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走って分かったヒョンデ車の実力 都会派SUVと「強い」EVの出来栄えは? 韓国発グローバル企業の強みとは

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走って分かったヒョンデ車の実力 都会派SUVと「強い」EVの出来栄えは? 韓国発グローバル企業の強みとは

■上質な造りと走り

 12年ぶりの日本再参入が大きな話題となっている韓国の現代自動車(ヒョンデ)ですが、今回、その2モデルにじっくり乗ってみました。

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 2022年7月にデリバリーが始まる予定のFCV(燃料電池車)「NEXO(ネッソ)」と、BEV(バッテリー電気自動車)「IONIQ 5(アイオニック・ファイブ)」です。

 結論からいうと、日本の多くの人が想像しているであろうレベルより高い、上質な造りと走りだと感じました。

 今回走ったのは、神奈川から静岡にかけての一般道や有料道路、そして高速道路です。つまり、普段使いからレジャーなど日常生活の中での体験を想定しています。

 では、順に紹介していきましょう。最初はFCVのネッソです。

 外観からは“特殊なクルマ”という雰囲気はなく、“オシャレな都会派SUV”というイメージが優先します。

 ボディ寸法は全長4670mm×全幅1860mm×全高1640mm、ホイールベースは2790mmですが、とてもナチュラルなデザインテイストのため、大柄には見えない印象です。

 ドアを開けて運転席に乗り込むと、助手席との間にある、かなり大きなブリッジタイプのセンターコンソールの存在感を強く感じます。室内全体は高級車といった雰囲気があります。

 走り出してみると、車両重量1870kgというクルマ全体の重さをネガティブに感じる場面はありませんでした。市街地の交差点、高速道路での合流や車線変更など、ステアリング操作に対してクルマ全体が実に素直に、スムーズに動きます。

 アクセルを強めに踏み込んでメーターパネルのPOWER領域に入っても、一気に加速するというよりは、加速の伸びが良いというジェントルな味付けです。

 乗り心地については、路面からの突き上げが若干残っている印象もありますが、走り全体としては上質であり、モーター駆動を強く意識するのではなく、静粛性が高く味わい深い上級SUVという感想を持ちました。

 日本市場でFCVは、トヨタ「ミライ」の事実上の独占状態にある中、「ネッソ」という選択肢が登場したことは意義があると思います。

 価格(消費税込)は776万8300円ですが、現状では国や地方自治体から200万円を超える購入補助金が支給されます。

■圧倒的な存在感の「IONIQ 5」は走り出すと「実にスッキリ」

 次はBEVのアイオニック・ファイブです。

 まず、見た目の印象が「強い」。写真や映像で見るより、実車の存在感はかなり強いです。実際、試乗中は多くの人が「なんだ、このクルマ?」という表情で振り返るほどでした。

 前衛的で未来感があると同時に、ネオクラシックカーのようなアナログっぽいなじみやすさもあります。まさに、ヒョンデが1974年にトリノモーターショーで公開した「ポニークーペ」のDNAを受け継いだという、デザイン開発の狙い通りだといえるでしょう。

 一方、インテリアは、上質な部屋そのものです。

 12.3インチ画面を横にふたつ並べたインパネに代表される“デジタルっぽさ”はかなりありますが、無機質感は全くありません。それよりも、各所の素材の選び方、意匠、色あいが、とても人にやさしい雰囲気をまとっているのです。

 それはドイツでも、スウェーデンでも、そして日本でもなく、ヒョンデ独特のテイストなのですが、日本人にもとても素直に受け入れられるデザインテイストと感じます。

 また、飛行機のファーストクラスをイメージしたというフロントシートには、ふくらはぎをサポートするオットマンも装備。ガラスルーフは中央から前後に開き、戸袋は最小限にとどめており前後席のヘッドクリアランスが広く感じます。

 走り出してみると、ダッシュボード全体が低いことで見切りが良く、またクルマ全体の重量感はないのですが、カッチリしているという安定感がシートやステアリングを通じて感じ取れます。静粛性が高く、実にスッキリとした気持ちです。

 後輪駆動車のRWDと、四輪駆動車のAWDを乗り比べてみましたが、ドライブモードの「ECO」「NORMAL」「POWER」の“キャラ変”は、AWDが圧倒的に大きく感じます。AWDのPOWERモードは、強烈というほどではありませんが、心が躍るようなググッとした加速感が楽しめました。

 また、パドルシフト操作で回生ブレーキをレベル0から3まで変更でき、ドライブモードを合わせて、走行シーンに応じたさまざまな組み合わせで、走りの幅が広がった感じを受けました。

 いわゆるワンペダル方式のi-ペダルだと、レベル3より回生力がさらに高まり、こちらは市街地走行に役立ちました。

 乗り心地では、欧米日の各メーカーのEVと比べても、路面からの突き上げも少なく、極めて上質といえる出来栄えです。

 先進的ドライバーアシスタントシステムも、レーンキーピングアシストがかなりしっかり利きます。

 満充電での航続距離は618kmとロングドライブにも対応。価格(消費税込)は58kWhバッテリー搭載のエントリーモデルが479万円、最上級の72.6kWhのAWDでも589万円とかなり戦略的な設定です。

■日本人が知らないヒョンデの力と機敏性

 さて、ヒョンデについて、日本では「どんな会社でどんなブランドなのか、全く知らない」というユーザーが多いと思います。

 実態は、トヨタグループ、フォルクスワーゲングループ、ルノー・日産・三菱連合、GMに次ぐ、世界第5位の自動車グループで、世界8か国で生産能力500万台規模の製造拠点を持つ総従業員12万人の巨大なグローバル企業です。

 筆者(桃田健史)は過去数十年間にわたり北米、欧州、インドなどグローバルでヒョンデの動きを定常的に見てきました。

 その上で、ヒョンデの強みは、国や地域の市場動向を徹底的に調べ上げて「いける!」と踏んだら本社と現地法人が一丸となって一気に動くという機敏性にあると思います。

 また、独創性を際立たせるためのデザイン力にも定評があります。

 さらに、戦略的な価格設定をおこなった上で、販売店と協力して実売価格をしっかり管理する体制を敷いています。

 今回のオンライン販売オンリーを基盤にして再参入する日本市場でも、ヒョンデがグローバルで積み上げてきたさまざまなビジネスノウハウを結集し、日本メーカーでは考えられないような斬新なアイデアがこれから続々と登場してくる可能性が高いと思います。

 今後もヒョンデの、日本での動きに注目です。

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  • 欠点が一言も無い、提灯記事を書いて、
    恥ずかしいとは思わないのですね...
  • どれだけ推すの?

    仕事だからってのもあるけど、やめてくれ。
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