大好評の三菱エクリプスクロス、走りにウィークポイントはないのか？

三菱から久しぶりに登場したニューモデル「エクリプスクロス」が好評です。初期受注も好評といいますし、なにより「走りの良さ」は実際に触れたユーザーやジャーナリストが口をそろえて高く評価しています。とくにSUVとは思えない、ハンドリングのリニアリティはポイントといえるでしょう。また、ダウンサイジングターボとCVTを組み合わせたパワートレインは、そのプロフィールからするとダイレクト感に欠けるフィーリングを想像してしまうかもしれませんが、アクセル操作に対して、こちらもリニアに反応します。

エンジン以外の基本的なメカニズムは従来から使われているものの延長ですが、しっかりと熟成が進んだことで、まるでゼロから一新されたかのような新世代感のある走りが味わえるのです。久しぶりの新車という先入観だけでなく、そうした作り込みがエクリプスクロスの好評につながっているのでしょう。では、ウィークポイントはないのでしょうか？

まず、カタログスペックからもわかるように4WDで14.0km/LというJC08モード燃費についてはハイブリッドを見慣れたユーザーには物足りないかもしれません。とはいえ、これについては同じようなプロフィールのSUVと比較してけっして悪い方ではありません。ダウンサイジングターボで4WDという条件を考えれば納得の数値で、ウィークポイントとはいえないでしょう。

ハンドリングで気になるところはあるでしょうか？ ハンドリングの印象というのは、ドライバーの好みやルートによっても気になる部分はかわるので絶対的なウィークポイントというのはなかなか言い切れないものですが、ある一点もろ刃の剣と感じるところがありました。

それはリアの接地感です。

ステアリング操作に対して電子制御でアシストする「S-AWC」が採用されていることもあって、4WDであることが気にならないほどキビキビと曲がるのがエクリプスクロスの美点。その際にリアの外輪がしっかりと路面にパワーを伝達してヨーを生み出している感触もあるほどです。しかし、下りながらの旋回ブレーキでは内輪の接地が甘くなる印象もあるのです。その左右の接地感における違いがキビキビとした印象につながっているのかもしれませんが、ブレーキングでの安定感という意味では不安の欠片となって、心に残ったのです。

ロール方向の剛性感がSUVとしては高いレベルゆえに、ピッチング方向にも同様の感覚を求めてしまうという、ある種の錯覚的な印象かもしれません。それくらいコーナリングでの信頼感が高いSUVがエクリプスクロスです。

その意味では、ついつい旋回速度が上がってしまうのが、安全運転的な視点からはウィークポイントかもしれません（笑）

（文：山本晋也 / 写真：三菱自動車）