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残したいV8+FRのスポーツ レクサスLC フォード・マスタング ジャガーFタイプ 3台乗り比べ 後編

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残したいV8+FRのスポーツ レクサスLC フォード・マスタング ジャガーFタイプ 3台乗り比べ 後編

速度の急上昇でドライバーを飲み込むFタイプ

75周年を記念した仕様のジャガーFタイプ P450 コンバーチブルも、他の2台に負けない魅力がある。突き詰めれば、V8エンジンのスポーツカーを選ぶ人は、圧倒的な速さを求めているはず。スーパーチャージャーで過給されるFタイプは、確実に速い。

【画像】残したいV8+FRのスポーツ レクサスLC フォード・マスタング ジャガーFタイプ 全156枚

ジャガーのAJ133型5.0L V型8気筒ユニットは、フォード・マスタング・マッハ1やレクサスLC 500が勢いを増そうかという低い回転域から、凄まじい加速を披露する。さも当然のように、ドライバーを速度の急上昇へ飲み込む。

そのかわり、5000rpmを超えた辺りで勢いが鈍り始める。メカニカルノイズも含め、サウンドのシャープさでは今回の2台に及ばない。クラシック・ジャガーのような音響体験までは、備わっていないといえる。

恐らく、Fタイプ P450単独で運転していれば、気にならないレベルだろう。しかしレクサスとフォードのV8エンジンが横にあると、若干個性が弱いように思えてしまう。

早めにシフトアップを繰り返し、図太いエグゾーストノートへ包まれながら、中回転域の豊かなトルクの波に乗るのが理想的。Fタイプ・コンバーチブルのスイートスポットだといえる。

瞬間的な変貌ぶりは見事なほど

全体的なドライビング体験はどうだろう。マスタング・マッハ1は、LC 500やFタイプ P450と比較すると、ボディサイズはひと回り大きい。ところが、適した環境でムチを入れれば、ぐっとドライバーとの一体感が強まる。

LC 500もドライブモードを引き上げれば、約2tあるボディをフラットに保ちながら、意欲的にコーナーを巡っていける。その瞬間的な変貌ぶりは感動的なほどで、遥かに軽量なラグジュアリー・クーペを運転しているような気にさせる。

他方、今回のFタイプ P450はコンバーチブル。ボディの振る舞いには、若干の緩さが隠せない。それでいて乗り心地は、やや不釣り合いだと思えるほど硬い。

多くのスポーツカーは、モデルライフを通じてシリアスな方向へ進みがち。アルミホイールのサイズが大きくなり、シャシー剛性が高くなり、サスペンションは強化される。多くのドライバーへ新しい体験を与え、振り向かせるために。

日産のフェアレディZも、BMWのMモデルも、同様の道を歩んでいる。ジャガーもこれに準じている。登場したばかりの頃のFタイプは、英国郊外の傷んだアスファルトへしなやかに馴染んでいたが、10年間の進化を経て足腰が硬くなったようだ。

Fタイプより運転で得られる充足感は濃い

LC 500も、乗り心地が硬いと感じる場面はある。コンセプトカーのスタイリングを量産車へ展開するに当たり、レクサスのデザイナーはスペアタイヤを載せる空間を作らなかった。ランフラット・タイヤが担えると考えた。

非常に美しい21インチ・ホイールに、サイドウォールが薄く硬いタイヤが巻かれている。もし筆者が1台購入したら、真っ先に通常のタイヤへ交換するだろう。柔軟に変形することで、一層望ましいドライビング体験を味わえるはず。

とはいえ、ランフラットタイヤのままでも、LC 500は垂直方向の姿勢制御がFタイプより優秀。適度なしなやかさがある。四輪操舵システムとリミテッドスリップ・デフが組まれ、直感的なコーナリングを叶えている。

マスタング・マッハ1の能力を引き出すには、ボディサイズを理解し、シフトレバーと格闘する必要がある。ダンパーはしっとり路面を掴み、ペダルやステアリングホイールは適度に重い。積極的に運転する場面で頼もしく、ドライバーの努力へ応えてくれる。

決して敏捷にコーナリングするクーペではない。洗練性という点でも、高いとはいえないだろう。だが、Fタイプより運転で得られる充足感は濃い。独特の訴求力がある。

結果として、今回の中で最も後世に残したい1台といえるのは、マスタング・マッハ1になりそうだ。マッスルカー好きかどうかを問わず、V8エンジンで後輪駆動という魅力を、長く共有して欲しいと思わせる。

予想以上に妖艶で陶酔的 少し不完全な魅力

実際、マスタング・マッハ1は運転が望外に楽しい。見た目の注目度も高い。大きく膨らんだボンネットやフェンダーのラインが、視覚的なインパクトを生んでいる。長い歴史を持つモデルとして、アイコン的なスタイリングでもある。

ただしマスタングは、この3台では絶滅の危機から1番遠い場所にあることも事実。生まれ故郷のアメリカで強い需要がある限り、当面は生産が続けられるだろう。加えて、筆者が運転を最も楽しいと感じ、日常的に乗りたいと思えたクルマでもない。

レクサスLC 500は、予想以上に妖艶で陶酔的だった。少し不完全な魅力に、わたしはヤラれてしまったようだ。

V8+FRのスポーツモデル 3台のスペック

レクサスLC 500(英国仕様)

英国価格:9万6355ポンド(1744万円)
全長:4770mm
全幅:1920mm
全高:1345mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:4.7秒
燃費:8.6km/L
CO2排出量:262g/km
車両重量:1930kg
パワートレイン:V型8気筒4969cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:463ps/7100rpm
最大トルク:53.9kg-m/4800rpm
ギアボックス:10速オートマティック(後輪駆動)

フォード・マスタング・マッハ1(英国仕様)

英国価格:5万7710ポンド(約1045万円)
全長:4818mm
全幅:1932mm
全高:1402mm
最高速度:267km/h
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:8.1km/L
CO2排出量:284g/km
車両重量:1851kg
パワートレイン:V型8気筒5038cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:459ps/7250rpm
最大トルク:53.8kg-m/4900rpm
ギアボックス:6速マニュアル(後輪駆動)

ジャガーFタイプ P450 スーパーチャージド75 コンバーチブル(英国仕様)

英国価格:8万1905ポンド(約1482万円)
全長:4470mm
全幅:1923mm
全高:1307mm
最高速度:284km/h
0-100km/h加速:4.6秒
燃費:9.6km/L
CO2排出量:238g/km
車両重量:1718kg
パワートレイン:V型8気筒5000ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/6000-6600rpm
最大トルク:59.0kg-m/2500-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(後輪駆動)

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みんなのコメント

3件
  • 雲上のクルマ…
  • LC500の圧倒的ダサさを考慮すると早急に消えていただきたい。同門で比べるのは他メーカーに失礼です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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