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中古車市場でも高値安定 ホンダ初代「NSX」とはどんなクルマだったのか

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中古車市場でも高値安定 ホンダ初代「NSX」とはどんなクルマだったのか

■NSXの登場は世界のスーパーカーに影響を与えた

 日本で初めてフェラーリやポルシェと同じ土俵で戦えるスーパースポーツとして登場したのがホンダ「NSX」だ。

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 先行開発から量産化決定までに長い期間を要したが、1989年2月のシカゴショーでそのベールを脱いでいる。ショーではNS-Xを名乗っていたが、1990年9月の市販時にはNSXという車名になった。

 開発していたのは、第2期ホンダF1の全盛期だ。当時、ホンダのV型6気筒DOHCターボは破竹の快進撃を続けていた。アイルトン・セナやアラン・プロスト、そして中嶋悟などのドライバーが活躍していた時代だ。当然、社内からはF1をイメージするような高性能スポーツカーがほしい、という声が出てきたのである。

 そこでホンダの技術の粋を集めて開発され、積極的に新しい技術を盛り込んだ。初代NSXはクルマ好きの夢が詰まった新しい感覚のスーパースポーツで、創業者の本田宗一郎氏のDNAそのものである。

 だから、その心情を知る本田技術研究所の川本信彦氏は、開発責任者の上原 繁氏を全面的にバックアップし、世界初の技術にも徹底してこだわった。

 その筆頭が、世界で初めてのオールアルミ製モノコックボディだ。

 同じ面積だと剛性値が3分の1になってしまうアルミを上手に使い、工法も変えて鉄よりも高い剛性を実現している。モノコックの骨格からアウタースキンまでアルミ材としたことにより、トータル155kgもの軽量化を達成。車重を1350kgに抑えることに成功し、パワーウエイトレシオは超一級の4kg/ps台に収まっている。

 ミッドシップに搭載するパワーユニットは3リッターの90度V型6気筒SOHC4バルブを予定していた。

 だが、川本信彦氏のひと言で、革新的なDOHC・VTECに変更されている。自然吸気エンジンだが、当時の自主規制値いっぱいの280ps/30.0kgmを達成し、レブリミットの8000rpmまで気持ちよく回った。6000rpmを超えてからはVTECの作動でエンジン音が変わり、刺激的な加速に弾みがつく。アクセルワークに対する俊敏なピックアップもターボでは味わえない魅力だ。

 また、汗をかかないスポーツカーを目指し、ビギナーにも運転しやすく、同乗者も快適なように工夫している。これも1980年代までのスーパーカーにはなかった美点だ。

 5速MTのほか、時代に先駆けて電子制御4速ATを設定し、ラック&ピニオン式のステアリングギアにはパワーアシストを加えた(AT車のみ)。快適性は高く、エアコンもよく効く。

 DOHC・VTECエンジンを積んだためにホイールベースを延ばしたが、これを逆手に取り、低くワイドなボディに十分なトランクスペースを確保し、ゴルフバッグは2個も収納できる。

 サスペンションは前後ともインホイール型ダブルウイッシュボーンで、これもアーム類はアルミ製だ。ブレーキは2ポット式のベンチレーテッドディスクだが、軽量ボディのため制動力に不満はなかったし、耐フェード性も優れている。もちろんABSに加え、トラクションコントロールも標準装備した。

 ほとんどが専用設計で、手の込んだ造りに加え、工場までも新設したスーパースポーツを、ホンダは800万円(消費税抜き)というバーゲン価格で売り出したのである。これは驚くべきことだ。

■本田宗一郎のDNAが宿る不世出のスーパースポーツ

 NSXはシカゴショーに出品した後、ニュルブルクリンクに持ち込まれ、徹底したテストをおこない、市販に移している。

 F1ドライバーのアイルトン・セナと中嶋悟両選手も開発に関わった。だが、初期モデルはコーナリング中に駆動力が抜けるトリッキーな面が見られたし、タイヤの磨耗も早いなど、バランス感覚は今一歩だった。

 この弱点をホンダは短期間のうちに解消し、1992年11月にはドライビングプレジャーを徹底的に追求したスポーツグレードを限定発売の形で送り出している。それがレーシングテクノロジーを結集して開発した「NSXタイプR」だ。

 タイプRはNSXを極限まで軽量化したら運動性能はどのくらい高められるか、というエンジニアの探究心とドライビングプレジャーの追求から生まれた究極のスーパースポーツだった。贅肉を殺ぎ取って軽量化を図り、120kgもの軽量化に成功している。パワーウエイトレシオは驚異的な4.39kg/psだ。ハンドリングはレーシングカーのようなダイレクト感覚で、異次元の走りを披露した。

 2001年には大胆なフェイスリフトをおこなっている。2002年5月には第2世代のNSXタイプRがお目見えした。軽量化に加え、オートクレープ製法を用いたエアロパーツなどで空力性能も磨いている。エンジンは3.2リッターの「C32B」型V型6気筒DOHC・VTECで、これに6速MTを組み合わせた。

※ ※ ※

 NSXの凄いところは、世代交代が早いスーパースポーツの世界で15年以上も第一線で活躍を続けたことだろう。その間に、世界中の多くのスーパーカーに影響を与えた。

 2代目のNSXが登場したいま、初代モデルの凄さがよくわかる。NSXは、本田宗一郎のDNAが宿る不世出のスーパースポーツといえるだろう。

●ホンダ「NSX」(1990年登場時)
・車両価格:800万円(5速MT。4速ATは860万円)
・全長:4430mm
・全幅:1810mm
・全高:1170mm
・ホイールベース:2530mm
・車両重量:1350kg(4速AT車は1390kg)
・エンジン形式:V型6気筒DOHC
・排気量:2977cc
・駆動方式:MR
・変速機:5速MT(4速AT)
・最高出力:280ps/7300rpm(4速AT車は265ps/6800rpm)
・最大トルク:30.0kgm/5400rpm
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・タイヤ:前205/50ZR15、後225/50ZR16

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みんなのコメント

4件
  • 会社に赤を綺麗に乗ってる人がいるが、つい見とれてしまう造形。
    いろいろ稚拙なあの時代にあって内装デザインも画期的だったと思う。

    これが日本製で出てきたところが凄いのであって、それは他では代わりがきかない。
    VTECも出来たばかりのころだったのでは。
  • NSXは本来アキュラ向けのユルいスポーティカーになるはずだったクルマ。
    しかし、周りがそれを許さなかった。
    以前、プロトタイプがAセナにさんざんコキ下されて開発陣が本気になって一からやり直したって話を読んだ事がある。
    当時のホンダの全てをかけて生まれたクルマ。
    名車にならない訳が無い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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