「東京モーターショー」から名称を一新した「ジャパンモビリティショー2023」が東京ビッグサイトで賑わいを見せている。「乗りたい未来を、探しにいこう!」と題し、会場では自動車メーカー各社の最新モデルの展示から、これまでの自動車ショーの枠にとらわれない新たなモビリティの体験、さらに音楽ライブやお笑いライブまで、見どころは尽きない。スケールアップした4年ぶりの祭典を、日刊自動車新聞電子版の編集メンバーが独自の視点で気になるポイントを紹介する。会期は11月5日まで。
〈ジャパンモビリティショー見どころ紹介〉(4)新生モビリティショーの目玉、主催者プログラム「Tokyo Future Tour」
ショーコンセプトの変更により、四輪・二輪車メーカーのブースにも多くの小型モビリティが並ぶジャパンモビリティショー2023。ただ、バイクも負けてはいない。「ヘリテージ」や「ネオレトロ」といったトレンドが定着する中、歴史と最新技術を融合してショーで公開されたニューモデルをクローズアップする。
モビリティはどこに? “漢”カワサキはバイクに全振り親会社の川崎重工業とともに新しいモビリティを主催者企画に数多く展示しているカワサキモータース。その半面、自社のブースはモーターサイクルショーさながらバイクを全面に打ち出したブースになっている。
世界初公開のモデルが5台、日本初公開のモデルが2台もあるだけに見どころも多いが、特に注目度が高いモデルは兄弟車にあたる「メグロS1」と「W230」。参考出品のため、詳細は明らかにしていないが、「エストレヤ」の生産終了以来となる普通自動二輪免許で乗れるトラディショナルモデルになる見通しだ。
一方、オフ車好きにとっての嬉しいニュースは「KLX230」の国内再導入だ。排ガス規制を理由に2022年モデルで生産を終了したが、規制をクリアして復活することになる。ヤマハ「セロー」の販売終了でデュアルパーパス車の選択肢が減る中で貴重な1台になりそう。
前衛的なコンセプトモデルと対照的なヤマハの2車種近未来的なデザインと自立可能な機能を搭載したモビリティ「モトロイド2」とダンサーの共演が楽しめるヤマハのブース。ただ、注目したいのはステージ脇にある2台のバイクだ。
1台目はサプライズでお披露目した「XSR900GP」。1980年代にロードレース世界選手権で何度もヤマハを優勝に導いた「YZR500」をモチーフにしたレーサーレプリカだ。ネイキッドの「XSR900」をベースにハーフカウルとセパレートハンドルを採用。マルボロカラーを基調にゼッケン位置に黄色を配したボディと、新モデルのために導入した設備で塗装したシルバーのフレームの組み合わせが特徴的だ。
先進国の二輪車市場でヘリテージやネオレトロブームが起きて久しいが、「80年代のレーサーレプリカは存在していないカテゴリー」(開発担当者)だ。2024年夏には日本で発売するというが、ベテランライダー世代だけではなく、若者にも受け入れられるか注目だ。
もう1台は2000年前後のストリートバイクブームを生んだ「TW」を同社車両実験部の有志が斬新にカスタマイズしたバイク「TMW」。TWのリア部分は残し、フロント側には「トリシティ」などに搭載するパラレルリンク機構を採用。前2輪には電動バイク「ネオス」に使用するインホイールモーター、リアキャリアのサイドには「Eビーノ」の電池を搭載し、EV仕様に仕立てた。
発起人で同社車両実験部の今利貞誠さんが「こんなカッコいいブースに置くのもなんか申し訳ない(笑)」というように手作り感満載のバイクではあるが、それだけに作り手の愛を感じられる1台だ。
目指すは6万円? 懐かしのお手頃バイクをEVでさまざまなモビリティを展示しているスズキのブース。市販車でいえば10月25日に発売したばかりの「Vストローム800」も気になる所だが、注目はやはり、電動化した「チョイノリ」だ。
チョイノリというと2003年にスズキが発売した50ccのバイク。装備を最低限にまでそぎ落とし、国産ながらも5万9800円という驚きの価格を実現したモデルだ。
ジャパンモビリティショーで世界初公開した「eチョイノリ」は、このフレームにパナソニックサイクルテックの電動アシスト自転車用電池と駆動ユニットを組み合わせた。参考出品ながらも、9月にはスズキとパナサイクルテックが電動モビリティの開発で合意しており、市販化にも期待される。
「EVは高い」という既成概念を覆すのはスズキかも。
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