「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「トヨタ iQ」だ。
トヨタ iQ(2009年:一部改良)
環境問題やエネルギー問題に対するハイブリッド以外の回答として、昨年(編集部註:2008年)デビューしたiQ。コンベンショナルなパワーユニットだがダウンサイジングを極めた。同じようなコンセプトの先輩としてスマート フォーツーがあるが、iQはFFの4シーターで全長3m以下を達成したことがポイントとなる。
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日本仕様のiQはこれまで1Lエンジン+CVTのみだったが、今回1.3Lエンジン+CVTが加わることになった。デュアルVVR-i採用の1NR-FEエンジンは最高出力94ps、最大トルク12.0kgmと、1Lに比べると26psと2.8kgm増強されている。
しかも、燃費性能が10・15モードで23.0km/L、JC08モードで20.8km/Lと、1Lエンジンと同じ数値をキープしている。車両重量が60kg増しているにもかかわらずだ。これには何か特別な仕かけがあるというわけではなく、低回転域でのトルクアップなどがいい方向に働いたからだという。つまり、エココンシャスにiQを乗りたい人でも、1.3Lはきっちりと選択範囲に入ることになる。
1.3Lモデルの美点はエンジンを始動した瞬間からはっきりと伝わってくる。直列3気筒の1Lはアイドル振動が大きめで、どこからかカタカタと共振音なども伝わってきたものだが、4気筒の1.3Lは格段にスムーズで静か。プレミアムコンパクトとしての一面もあるiQにふさわしいパワーユニットとなった。
もちろん力強さでも1Lを上回っている。アクセルを軽く踏み込むだけでスーッと加速し、さして回転を上げなくても望みの巡航速度となる。CVTゆえのワイドレンジの強みで、50~60km/h程度なら1000rpm+アルファで楽々と速度キープする。1Lでも同じように燃費に気を使った制御をみせるが、トルクフルな1.3Lはさらに早くギアが高くなる。それが良好な10・15モード燃費の理由でもあるだろう。
高速道路での走りも頼もしい。シティコミューター然としたiQだが、追い越し車線に出てもなお余裕を感じる。また、超ショートホイールベースなのに直進性に不安がないのも嬉しい。この体躯で操縦安定性を得るために少々硬めのサスペンションを持つのがiQの特徴でもあるが、熟成が進んだせいか、乗り心地に不快なところが見られないのも新鮮だった。
iQシリーズ誕生からまだ1年弱だが、着々と進化していることも確認できた。
■トヨタ iQ 130Gレザーパッケージ+ 主要諸元
●全長×全幅×全高:2985×1680×1500mm
●ホイールベース:2000mm
●車両重量:950kg
●エンジン種類:直4 DOHC
●排気量:1329cc
●最高出力:69kW<94ps>/6000rpm
●最大トルク:118Nm<12.0kgm>/4400rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:23.0km/L
●タイヤ:175/65R15
●当時の車両価格<税込み>:173万円
[ アルバム : トヨタ iQ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
そんな日本で乗る限り、車両自体が小さいことの決め手は「幅」であり「長さ」ではない。
幅が狭い車は、多くある細い道のすれ違などのシチュエーションにおいてそのメリットを享受できるが、長さに関しては、例えば一般的な駐車場においては最低でも軽自動車が止められるスペースはあることから、短いことが即優位にはつながらない。
そもそも日本市場での販売など考えて作っていないのかもしれないが、それにしても世界的にはスマートの前例があるのだから、これを模してもっと幅の狭い車を作れば、シティコミューターとしてもある一定の支持を得たのではないか?