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スバル 新型インプレッサ プロトタイプ試乗 全方位での進化を実感させる<レポート:佐藤久実/Kumi Sato>

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スバル 新型インプレッサ プロトタイプ試乗 全方位での進化を実感させる<レポート:佐藤久実/Kumi Sato>

第5世代となる「スバル インプレッサ」が間もなくフルモデルチェンジして登場する。そのプロトタイプにいち早く試乗する機会が得られた。

クローズドコースの試乗会場に用意されたのは、2.0Lの5ドアハッチバック、17インチタイヤ装着モデルと18インチタイヤ装着モデルの2車種。もちろん新型は1.6Lモデルのラインアップも予定されているが、今回は2.0Lモデルだけだ。

ファースト・インプレッションは、全般的に質感、快適性が向上していると感じさせた。試乗コースがきれいな路面なので、外乱をどの程度吸収してくれるかは未知数だが、少なくとも今回の試乗では、硬い殻に包まれたようなボディの剛性感があり、ステアリングから伝わる手応えもビシッとしている。乗り心地が良く、静粛性も高い。

それもそのはず。今回のインプッサ、「次世代スバルの幕開け」と位置付けられ、プラットフォームから刷新されているのだ。

ボディ剛性の向上により、静粛性も高まり、フロントのサブフレームにレインフォースを追加したことでステアリングのしっかり感も向上し、リヤのスタビライザーをボディ側に直付けすることでスタビライザーの効率を高め、ボディの無駄な動きを止め、フラットな乗り味にしている。という具合に、技術的要素と試乗時の印象が見事に一致していた。

■パワートレーンの進化
そして、ストレスなく走れるもう一つの大きな要因がパワートレーンの進化だ。直噴化された2.0LエンジンがFB20型という名称は従来と同じだが、事実上の新開発エンジンだ。

そして、残念なお知らせと朗報がある。残念なのは、マニュアルトランスミッション搭載モデルがなくなったこと。スバルは比較的マニュアル率が高かったので、マニュアル派の方にとっては何で?という思いがあるだろう。

一方、朗報は、リニアトロニックCVTが大幅に進化していることだ。実は私自身も、CVTにはあまり良い印象を持っていない。ダイレクト感がなく、体感的な加速感とエンジン音が一致しない、フラットなエンジン音が続き耳障り、などがその理由。しかし、新型インプレッサはこれらのネガティブなフィーリングが解消されている。

これまでよりトルコンを小型・軽量化することでイナーシャを低減し、アクセルレスポンスを向上。結果、必要以上にアクセルを踏み込まなくなるので、加速に対して音が先行する感覚がなくなる。そして、ステップ制御も感覚の違和感をなくすのに一役買っている。つまり、トルコンATのように、多段ギヤがあるかのような制御とすることで、音が一定ではなくなる。

さらにチェーン式のCVTのチェーンのピッチをこれまでより短くし、変速比幅は従来の6..3から7.03へと拡大&ワイド化することで、体感的には、8速ATのような感覚にできたという。当然巡航時のエンジン回転も下がる。

騒音というのはロングドライブでは、ボディブローのように効き、疲労やストレスの要因となる。それだけに、このCVTの進化は、騒音の低減、変速質感の向上や快適性に大きく貢献していると思われた。

■素直なハンドリング性能
インプッサに興味ある人にとっては、快適性と同じくらいに気になるのがハンドリングだろう。もちろん、こちらも納得の性能だった。

17インチタイヤ装着モデルは、エンジンパワーに対してシャシー性能が勝るので安心感が高く、乗り心地とハントリングもバランスされ、とっても素直な性格のクルマに仕上がっている。

一方、18インチタイヤ装着モデルは、よりスポーティな性格。というのも、単なる高扁平タイヤ装着というだけでなく、「トルクベクタリング」も装備されるのだ。

一般道よりは高めのスピード、タイヤのスキール音が出ない程度の速度域で走ったが、それでもタイヤのグリップが高く、しかもドイラバーの予測以上に高いコーナリングスピードで安定してコーナーをクリアしていくのがはっきりと体感できる。

コーナリング時にイン側のタイヤに自動的にブレーキをかけ、旋回性を高めるという手法だ。最近、クルマのあらゆる動きに電子制御の占める割合が俄然高くなっているが、中には違和感を覚えるものもある。

ドライバーがクルマを操るのではなく、クルマに操られている感が強かったり、クルマの動きそのものが不自然であったり。が、インプレッサのトルクベクタリングはきわめて自然な制御で、運転が上手くなったかと思わせるようなさりげない存在感で、安定性や気持ち良さが高められている。スポーティ志向の方にはこちらのモデルがオススメだ。

社名を「スバル」に変更するなど、グローバルな展開を進める同社。インプレッサの主要マーケットはアメリカで、このモデルも日米同時開発してきた。でも、サイズやドライバビリティなど、日本でも受け入れられる商品となっている。「グローバル化」も大事だが、やはり日本ブランドとしての安心感やジャストフィット感は失って欲しくないところ。この点でも安心できた。

今回の試乗では試せなかったが、安全性、先進性、そして燃費(カタログデータ)も向上している。全方位にわたる進化を実感させる新型インプレッサ。一般道で乗るのが楽しみだ。

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