メルセデスF1のチーフテクニカルオフィサーであるジェームズ・アリソンは、チームが現在W14の新しいサスペンションエレメントの開発に取り組んでいることを明らかにした。ルイス・ハミルトンはW14との一体感を感じられないと述べているが、新しいサスペンションを含むさまざまな新パーツによって、彼が良い感触を持てるようになり、マシンへの自信を得られるようになることをチームは期待している。
ハミルトンは、W14についての不満のひとつとして、コクピットが比較的前方寄りに配置されていることでリヤエンドへの感覚が妨げられているという点を挙げ、「マシンとつながっている感じがしない」と述べた。
ハミルトン今季初表彰台「まだマシンとの一体感はないけれど、レッドブルに近づくことは不可能でないと感じた」F1第3戦
将来的にこの弱点を改善するよう、ハミルトンはメルセデスに促している。チームは現在、新しいサスペンションコンポーネントの開発に取り組んでおり、これを導入することで問題が軽減し、W14の全体的なバランスが改善することを期待している。
「ダウンフォースを増やすため、風洞において最大限の努力をしている」とアリソンは、メルセデスのYouTubeチャンネルで公開されたビデオの中で語った。
「数週間前に風洞で発見したことをサーキットで発揮されるパフォーマンスにつなげるため、設計部門でも最善の努力を尽くしていく」
「設計部門では、いくつかのメカニカルパーツをマシンに追加するための取り組みも行っていく。異なるサスペンションコンポーネントにより、マシンの基本的なバランスが改善され、より運転しやすくなると考えている。つまりドライバーたちは限界までプッシュする自信を持つことができるだろう」
「今後のレースウイークエンドに備えるために、通常のシミュレーションループとルーティンにも取り組み、マシンが正しい状態でレースを迎えられるようにしていく」
■「大躍進したわけではないが、確実にレッドブルとの差を縮めた」とアリソン
オーストラリアから約1カ月後に行われるアゼルバイジャンGPは、スプリントフォーマットでの開催になる。現在、週末のシステムを変更することが検討されており、フリープラクティスは金曜午前の1回のみになるかもしれない。
アリソンは、バクーの週末でスムーズなスタートを切るために、シミュレーターで可能な限り多くのセットアップ作業を行うことの重要性を強調した。
「スプリントフォーマットでは、週末のなかで時間が非常に制限されるため、初期セットアップがしっかりしたもので、すぐに予選で戦う準備が整っているチームが有利になる」とアリソン。
「我々はそのために取り組んでおり、それがうまく機能し、数週間後にバクーで良い結果を出せることを願っている」
オーストラリアでメルセデスは、ジョージ・ラッセルが予選2番手を獲得、ハミルトンが決勝を2位でフィニッシュした。アリソンは、この週末を評価するなかで、チーム全体に「静かな満足感」が漂っていると述べる一方で、決勝でラッセルにパワーユニットトラブルが発生してリタイアしたことには当然のことながら失望感を示した。
「全体的に、マシンを前進させることができたという静かな満足感がある。パフォーマンスの観点から言えば、おそらく現時点でマシンが持つものを最大限に引き出したと言えるだろう」とアリソンは述べた。
「その一方で、1台しかレースを完走できなかったこと、週末のその時点まで非常に強い走りを見せていたにもかかわらず、ジョージがレース当日にマシンの能力を示すことができなかったことへの失望もある」
「大躍進を遂げたわけではないが、少し前に進むことができた。我々はトップにいるレッドブルに少し近づき、差を縮め始めている。フェラーリとアストンマーティンとの比較では、少しだけ前に出たかもしれない」
メルボルンでの勢いを次戦のバクーで維持できるかとの問いに対し、アリソンはふたつのサーキットには大きな違いがあることを指摘した。
「それは非常に難しい質問だ。このふたつは非常に異なるトラックだからね。メルボルンはフロントリミテッドで、フロントアクスルにより大きな負荷がかかる。一方、バクーはリヤリミテッドだろう。つまり状況は大きく異なる」
「マシンへの作業を続けていくことで、メルボルンからバクーでの異なる挑戦へと移行しても、良い成績を収めることができると考えられる理由はあると思う。しかし、実際に現地に到着して走らせるまでは、判断することはできない」
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