この記事をまとめると
■BMWがコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2024で新たなコンセプトカーを発表
名作Z8のご先祖様はBMWをピンチに追い込んだ問題作! 超美しいクルマなのにたった252台しか作られなかった「507」
■「コンセプト スカイトップ」と名付けられたマシンはBMWの名車をオマージュしている
■迷走気味といわれているBMWのデザインに一石を投じる1台になるかもしれない
BMWの新たなコンセプトカーをデザイン面で考察
5月24日、BMWはクラシックカーの祭典であるコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2024において「コンセプト スカイトップ」を世界初公開しました。かつての名車をオマージュしたという2ドアオープンのデザインの魅力はどこにあるのか? 公開された写真から紐解いてみましょう。
●歴代へのオマージュを5つのポイントで検証
BMWによれば、新しいコンセプトカーは同ブランド歴代の名車とされるZ8や503に匹敵する美しさをもつとされています。
2000年に発表されたZ8は、アストンマーティンDB9などを手掛けた名デザイナー、ヘンリック・フィスカーの出世作といわれているモデル。一方、1956年に登場した503は、やはり名作とされる日産の初代シルビアを手掛けたアルブレヒト・フォン・ゲルツによるスタイリングです。いずれも超一級のデザインといえる2台でしょう。
では、スカイトップのどこに両車のエッセンスが注入されたのでしょうか? ここでは5つの点に注目してみたいと思います。
●歴代のエッセンスを現代的に再解釈する
まず1点は、伸びやかなボンネットとリヤセクションです。70年前の503とスカイトップでは直接的な造形の近似はありませんが、長いボンネットとリヤセクションによる流麗かつエレガントな佇まいはしっかり継承されています。また、Z8のボンネットからテールゲートへ続く、流れるような美しいベルトラインも巧妙に再現されました。
2点目はフロントセクション。スカイトップは同ブランド特有のシャークノーズスタイルを掲げていますが、それだけではなく、Z8に見られるボンネット上のヘッドライトと低い位置に置かれたキドニーグリルを、最新のデザインで再解釈していることがわかるのです。
3点目はボディサイドのキャラクターラインです。Z8ではサイドスカットルから明快な一直線のラインがリヤに向けて引かれており、当時の端正なスタイリングが伺われます。スカイトップはここでも伝統を引き継ぎ、前後フェンダーをつなぐかたちで明快なラインが施されました。ただ、単なるアクセントに止まらず、よりシンプルとなったボディを立体的に構成する重要な役割を負っています。
迷走気味のBMWを救う救世主になり得るか
●クーペ版ノイエ・クラッセとしての量産に期待
次は力強いリヤフェンダーの造形。Z8では流麗なベルトラインに続くかたちでリヤフェンダーを大きく盛り上げていましたが、これもまたしっかり再現されています。違いは、ベルトラインではなく、豊かに引かれたショルダーラインにつながる格好で張り出している点で、より現代的な造形として再現されています。
最後はやはりリヤビューでしょう。横長の細いテールランプによるシャープかつエレガントな表情がZ8の見所でしたが、これもまたしっかり継承。スカイトップの特徴としては、スポイラー風の切り立ったリヤエンドが設けられている点で、よりスポーティな表情を打ち出していることです。
さて、こうして各要素をチェックしてみると、とりわけZ8から多くのエッセンスを受け継いでいることがわかります。その上で、先に登場したEVコンセプト、ノイエ・クラッセのクーペ版といえる佇まいとなっているようです。そうなると、やはり量産版での再現性が気になるところ。近年少々迷走気味だったBMWデザインが、ここで一発逆転劇を見せてくれることを期待したいところです。
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