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【フェラーリ/ランボでなく】マクラーレン選ぶワケ 英国本社と意見交換 日本で720Sに乗って感じたこと

掲載 更新 4
【フェラーリ/ランボでなく】マクラーレン選ぶワケ 英国本社と意見交換 日本で720Sに乗って感じたこと

マクラーレン、日本で売れる理由とは

text:Kenji Momota(桃田健史)

「なるほど、違うな」

「720S」でじっくり走って、改めてマクラーレンのクルマ造りが目指す方向性が、肌身に染みてわかった気がする。

マクラーレンと聞いて、例えこれまで多くのスーパーカーを乗り継いできた人でさえ、「乗りこなせるのだろうか?」と、オーナーになるための心のハードルを感じるかもしれない。

だが、実際のマクラーレンはまったく違う。

欧米の富裕層は「エブリデー・マクラーレン」という言い回しをよく使う。

とても乗りやすく、扱いやすく、しかもにフェラーリやランボルギーニとは別の味わいがあるという意味だ。

これは新導入の「GT」に対してではない。最大720psの720Sですら、そう感じる。

しかも、乗りやすさと扱いやすさは、サーキット走行でも変わりないのが、マクラーレン最大の強みだ。

だからこそ、日本でも人気が急上昇している。

日本自動車輸入組合によると、2018年の222台から2019年は353台へと159.0%の伸びを見せた。

最大の要因はスーパーシリーズにおける600LTの導入だ。

こうしたなか、マクラーレンという商品の真髄を知るため、720Sに日本で乗った。

マクラーレン・オートモーティブアジア日本代表の正本嘉宏は「720Sこそ、マクラーレンブランドのけん引役であり、マクラーレンのクルマ造りをわかって頂くために最適なモデルだ」と言い切る。

720Sのスペック どう感じるか?

改めて、720Sのスペックを見る。

全長4543mm×全幅2161mm(サイドミラー含め)×全高1196mm、ホイールベースが2670mm。車両重量は1322kg。

リアミドシップされたM840Tエンジンは、V型8気筒3994cc。最大出力は、モデル名称と同じ720ps、最大トルクは78.5kg-m。

最高速度は341km/h、0-100km/h加速は2.9秒、0-200km/h加速は7.8秒、0-300km/h加速は21.4秒。

試乗はサーキットではなく、一般路と高速道路だ。

起点は愛媛の松山。目指すは、四国と本州を結ぶ「しまなみ街道」である。

松山城や道後温泉の雰囲気を感じながら、市街を流す。路面電車の線路周辺の路面凹凸はほとんど気にならない。

英国AUTOCAR編集部が1万kmに及ぶ720の長期テストを行っており、その際にも「エブリデー・マクラーレン」という表現を用いているが、まさに日常生活のなかでも違和感がない乗り心地である。

また、同編集部からは「車幅が気になる」レポートがあったが、筆者の感覚としては、低速走行でもドライバーと720Sの気持ちの一体感が明確にあり、普段扱いでの支障は感じなかった。

次に、今治へ抜けるため、ワインディング路を選択した。

すると、周囲にクルマが多い市街地に比べて、車高の低さが気にならなくなり、視界が広がった印象だ。

加えて、独特な感触が全身に流れてきた……。

軽量化 パワーウエイトレシオ重視

あたかもクルマの中心線上にドライビングポジションがあるような感覚を得た。

唐突な比較に聞こえるかもしれないが、こうした感覚は、ここから見て瀬戸内海の向かい側、広島で開発されているマツダ・ロードスターの「人馬一体」に近いようにも思える。

むろん、エンジン搭載位置が違い、パワー&トルクの差は圧倒的。だが、両者の間には、感性という意味での共通点が見え隠れする。

背景にあるのは「軽量化」に対するメーカーの拘りだと思う。

実際、720S試乗の前日、英国マクラーレンオートモーティブ本社のイアン・ホーシェルとオンライン会議のなかで、720Sに限らず、マクラーレンのクルマ造りのなかで「軽量化によるパワーウエイトレシオの重要性」を何度も口にしていた。

ドライバーとクルマの「エンゲージメント(強固な繋がり)」という、マクラーレンブランドのキーコンセプトに直結し、その目的達成ため、マクラーレンはフルカーボンシャシーを用いる。

このシャシーという解釈こそ、マクラーレン・オートモーティブの真骨頂。レーシングコンストラクターというヘリテージに裏打ちされている。

クルマとしてのトータルバランスを見た時、フェラーリやランボルギーニと比べてシャシーの存在感が強いのだ。

だがそれはあくまでも理論上での表現に過ぎない……。

この感じ、他に類がない 凄みの中身

ワインディングを抜け、しなまみ街道をクルージング。

走れば走るほど、こちら乗り手の感性が研ぎ澄まされてくるように感じる。

頭の中が、カラダ全体が、とても開放的に、自然体になっていくのがわかる。

スーパーカーの乗ることでの緊張感、または、ある種の虚栄心といった部類の感覚はない。

前出の正本代表は「日本でもマクラーレンのユーザーは、旅行などでかなり遠出される方が多い」と指摘したが、なるほど、その意味がよくわかる。

広島県尾道市・生口島の瀬戸田サンセットビーチで、「720Sスパイダー」に乗り換え、日差しを浴びながら走る。

すると、重量は720S比で僅か49kg増ながら、走りのキャラクターが720Sよりも少し丸みが帯びた印象がある。こちらの感性が研ぎ澄まされたからこそ、作り手が拘った差をしっかり感じ取れる。

マクラーレンと聞くと、F1レースのイメージが強い。

そうした日本人が大勢いる。

そのため、マクラーレンが手掛けるスーパーカーに対して、凄い走りを妄想してしまう。

実際、その走りは凄い。

ただし、パイパワー、ストレート&コーナーリングでのハイスピードという文脈だけではなく、数値の上では極めてハイスペックながら「作り手の感性と、乗り手の感性が自然体で融合する」ところが、凄い。

この感じ、他に類がない。

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みんなのコメント

4件
  • 600ltは、スポーツシリーズでしょ。
  • 乗用車的に使うことが多ければ、マクラーレンの出来の良さは特筆ものでしょう。
    ここ一番の推しの強さは、アヴェンタ。
    自分は、スーパースポーツに快楽さは要らないので、推しの強いアヴェンタが好き。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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