・マン24時間レースで優勝した車両に乗るべきだと提案した。
これは、今年の指名ドライバー、レシャド・デ・ジェラスが、今週末のシーズン最終戦バーレーン8時間レースで世界選手権を制す可能性のある3つの異なるハイパーカーメーカーで、テストに向けた準備を事前にしなければならなかったことを受けての提言だ。
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この23歳のフランス人は9月、ハイパーカーの選手権を制する車両のテストに指名されたが、チャンピオンシップはルーキーテストの前夜まで決定しない。つまり、テスト開始の半日前まで、どのマシンに乗れるのかが不明な状態だ。
最終戦のレースウイーク前の時点で、ポルシェはトヨタに対して10ポイントのアドバンテージを持っており、また3位のフェラーリにもタイトル獲得の可能性が残されていた。
Sportscar365のインタビューに応じたクラトルは、ル・マン・ハイパーカーとLMDhというハイブリッド・プロトタイプの複雑さと準備に要する時間の長さが、将来的にノミネートをル・マン優勝車に切り替える可能性を検討すべき主な理由であると指摘している。
「その方がよいだろう。私はルールを批判しているわけではない」とクラトル。
「それはおそらく関係者全員にとってよいことだろう。なぜなら、それはWECにとってもひとつのストーリーとなるからだ」
「ル・マン優勝チームで、ル・マン優勝車を運転できる。シリーズによる推薦者は、より長い準備時間を持つことになるし、良いストーリーとなるはずだ」
「(テスト前に)受賞者は複数のレースを観て、チームと交流し、チームとのつながりを築くことができる。それは関係者全員にとってプラスになるだろう」
デ・ジェラスは3つのメーカーすべてでテスト走行の準備を進めているが、これについてクラトルは関係者全員にとって妥協の産物であると示唆した。
「そうする必要はないが、できるだけ多くの洞察を彼に与えた」と彼は語った。
「特にレシャドにとっては、時間的な問題が少しある。理想としては、彼はシミュレーターを行い、ドライバーズマニュアルなどで多くのトレーニングを行うことができる」
「しかし、かわいそうなことに彼は3つのメーカーでそれをやらなければならず、結局のところ、そのなかのどのメーカーが勝ち残り、どの体験が正しいものになるのか分からない」
「第一に、他の人たちと同じように、我々はまずチャンピオンシップを制すことが最優先だ。それから、バーレーンの週末にも、彼にできるだけ多くの洞察を与えるつもりだ」
トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパのテクニカルディレクター、デビッド・フルーリーは、マニュファクチャラー世界選手権がシーズン最終戦に入る時点でまだ決まっていないことを考えると、今年の状況は特殊であることを認めた。
「これは少し奇妙な状況で、例年とは異なる」と彼は語った。
「しかし、ACO(フランス西部自動車クラブ)とFIA(国際自動車連盟)が何を設定しようとしているのかは理解している。エステバン(・マッソン。トヨタがルーキーテストで起用)とテストを準備したのと同じように、我々はレシャドとのテストに向けても準備をした」
すでにデ・ジェラスのシートを作り、テストの可能性について「非常に真剣に」考えていると述べたフルーリーは、トヨタがタイトルを獲得しなかった場合は「少しもったいない」と認めた。
「まぁ、そうだ」と彼は言った。
「でも、このルーキーテストのコンセプトについては、FIAとACOを支持している。もし彼が我々のクルマで走らなければ、少し時間を失ったことにはなるが、それほど大きな問題ではない」
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