この記事をまとめると
■日産ノートオーラに設定されるBOSEパーソナルプラスサウンドシステムの印象をお届け
走りよりも音楽と言い切ったクルマも! 「音」にこだわり抜いてつくられた国産車3選
■ヘッドレストスピーカーにより一般的オーディオでは耳に届きにくい音も再現されている
■ヘッドレストスピーカーのカッコ良さとともにBOSEサウンドに感動できるに違いない
BOSEパーソナルプラスサウンドシステムを試した
ついに登場した、国産コンパクトカーとして真のプレミアムモデルと呼んでいい日産ノートオーラ。3ナンバー化された専用ボディ、エクステリアを始め、プレミアム感溢れる走り、快適性、静粛性、そして筆者をうならせたシートのかけ心地の良さに加え、ノートでも採用されるプロパイロット1.5とともにオプション設定されている、日本初のBOSEパーソナルプラスサウンドシステムについて、ここでは実際に試聴した印象をお届けしたいと思う。
世界中のクルマに採用されているBOSEのサウンドシステムだが、この日産ノートオーラに装備されるBOSEパーソナルプラスサウンドシステムは、フロントドアスピーカー(165mm×2)、フロントピラーツイーター(25mm×2)、そしてフロントシートのヘッドレストそれぞれ左右の小型スピーカー(60mm×4)の合計8個のスピーカーで構成されている。
意外なのは、リヤドアスピーカー、そして普通なら荷室床下に備わるサブウーハーを装備していないことだ。かつて家庭用スピーカーシステムの901シリーズ(オーディオとして)、101シリーズ(TVモニターとして)を愛用し、今でもスマホとブルトゥース接続して音楽を聴いているサウンドリンクミニをデスクに置いているBOSEファンの筆者としては、BOSEならではの低音の効いたサウンドを得るためのサブウーファーの迫力は魅力的に感じても、荷室の床下の多くの部分を占領してしまう点については、賛否があると考えていた。
が、ノートオーラのBOSEパーソナルプラスサウンドシステムは、コンパクトカーに適した、そこに配慮したのか、あるいはコスト的なものなのか、サブウーファーを搭載せず、荷室床下スペースが犠牲になっていない。まずはそこに注目したのである。また、後席用のスピーカーが省かれているのは、おそらく前席優先のリスニング環境に割り切っていると考えられる。
もちろん、車載のBOSEサウンドシステムはスピーカーだけでなく、ノートオーラの場合はパーソナルスペースコントロールなるサウンド調整も可能で、音の定位を前方、あるいは車内を包み込むように調整することができるのだ。ナビ画面で行えるサウンド設定は、Bass、Treble、車速連動ボリューム、そして上記のPersonal Spaceの4つとシンプルだ。
低音は響かないが音の再現度は非常に高い
実際に走行中に試聴してみると、Bass、Trebleコントロールが中央、つまりデフォルトの状態では、サブウーファー付きのBOSEサウンドシステムのような、迫力溢れる低音は響かない。逆に、そうしたアメリカンとも言えるドンドコしたサウンドが苦手な人でも聴きやすいバランスの取れたすっきりとした臨場感あるサウンドが特徴となる。また、ヘッドレストスピーカーの効果もあって、音の定位、ボーカルと各楽器の演奏の輪郭が鮮明になり、それこそ一般的な純正オーディオでは耳に届きにくい音まで見事に再現されている。
Personal Spaceを使えば、まるで目の前にアーティスト、バンドがいるかのような再現性さえ望むことができるし、サカナクションのライブのように、360度のサウンドに包まれたリスニング環境も可能だ。。まさに国産コンパクトカーとして真のプレミアムを実現したノートオーラに相応しい、終始静かな室内空間が生きるプレミアムなサウンドと言えるのだ。
もっとも、サブウーファー付きのBOSEサウンドシステムに慣れている人が、そのサウンドの低音に100%満足できなくても、あまり心配はいらない。Bassコントロールを+方向に上げれば、サブウーファー付きとまではいかないものの、BOSEらしい低音を手に入れることができる。その状態でボリュームを上げても低音がこもらず、メリハリある低音を再生してくれることはもちろんだ。このあたりは、車体のスピーカー取り付け部分にまで目を行き届かせる、BOSEサウンドシステムならではと言っていい。
個人的には、車載オーディオに過剰な期待はしない。何しろ、クルマの中はシートの布地、カーペット、ガラス、プラスチックなど、音を吸収、反射する、本格リスニングルームとは別物の、音楽を聴くのに最適とは言い難い空間であるからだ。ドライブの楽しさ、心地よさを盛り上げてくれる程度の音楽、サウンドでいいと思っている。
ただ、ショボいオーディオはさすがにゴメンだ。名曲がそうでなく聴こえてしまうことがあるし、いつも聞いている音楽で、聴こえるべき細やかな音が聞こえないのも許せない。カーオーディオの試聴用として、超大物アーティストのライブ会場の音作りに使われていたさまざまな楽器、アタックのあるサウンドがちりばめられているCD(リッキー・ピーターソンのアルバム「SMILE BLUE」の中のWHAT YOU WON’T DO YOU LOVE/現在廃盤)を持ち歩いているのもそのためだ。BOSEサウンドシステムのようなプレミアムサウンドシステムは、そうした制約ある車内環境で、できるだけいい音で音楽を味わってほしい、という願いが込められている。
日産ノートオーラでは、プロパイロット1.5を注文すると、スマホの音楽をBluetoothでも再生できるBOSEパーソナルプラスサウンドシステムが自動的に(!?)付いてくるのだが、カーオーディオにあまり興味がない、あるいは期待していなかったユーザーが、これをきっかけにBOSEファンになり、車内での音楽にこれまでにない喜びを感じることもあるはずである。オーディオのサウンドは好みがあるものの、ショールームでまずはお気に入りの曲を持ち込み、聴いてみることだ。
おそらく、多くの人がヘッドレストスピーカーのカッコ良さとともに、BOSEサウンドに感動できるに違いない。分かりやすいのは、同じクルマの標準オーディオと、同じソースで聴き比べること。臨場感、音のひとつひとつの粒の聴こえ方、引き締まった低音の違いは一目瞭然である。
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