「4WD」を独自の四輪駆動システムとして「シンメトリカルAWD」と呼んでいるスバル。ほとんどのモデルに四輪駆動車を設定していて、「AWD」をウリにしているメーカーだ。
そして実際、そのAWDを採用するスバル車は雪の多い降雪地域のユーザーなどの信頼性も高く人気だ。
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そのスバルの「AWD」は、ほかのメーカーの「4WD」と何が違っていて、どのような4WDなのか?
また、今時代が急速に電動化へと向かっているなかで、スバルのAWDシステムは、将来の電動車にも対応できる技術といえるのか? それともこれが弱点になるのか? これらの疑問を斎藤 聡氏に解説してもらった。
文/斎藤 聡
写真/SUBARU
【画像ギャラリー】スバルのAWDなクルマたち
■「クワトロ」より早かった! 世界初の「乗用車用4WD」はスバル発
スバルといえばAWDというイメージが強くあります。実際、2016年のデータですが、スバルの全世界の生産車におけるAWD比率は98%(!)に上っています。つまりスバル車を買いたい人のほとんどはAWDを希望しているということで、スバルに対するAWDへの期待値や信頼性の高さがうかがえます。
スバルといえばAWDというくらいに人気
国内では依然として4WDという呼び方が一般的ですがスバルではあえてAWDと呼んでいます。4WDとスバルの呼ぶAWDにはなにか違いがあるのでしょうか。
スバルのAWDの始まりは1972年に発売したレオーネ・エステート4WDに始まります。量産の乗用車タイプのAWDモデルでとしては世界初です。
欧州におけるAWDの先駆的メーカーであるアウディでもAWDモデルであるクワトロの登場は1980年ですから、いかにスバルが早くからAWDに取り組んできたかがわかります。
■レオーネから始まる乗用車用4WDの歴史
スバルがAWDを開発するきっかけになったのは、東北電力からの乗用車型AWDモデルの開発要請でした。当時スバルでは大ヒットとなったスバル360に続く次期主力モデル「スバルR2」の開発の渦中だったので、この話を一旦は断ります。
AWD車開発の要請は、スバルだけでなく他のメーカーにも持ち込まれたのですがことごとく断られ、最終的に宮城スバルがFF車のスバル1000バンをベースに制作することになったのでした。
これはff-1 1300Gバン。現存車両はスバルが自らレストアした車両1台のみと見られる。可愛らしい見た目だが、基準車のff-1 1300Gはすでに、国内ラリー選手権でクラス最強レベルの走行性能だった
こちらはレオーネ4WDエステートバン。スバル史上初、百瀬普六氏が設計に関わらなかった車両でもある
このクルマが製品提案としてスバル本社に持ち込まれ、スバルff-1 1300Gをベースにスバルff-1 1300Gバン4WDという試作モデルを作り、東北電力に納品しました。AWD量産モデルはff-1の後継モデルとして1971年に発売になったレオーネに、1972年追加モデルとしてラインナップします。
■より先進的なイメージの「AWD」
ところで、スバルでは4輪駆動モデルを「AWD」と表記しており、日本ではポピュラーな「4WD」を使っていません。けれどもAWDモデル初の量産車となったレオーネには4WDとグレード名にも書かれているのです。
乗用車型4輪駆動モデルがポピュラーになったのはレオーネがきっかけです。そのモデルのグレード名に4WDが使われていたのですから、そもそも4WDという言い方を定着させたのはスバルではないか、という疑惑(?)が浮かび上がってきます。
2000年に入るとスバルは4WDという言葉を使いたがらなくなります。レガシィではスタイリッシュになった4代目のBP/BL型レガシィの登場、インプレッサでは初代(GC8型)から2代目(GDB型)にモデルチェンジした時期と一致します。
BP/BLレガシィは先代に対しボディを拡大。初の3ナンバー車となったが、逆に重量は100kg軽くなり、最小旋回半径も縮小した。ターボユニットはツインスクロールターボ採用
シンメトリカル4WDもAWDに変わっています。ちょうどその頃、スバル関係者から4WDにはどうしても土のイメージが付きまとうので洗練されたイメージのAWDを使いたいという声を聞いた覚えがあります。
そもそも4WDとAWDは同じ意味で、もっと言えば、4WDという言葉自体スバルが定着させたという疑惑(?)さえあるのです。つまり、スバルのAWDが特別なのではなく、スバルの作るAWD自体がほかのメーカーとは一線を画するような作り込みがなされているということなのです。
4WD,AWDの表記の違いではなく、スバルの作るAWD自体に高性能の秘密があるということです。
■「AWD」は「4WD」よりつくり込んでいる。という意気込み
では、スバルのAWDにどこが優れているのでしょうか。
縦置きエンジンでエンジンの後ろにトランスミッションがあるというレイアウトで、比較的重量バランスがいいこと。またスバルが謳っているように左右対称の駆動方式であるシンメトリカルAWDになっていることで、四輪駆動レイアウトの素性として素直な操縦性を持っていることが挙げられます。
もうひとつ興味深いのは、スバルには現在(1)アクティブトルクスプリットAWD、(2)VTD-AWD、(3)DCCD方式AWD、それに今は搭載している車種がありませんが、(4)ビスカスLSD付きセンターデフ方式AWDの4タイプがあります。
スバルはコストや走りの狙いを鑑みて、3種のAWD方式を用意している。(1)は他社でも見られる油圧カップリング方式の一種だが、(2)と(3)はセンターデフに遊星ギヤを使用し、前後不等配分としたスバル独自のものだ
ところがそれぞれに独特の操縦性を持っているわけではなく、どれに乗ってもほぼ同じ特性になっているということです。
もちろん厳密に突き詰めていけば違いはあるのですが、例えば氷盤路で1本のパイロンを回るようにドリフトさせてみると、内側にハンドルを切ったまま4輪ドリフト状態になるんです。
つまり、そういう操縦性になるようにセッティングしているということなんです。AWD販売比率98%というだけあって、意図的に操縦性を作り込んでいるわけです。そこがスバルのAWDの本当に優れたところなのだろうと思います。
■電動化時代のAWDはどうなるのか
では、これから電動化が進むなかでスバルのAWDは優位性を保てるのか? ということですが、これはいまのところ何とも言えないと思います。
有利な点は4WDの操縦性について膨大な経験とノウハウを持っていることです。その一方で、現在スバルが持っているハイブリッドシステムはe-BOXERというCVTの出力軸に直接モーターアシストを加えるタイプのマイルドハイブリッドのみです。今後の可能性は正直言って未知数です。
現在、これからの電動化時代に対するスバルの回答はまだ未知数。だが、世界をアッと言わせる一手に期待したい
ただ期待が持てるのは、スバルの中期計画でBEV(バッテリ-EV)とハイブリッドで販売比率50%を実現するとして積極的に電動化に取り組む姿勢を見せていること。そして来年あたりに発売される(と噂される)ストロングハイブリッドは、e-BOXERの進化版となりそうなことです。
詳細は不明ですが、前後のホイールをカップリング機構を挟んで駆動する直結方式が採用されるといいますから、直結4WDならではの安定性やトラクション性能は期待できそうです。
仮にカップリング機構にWRXに採用されているDCCD(ドライバ・コントロール・センター・デファレンシャル)の前後駆動配分に近い働きをするモーターユニットが採用されると、ハイブリッド、あるいはプラグインハイブリッド版WRXの登場まで可能性が広がってくれます。
スバルならやってくれるんじゃないかという期待感もあり、今後の電動化からも目が離せません。
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雪国ではなく、普通に街乗りの場合、2駆でも問題ありません。