オフロードマシン ゴー・ライド12月号発売【令和を駆け抜けろ!! 名車トレールのトリセツ】
長野県ワイルドクロスパークGAIAにて開催されたKTM/ハスクバーナモーターサイクルズ/ガスガスの2023オフロードレーサー試乗会。ゴー・ライド編集部では、これまで試乗できなかったモデルを選び、渡辺学選手が徹底試乗を敢行した。前編ではKTMの2台について触れたが、本記事ではハスクバーナモーターサイクルズの3台を紹介する。
ハスクバーナモーターサイクルズ FC250:速さと乗りやすさの絶妙なバランス
KTM250SX-Fとほぼ同仕様でフルモデルチェンジとなった、ハスクバーナモーターサイクルズの4ストモトクロッサー・FC250。ただし、シート高は19mm低く、そのシート下の吸気口にカバーを設け、パワー特性をややマイルドにセッティングしているのが異なる点だ。
―― 【HUSQVARNA MOTORCYCLES FC250】■水冷4ストローク単気筒249.9cc 燃料供給方式:Keihin製EMS 始動:セル 変速機5段 ■車重101.2kg(半乾燥) ■サスペンション:F=WP製XACT48倒立フォーク R=WP製XACTリンク式モノショック ■タイヤサイズ80/100-21 R=110/90-19 ●価格:124万8000円
渡辺学選手(以下、学選手)「カバーが設けられてもパワーは出ていますね。ただ、クイックシフター変速時のエンジン回転の落ち込みが少なくなり、シフトチェンジの違和感がなくなりました。
前後サスは初期からよく動き、安心して車体を倒し込んでいけます。その時のマシン挙動はシャープですが、安定性もしっかりあってフラフラしないんです。また、低速トルクも太いので、路面に合わせてアクセルを開けていけば、路面を掻くことなくスムーズに加速していけます。
KTMはモトクロッサーらしいダイレクトな乗り味ですが、このFCはマイルドさが乗りやすさにつながっており、車重も軽いこともあってフリーライドも楽しめますね。乗りやすいから苦手な場面が少なく、タイムも出しやすいです。トータルバランスがよく、幅広く楽しめる1台に仕上がっています」
―― ボア×ストロークは81×48.5mmにショートストローク化され、全高を8mm低減してマスの集中化を測った新設計エンジン。 [写真タップで拡大]
―― 新形状スイッチ。マッピングは体感できる変化があるとのこと。ローンチコントロールについては、IAレベルだとパワーが逃げすぎてしまうが、IB以下なら使用したほうがミスが減るという。 [写真タップで拡大]
―― 新形状のワイドステップ。フレームもKTM同様に8mmスリム化されている。 [写真タップで拡大]
―― [左]フロントのエアサスはセッティングを変更。[右] 新設計リヤショックは、スムーズな作動性が快適な乗り心地を提供する。前後のストローク量はKTM 250 SX-Fより短く、足着き性が向上している。
―― 吸気流入量を減らすフタ(サイドカバー)が装着される。全体的にマイルドな特性で、それが乗りやすさにつながっている。 [写真タップで拡大]
―― 剛性アップした新設計メインフレームと、耐衝撃性を高めたサブフレーム。サブフレームはおなじみのアルミとコンポジット材のハイブリッド。 [写真タップで拡大]
―― 19mm下げられたシートは、前方のビス1本で着脱可能だ。 [写真タップで拡大]
ハスクバーナモーターサイクルズ FE350:+100ccが生むマイルドな乗りやすさ
4ストFEシリーズのエンジンは、ピークパワーよりトルクの粘りを重視したエンデューロレーサーらしい特性が特徴。このFE350は、250の軽さと450のパワーのいいとこ取りを狙って設定された中間排気量だ。
―― 【HUSQVARNA MOTORCYCLES FE350】■水冷4ストローク単気筒349.7cc 燃料供給方式:Keihin製EFIスロットルボディφ42 始動:セル 変速機6段 ■車重106.8kg(半乾燥) ■サスペンション:F=WP製XPLOR48倒立フォーク R=WP製XACTリンク式モノショック ■タイヤサイズ90/90-21 R=140/80-18 ●価格:148万7000円
学選手「250プラス100cc分のパワーはありますが、それは高回転で発揮されます。中回転まではトルクがさらに粘る感じで、デロデロと回転上昇し、むしろマイルドなパワー特性に感じられます。
エンジンマップを2種類に切り替えられますが、異なるのはアクセル開け始めのパワーの出方です。いずれにせよレスポンスは急すぎないし、アクセルを開けた分だけパワーが立ち上がるので、マシン挙動が予想しやすいですね。
前後サスペンションもスムーズに動いて、車体の重さも感じないほど乗り心地はいいです。全体的にシャープすぎないので扱いやすく、長時間乗っても疲れにくいです。250は軽いですが、車検対応版として感じられるほど、350はFEシリーズでベストバランスだと思います」
―― 低中回転ではトルクが粘り、高回転では350らしい余裕のパワーを発揮する水冷4ストロークDOHCエンジン。 [写真タップで拡大]
―― [左]フロントはスムーズなストローク性を発揮する。[右]リヤは流体解析で開発したピストンが、スムーズなストロークと快適な乗り心地を実現する。
―― エンジンマップ切り替え(1 or 2)/トラクションコントロール/ローンチコントロールまで設定できるスイッチ。 [写真タップで拡大]
ハスクバーナモーターサイクルズ FE501:怒涛のパワーで走りは豪快そのもの
FEシリーズで、最大排気量の510cc水冷4ストロークエンジンを搭載したFE501。他のFEシリーズはDOHCだが、このFE501はSOHCで、ピュアエンデューロというより、かつてのビッグシングルの流れを汲んでいる。
―― 【HUSQVARNA MOTORCYCLES FE501】■水冷4ストローク単気筒510.9cc 燃料供給方式:Keihin製EFIスロットルボディφ42 始動:セル 変速機6段 ■車重108.4kg(半乾燥) ■サスペンション:F=WP製XPLOR48倒立フォーク R=WP製XACTリンク式モノショック ■タイヤサイズ90/90-21 R=140/80-18 ●価格:169万5000円
学選手「どの回転域からでも怒涛のパワーが出てきます。狭いエンデューロコースや林道ではパワーを持て余すほどでした。そのぶんだけエンジンブレーキも強力ですが、車体の重さもあって前後サスペンションが縮み、その反動でマシン挙動も大きくなりがちです。
レースで使うなら、マシンを抑え込める体力が必要になりますね。広いコースや北海道の林道、もしくはスノーバイクなど、広大なエリアで使うなら、アクセル全開の豪快な走りを楽しめるでしょうね。
高回転まで引っ張らず、早めに1速上のギアを使っても、排気量に余裕があるのでクルージングができます。アクセルをそれほど開けなくても十分に速い、というビッグオフらしさが味わえますね」
―― フレームと前後サスはFEシリーズと共通。エンジンはSOHCで、名機LC4エンジンのトルクフルな乗り味を受け継いでいる。 [写真タップで拡大]
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