出光興産、ENEOS、トヨタ自動車および三菱重工は、カーボンニュートラル(CN)社会の実現を目指して、自動車の脱炭素化に貢献する「CN燃料」の導入・普及に向けた検討を開始した。
日本国内において2030年頃のCN燃料の導入を目指し、供給、技術、需要のそれぞれで主要な役割を果たす4社が共同で検討を進める。4社が5月27日に発表した。
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●製品ライフサイクル全体においてCO2排出量を抑制
CN燃料とは、製品ライフサイクル全体においてCO2排出量を抑えられる燃料のことを指す。水素とCO2を原料とする合成燃料(e-fuel)や、光合成でCO2を吸収する植物等を原料にしたバイオ燃料などが含まれる。特に液体のCN燃料は、エネルギーを「ためる」「はこぶ」点において優位性があり、輸送可能なエネルギー源として適している。
●導入シナリオやロードマップについて議論・検討
4社は、日本の自動車市場におけるCN燃料の導入シナリオやロードマップ、市場導入に必要となりうる諸制度について議論・検討する。また、日本におけるエネルギーセキュリティ等の観点から、製造の実現可能性を調査する。
出光興産は2050年ビジョン「変革をカタチに」のもと、中期経営計画で表明した3つの事業領域の1つとして、多様で地球環境に優しい「一歩先のエネルギー」の社会実装に取り組んでいる。その一環として、国内外の様々な企業と連携しながら、合成燃料やバイオ燃料といったCN燃料の早期導入・普及を目指している。
ENEOSは、グループの長期ビジョンにおいて「エネルギー・素材の安定供給」と「CN社会の実現」との両立への挑戦を掲げ、水素や再生可能エネルギーの活用を推進し、合成燃料などのCN燃料の事業開発を進めるなど、温室効果ガス排出量を削減するためのさまざまな取り組みを行っている。
●トヨタのマルチパスウェイ
トヨタはCNに向けて、マルチパスウェイを軸に、電動車の普及だけではなく、エンジン搭載車両におけるCO2排出量削減にも取り組んでいる。2007年には、ブラジルでフレックス燃料車(バイオ燃料とガソリンの混合燃料で走る自動車)を導入。今後も、保有車を含むエンジン搭載車両のCO2削減に取り組むとともに、CN燃料の普及に貢献するエンジンの開発も検討している。
三菱重工グループは2040年までにCNを達成する「MISSION NET ZERO」を宣言し、CO2エコシステム、水素エコシステムの構築などに取り組んでいる。CO2削減に貢献できる三菱重工グループの製品・技術・サービス、世界中のパートナーとの新しいソリューション・イノベーションによりCN社会の実現に貢献していく。
4社は、CN社会の実現に向けたCN燃料の普及には、産業を超えた連携・仲間づくりが不可欠であるとする。その第一歩として、CN燃料の導入・普及に向けた検討を進めていくという。
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