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ブームに埋もれなかった実力派! それでもダイハツ ミラ ジーノが“リストラ”の憂き目に遭った背景【偉大な生産終了車】

掲載 更新 17
ブームに埋もれなかった実力派! それでもダイハツ ミラ ジーノが“リストラ”の憂き目に遭った背景【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

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 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はダイハツ ミラ ジーノ(1999-2008)をご紹介します。

文/伊達軍曹 写真/DAIHATSU

【画像ギャラリー】2代に渡り活躍!ダイハツ ミラジーノの10年をギャラリーで辿る

■レトロカーブームに登場したミラ ジーノ

 1993年のスバル サンバー ディアス クラシック、あるいは1995年のスバル ヴィヴィオ ビストロから始まったレトロ調軽自動車ブームを受けて、1999年に登場。

 多くのレトロ調軽自動車が「一過性の何か」で終わったなか、このモデルはレトロうんぬんだけではない本質の部分でも高く評価され、2004年には2代目へとフルモデルチェンジ。

 しかし、折りからの軽トールワゴン/スーパートールワゴン人気にあらがうことはできず、2009年に生産終了となった実力派の軽自動車。

 それが、ダイハツ ミラ ジーノです。

 1990年代半ばのレトロ調軽自動車ブームを受けてダイハツは1997年、当時のミラに丸形のヘッドランプやブラウンの内装などを与えた「ミラ クラシック」を発売します。

 しかし、いかにも取ってつけたような安直なデザインは不評で、ダイハツは「そうではない、ちゃんとしたレトロ系デザインの軽自動車」をリリースする必要にかられました。

 そして1999年に登場したのが、5代目ミラの追加グレードである「ミラ ジーノ」です。

ダイハツ ミラ ジーノ(初代)。専用設計された豊かな曲面のボンネットフード&フロントフェンダーが特徴的

 ダイハツのかつての名車「コンパーノ」をモチーフにしたという丸形ヘッドライトと、メッキ処理されたバンパーなどの処理、あるいは全体のフォルムは「英国のミニの模倣だ」とも言われました。

こちらがダイハツ コンパーノ(1963-1969)

 その指摘の真偽はさておき、初代ミラ ジーノは決して「取ってつけたような感じ」ではない、新型車として真摯なデザインが採用されていました。

 当初のグレードは、直3自然吸気の「ジーノ」と、直3インタークーラー付きターボを搭載する「ジーノ ターボ」の2種類。トランスミッションは5MTと4速AT、3速ATが用意されました。

 2000年10月にはマイナーチェンジが行われ、新グレードとして3ドアターボの「ジーノS」のほか、英国のホイールブランドである「ミニライト」とタイアップした「ミニライトスペシャル」を設定。こちらも大いに人気となりました。

 初代ミラ ジーノはその後も細かな仕様変更を重ね、ついでに2002年には1Lエンジンを搭載した小型乗用車「ミラ ジーノ1000」も追加しながら、2004年末近くまで生産と販売を続行。

 そして2004年11月、ミラ ジーノは2代目へとフルモデルチェンジされました。

2代目となったミラ ジーノ。「ミラ」からは独立したモデルとなった

 2代目はミラとボディを共用しないオリジナルデザインで、車台は6代目のミラと共通ですが、Aピラーが寝ているミラと違って2代目ジーノのAピラーはかなり立っており、逆にCピラーにはそこそこの傾斜が付いています。

 このクラシカルなフォルムに、BMW製のほうのミニをなんとなく思わせる丸形のヘッドランプを合わせることで、2代目ミラ ジーノは――賛否は分かれるかもしれませんが――これまた「取ってつけたような感じ」ではないデザインに仕上がったのです。

 初代ではラインナップされたターボエンジンは廃止され、パワートレインは3気筒の自然吸気エンジン+4速ATに一本化。

 しかし、より上質になったインテリアの質感や室内の広さ、「乗ってみると非常に運転しやすい」ということなどから、2代目のミラ ジーノもまずまずの人気モデルとなりました。

 そんな2代目ミラ ジーノも2008年12月には生産終了となり、翌2009年月には販売のほうも終了。

「3代目のミラ ジーノ」は作られず、2009年8月に発売された「ミラ ココア」が、事実上の後継モデルとなってしまいました。

■2代目も好評。にもかかわらずミラ ジーノが生産終了となった背景は?

 そのたたずまいの良さと、走行性能や実用性の高さから人気を博し、「一瞬の打ち上げ花火」では終わらずに代を重ねたダイハツ ミラ ジーノが、車種整理の憂き目にあった理由。

 それは、主には「軽トールワゴンないしは軽スーパートールワゴン全盛の世の中になってしまったから」ということでしょう。

 初代ミラ ジーノが登場した1999年は、すでにスズキ ワゴンRやダイハツ ムーヴなどの軽トールワゴンが大人気にはなっていました。とはいえ、まだまだ一般的な車高の軽自動車も普通に求められている時代ではありました。

 しかしその後、ご存じのとおり2003年に初代ダイハツ タントが誕生したことで、軽自動車の潜在ユーザーたちは「どうせ買うならスペース効率が高い軽自動車のほうがいいんじゃね?」という考え方に、どんどんとシフトしていきました。

2003年に登場したダイハツ 初代タント

 そうなっても、背が高くない軽自動にも一定の需要はあるため、いきなりすべての軽がトールワゴンタイプまたはスーパートールワゴンタイプになるわけではありません。

 しかし「需要の主力」が背が高いほうへと移れば、主力ではないほうのカテゴリーに属するモデルは「何車種もあってもあまり意味がないので(むしろ会社の利益を損なうので)、ここはひとつバッサリと整理するか」と考えるのは、企業としては当たり前の判断です。

 そのため「背が低いほう」に属するダイハツの軽自動車は、主に女性ユーザーが通勤や買い物などに使うことを想定した(つまり、背が低くてもそれなりに売れるはずの)ミラ ココアを中心に売ることとし、実用性と走行性能を優先したい性別不問のユーザー群に対しては、「すみませんが、そういった場合はムーブかタントを買ってください」という方針をとることにしたのです。

ミラ ココア(2009-2018年)

 そういった形で――直接の後継モデルではないのですが、事実上の後継モデルとして――登場したダイハツ ミラ ココアは、もちろん悪い車ではないのですが、デザインとしてはさすがに「砂糖入れすぎのココア」みたいなものではありました。

 甘すぎ系のデザインが時代にマッチしなくなったことで、ミラ ココアは2018年に販売終了となり、その後はより中性的な立ち位置の「ダイハツ ミラ トコット」が、女性ユーザーに買われることを意識した軽自動車として販売されています。

ミラ トコット(2018年-)

 そういった意味では、ミラ ジーノの「事実上の後継モデル」はミラ ココアではなく、ミラ トコットなのかもしれませんが、まぁそれはどうでもいい余談です。

 いずれにせよダイハツ ミラ ジーノは、時代の流れゆえに仕方ない話ではあるのですが、コツコツと正常進化を続けていたらちょっと面白かったのに――と思わせる、実力派の軽自動車ではありました。

■ダイハツ ミラ ジーノ(2代目)主要諸元
・全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1515mm
・ホイールベース:2390mm
・車重:820kg
・エンジン:直列3気筒DOHC、659cc
・最高出力:58ps/7600rpm
・最大トルク:6.5kgm/4000rpm
・燃費:18.8km/L(10・15モード)
・価格:138万6000円(2006年式 ミニライト)

【画像ギャラリー】2代に渡り活躍!ダイハツ ミラジーノの10年をギャラリーで辿る

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  • バカにされた感が半端ない記事
  • 初代のミラジーノは、ベースのミラ自体がスペース効率を追及した結果、BLミニのようなパッケージングと外観になったところから始まっている。要は40年を経てもオリジナルのミニのパッケージングが優れていることの証明であり、ミニ及びBLにとっても誉なのである。さらにダイハツは応用編として、ミラを起点によりコンパーノチックな4ドアハードトップである2代目オプティを出している。この2代目オプティのデザインの評価は高く、カースタイリング誌の年間賞の小型車部門をスコダ・ファビアと争っている。でもセールスには繋がらなかった。

    そこで、2代目のミラジーノは初代オプティのリメイクという路線に回帰する。ミラジーノという車名ではあったものの、事実上あれは3代目オプティであった。そしてこの流れは現在のキャストに受け継がれている。もうモデル末期のキャストに次期型はないとは思うが、まだ辛うじてこの系譜は途絶えてはいないのだ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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